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あの先生

 そんなに文化祭に出たかったのか? 正直に言うが、お前たちはそのレベルじゃないんだけどな。

 先生は、放送室にやってきて、ヨシオに向かってそう言った。

 なんのことですか? ヨシオは素直にそう答える。本当に理解ができなかったんだよ。先生は合唱部とは別に、放送部の顧問も兼任していたんだ。俺は全く知らなかったけれどな。放送部はいつも、好き勝手に音楽をかけたり、喋ったりしていた。そこに先生たちの影はまるで見えなかったよ。

 この前私に見せてくれた電子オルガン、あれは今どこにあるんだ? 答えられないなら、あれは音楽室に寄贈しよう。

 どうして・・・・ ヨシオは一瞬沈黙をしたが、本当のことを話してしまった。

 そういうことか。まぁ、お前たちらしいやり方だな。本当に演るのか?

 うん・・・・ どうしても今日、聞いて欲しい人がいるんだよね。本当に来るのかは分からないけどさ。なんせ伝言ゲームのように聞いた話だからさ。

 ヨシオはそう言ったが、それが誰なのか、先生には言わなかったようだ。それでも先生は、納得してくれたんだけどな。だったらやればいいさ。私が許可をしたと言っといてやるとね。

 俺たちを見にきていたのは、あの人だってさ。本当なのか? あの人が来れば、学校中大騒ぎになるだろ? まぁ、似たような人を見かけたって噂は実際あったみたいだし、俺は直接本人の口から見に行ったとの言葉を後に聞いている。それからもう一人、ナオミの知り合いも来ていたそうだ。ナオミの知り合いが、あの人を呼んだってわけだ。ナオミの知り合いは、あの人のバックバンドでドラムを叩いている。

 ヨシオはケンジと一緒に、そのことを聞き屋から聞いていた。聞き屋のところに、ナオミの知り合いが顔を出したそうだよ。どうして俺に言わなかったのか? 理由を聞いても納得は出来ないよな。今でも俺は、多少なりとも怒っている。まぁ、多少なりともはだ。

 それにしても不思議なのは、あの先生だよ。ヨシオとの繋がりがあったからといって、俺たちに好き放題させながら守ってくれた。嬉しいことだが、意味は分からないよな。ヨシオが言うにはだが、先生は何度か俺たちの路上ライヴを見かけていたらしい。本気でなにかを楽しんでいる奴は凄いんだ。なんてケンジが言いそうな言葉を放ったんだとさ。同じ音楽家として、応援したいとも言ったようだ。面白い先生だよな。もっと早く仲良くなりたかったもんだよ。音楽の授業だって、先生の元なら楽しかったのかも知れない。なんて俺が言ったら、授業は最低だよと、ケイコとカナエが声を揃えた。どんなに最低なのか、詳しくは聞かなかったが、退屈で眠たくなるんだとさ。音楽の授業だって言うのに、講釈ばかりで、曲を聞かせてくれないらしいんだ。それ以上は聞きたくないなと、俺から詳しい説明を拒んだよ。ケイコとカナエが先生に対する不満を俺にぶつけようとしていたのが見え見えだったからな。


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