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白梅視点


服が擦れる音と優しく頭を撫でている温もり


手放せなくなったその温かさを感じながら


いつも失うことを考えている思考


正常に機能したことなんてない自分には


正しいと言う言葉は不釣り合いで


ただただ、失う前にその温もりを壊そうと足掻いた


手を伸ばした先に君がいないなんて考えたくなくて


失う怖さを知っていながらそれを壊そうとする矛盾に笑うことしかできない


そんな考えなんて全部、忘れて君を優しく愛せたらいいのに




‐アヤトリ‐






最初から気づいていた。


どんなことをしようと琥珀には気づかれるだろうと言うことを。


彼女のことを琥珀が助けるだろうと言うことを。


それでも、自分の最愛であるさちに近づいてほしくなくて


どこか遠くに行ってほしかった。


殺すことだって彼等がいなかったら迷いなく行動したでだろうし


さちの記憶にあることも許したくなかった。


独占欲なんて言葉じゃ、きっと収まりきらないこの思いを昔、琥珀と蛇我羅に笑われた覚えがある。


今だって、きっとこの思いを言葉にしたら笑われるのだろう。


彼は、琥珀は優しすぎるから。


蛇我羅は、愛しかたの違いだろうと受け止めようとするから。


受け入れようとして笑うのだろう。


こんな思いごと受け止めてくれる琥珀も蛇我羅も大切にしたい。


さちに対しての愛とは違う形で。


そう好きと呼べるような、そんな愛ではなく


ありがとうと言えるそんな形で。



×××


八畳間の部屋の真ん中辺りに置いた布団の中で蛇我羅は寝ている。


部屋に面してる襖にはこの家の象徴でもある白い花が描かれており、蛇我羅が見たら顔をしかめそうだと思いながら


琥珀達を中に通した。


琥珀が抱き上げていたゆうこを蛇我羅の隣に寝かしてあげようかと考えて、止める。


琥珀が彼女を優しく起こしてあげていたからだ。


ゆうこに早く、蛇我羅を見せてあげたいのだろう。


それか、この部屋の中に漂っている香りの正体に気づいたのか。


どっちにしろ、彼女を起こすのは正しいのかもしれない。


自分はそのまま寝かそうと考えたけど


この香りは鬼の家系に伝わる少し変わったお香で、過去の夢を見続ける効果があり

いつ起きるのかは見ている過去によるらしく


幼い頃の過去を見続けてずっと眠るかもしれないのだから。


だから、今の今まで蛇我羅は一度も起きることなく眠り続けていられたのだ。


普通なら殴って気絶しようがこんな長い時間、眠れるわけがない。



こんなお香を考えた奴は何のために使うつもりだったのか、今でも分からないが役に立ったので考えないことにする。




そんな風にどうでもいいことを考えながら琥珀達の様子を、自分達が入ってきた襖の近くに立ちながらで眺めていると


ゆうこは無事、琥珀に起こされたのか、寝ぼけながら回りを見渡して始めた。


その様子が幼子のようで少し可愛らしく思ったのは内緒だ。



彼女が動くたびに血の臭いが辺りに広がっていく。


こんなにも長時間、血の臭いを嗅いだのは久しぶりだからか


少しだけ、彼女を殺そうかと体が動きそうになった。


血の臭いは理性がとんでしまうから、あまりよろしくない。


そう思いながら、自分の着ている着物の袖に顔を埋める。


これ以上、血の臭いを嗅がないようにだ。


顔を隠してしまったから回りの様子はわからないが



「ようやく蛇我羅に会えた」



そう言いながら蛇我羅の手を握りしめながら泣いているだろうゆうこの声に


少しだけ昔を思い出す。


彼女もゆうこと同じように誰かのために泣いていたなとそう思いながら


自分も琥珀と同じように彼女のことを忘れることができてないのだと感じた。



久しぶりだから白梅さんが誰おま状態です。

ごめんなさいm(__)m

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