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ハルはヴァルを知る

その後すぐにヴァルとデュポンが帰ってきた。

「帰ったぞ~」


「……」


「ん、おいハル。聞いてんのか」


「え、あ!ごめんごめん。おかえり。」

アンバーから聞いたことが頭から抜けず放心していてしまった。

……切り替えろ、僕。不審がられるな。

心の中でびしっと自分を奮い立たせた。


「あれというか。さっきまで誰かといた?」


「え、どうして急に。ずっと一人だったけど……」


「いや…なんか誰かがいたような……」


「何言ってんのヴァル?ここにハル以外が来るわけないでしょ。みんな集会に集められてるんだから。」

呆れたようにデュポンが声を上げた。


「そ、そうだよ」

僕も慌ててデュポンに同意する。


「…そうか」

ヴァルはそれ以上追及しなかったがどこか怪しげな視線で僕を見ていた。

……危ない、デュポンが否定してくれたたから何とか助かった。

僕自身、あまり嘘をつくのは得意じゃないし問い詰めれれば絶対にぼろが出てしまう。それにアンバーが自分とあっていることは誰にも話すなといっていたため、とにかく怪しまれるわけにはいかなかった。


「それよりも、集会では何を話してたの?」

とりあえずヴァルの疑いを消すべく急いで話題を変えた。


「あ、閻魔大王が消えたって伝えたくらいかな、今回の集会は強制じゃなかったから重要なことはそれくらい」


「閻魔大王が誰に倒されたかどうかは気づいてなさそうだったぜ」

それを聞いてひとまず安心した。

……そうか、わりかし大がかりなことをしたし気づかれてないか結構ひやひやしてたけどそれならよかった。

とりあえず当面の問題はなさそうだ。後はエンマたちがくるのを待つだけ。

この期間に少しばかりは強くなれた気がする。これで少しはエンマたちの助けにもなるかもしれない。

現状、エンマのこと、第三層をどう突破するのか、考えることは多い。



「ギ、ギネーベ!?!?」


いつからそこに立っていたか分からないほど突然ギネーベが現れた。


「まさか、あのエデンを説得させるとは思わなかったよ。」


「……何の用ですか?」

スッとギネーベと僕の間にデュポンがたつ。

……いつからいた?というか話を聞かれてた?

いろんな不安要素が頭の中をめぐる。でも集会があったはずだからアンバーやエデンとの会話は恐らく聞かれていないはず。


「別に、ただ気になる会話をしてたから来てみただけだよ。そう身構えるな。ほらリラックスリラックス」


「……」

デュポンも僕も依然とギネーベを警戒する。


「まぁ君のことは今はどうでもいい。気になるのは君だ」

ギネーベが僕を指さしゆっくりと近づいてくる。。


「君は、あの化物となにかしら関係があるよな。」


「……なにもないですよ、僕みたいなのが関係あるわけないじゃないですか。」


「嘘つかないでくれよ。ある程度の話は聞いている。あの化物が閻魔大王になったこととか。その閻魔大王様が今この試練の間に向かってきているってことも」


「う…….」

想像以上に気づかれていることに大きく動揺する。というかこの感じだと恐らくずっと前から気づかれている。


「違和感を感じたのは君たちとあの廃墟で出会ったとき。でもただの勘違いだと思ったがこの要塞が襲撃された後君たちが、あの化物のほうへと向かっていくのがみえそこからつけてきた。」


「……」


「教えてくれないか、閻魔大王について」

ここで言ったらエンマが狙われる可能性がある。加えてギネーベはおそらくオクスタシアさんと同等レベルの強さがある。

……ここでいえば後でくるエンマたちが危険な目にあってしまう。


「だんまりね……まぁいいや。別に聞きようはいくらでもある。拷問するなりしてね。」

ギネーベが僕との間にいたデュポンを大きく薙ぎ払った。


「うう“」

抵抗もできずにデュポンは部屋の壁のほうまで吹き飛ばされた。


「じゃあ…」

ギネーベの手がゆっくりと僕のほうに向かってくる。逃げようにも恐怖からかうまく体が動かない。

それに逃げようと思っても逃げられるような相手ではない。


しかしギネーベの伸ばした手はピタッと止まった。


「はは…そうか……やっぱりそこにいたか。」

いきなり高笑いをしながらギネーベがおかしな言動をしはじめる。


「ずっと確証はなかった。でも今の“殺気”でようやく気付けたよ」

なにを指して言っているのか、何の話をしているのかまるで分らない。見上げるとギネーベの視線は僕を見ていないことに気づいた。

ギネーベはずっと後ろで黙っていたヴァルをみていた。


「ッチ、しくったな」

静かにヴァルは舌打ちをする。


「そう嫌な顔をするなよ。私たちの仲じゃないか。そうだろ、閻魔大王候補筆頭 第一期生 最強の“アルヴァトス“」


温厚だったヴァルの顔が今まで見たことのないほどの殺気を満ちた表情へと変化した。

……アルヴァトスって確か大王候補の中でもっとも大王に近いとされてた悪魔…ん?それがヴァル?!


半ば信じられず困惑する。


「今度こそ、お前を倒して私は最強になってみせる」


すると一瞬ギネーベの手に閃光ようなものが見えた次の瞬間大きな衝撃波が波たち部屋が崩壊した。

いつのまにかすぐ右横にさっき吹き飛ばされたデュポンがいた。そしてヴァルが僕の前に立ち透明なバリアのようなもので僕たちを覆っている。


「ふぅ……すぐに出るぞ。」

不意に周りの景色がゆがみ始める。そして気がつくと要塞の中ではなく全く別の場所にいた。


「あれ、ここどこ?」

デュポンがかろうじて意識を取り戻した。特に問題なさそうで安心する。


「すまないね、巻き込んでしまった。」

ヴァルは僕たちに背を向けたままどこか遠くを見ていた。


「ヴァル…どういうことなの?」


「……今回の騒動が終わったら一通り話そうとはしてたんだけど。まさかこんな形でばれることになるとは思ってなかった。

くるッと振り返りヴァルが僕の目を見る。


「俺の本当の名前はルヴァルニア・ジーク・アルヴァトス。閻魔大王候補筆頭の悪魔だ。」


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