〜プロローグ〜 現実
ピロリロリ〜ン♪
?「……………」
メールが届いた、何も書かれていない、いたずらメールか
?「ったく」
一体誰が送っているのか、そんなことはどうでもよかった
あ、俺の紹介がまだだったな、俺の名前は「秋雨 航介」だ。
ニートになって三〜四年はたっただろう、歳は十八で誕生日は……………まぁいい、どうでもいいだろう。
航「はぁ、二次元に行きてぇー」
どうせ実現しないことを俺はいつも駄弁っていた、でも仕方ないのだ、ニートとはそういうもんだろ?
この世には「現実は小説より奇なり」という言葉もあるが、そんなことあるわけない、自分でも分かってるんだ、だけど言ってしまう。
航「……そういや、今日ゲームの発売日だったな」
俺は渋々ゲームを買いに行くために支度を初め、外に出た。
一応自宅警備員だが、ゲームのためなら身をも削る覚悟だ。
航(外に出るの何ヵ月ぶりかな……)
ゲームを買いに外に出る度に自分の体が貧弱になっているのが分かる。
これも全部あいつらのせいだ、いやまぁ俺のせいでもあるか。
俺は中学校の時、毎日のようにいじめられていた、皆見て見ぬふりだった、先生だって見ていたはずなのに何もしてくれない、親には言いたくなかった、心配させたくなかったのだ。
だけど、そんな俺に優しくしてくれる奴がいた、「鈴原 昨夜」という女子だ。なぜかいつも優しくしてくれた、なのに俺は「関わるな!!」と言って引き離してしまった。
……怒っているだろうか、あんなこと言ったんだ、きっと怒ってる、そうに違いない。
航「はぁ……」
嫌な事を思いだした、早く行こう。
そして、ゲーム屋に向かっていると。
?「あ、まさか、お〜い!航介〜〜!!」
航「ん?」
俺は声のする方向へと顔を向けた。
……なんであいつが。
昨「久しぶり、航介」
航「な、なんでお前が。」
昨「ん?ゲーム買いに行こうと思ってね?航介もでしょ」
航「ま、まぁそうだけど」
って、何普通に会話してんだよ俺。
昨「ねぇ、航介、その、ごめん。」
航「え、な、なんで謝るんだよ」
本当に分からなかった、謝るのは普通俺の方なのに。
昨「だって、もう少し早く航介がいじめられているのに気付いていれば、どうにか出来たかもしれないのに、私が、もっ、と早く」ぐすっ
気付けば昨夜は泣きそうになっていた。
………なんで俺なんかのためにそこまでしてくれるのだろうか。
と、とにかくこの状況をどうにかしないと、考えるのは後だ。
航「な、なぁ、昨夜、ゲーム買いに行くんだろ、一緒に行こうぜ?、な?」
昨「……え、う、うん、そうだね…」
そうして俺達はゲーム屋に向かって歩きだした。ふと昨夜を見ると泣きそうになりながら笑っていた。俺はダメな男だな。
まぁ、なんやかんやでゲーム屋の近くまで来た、ここら辺はでっかいビルの建築現場やら色々ある都会だ、家にいる俺でも分かるぐらいデカイビルがある。しかし、怖い、なんか落ちてくるのではなかろうか、用心しよう。
昨「おーい、航介!早くー!」
航「はいはい、はぁ、」
俺がため息をついたその時、
危ない!!
そんな声がした、上からだ、ふと見てみると。
航「な!?」
上から鉄骨が落ちてきていた、まさかの死亡フラグかよ!?
てか普通いきなり落ちてくるかよ!!ちゃんと見とけよ工事してる人達よぉ!!
しかも昨夜の真上、あいつは気付いていない。
航「昨夜!!危ない!!」
昨「え?」
俺は言葉より先に体が動いていた、そして、昨夜を押しのいた、しかし。
俺は反動で前に出てしまった、つまり。
昨「航介!!!!」
すまない、昨夜、俺はもうダメなのだろう。あぁ、なるほどこれが走馬灯なんだな、嫌な思い出しかないが。
そして、俺は鉄骨の下敷きとなって死んだ、最後に聞いた言葉は昨夜の叫び声だった。
プロローグ 完