表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Akeenohi -アケノヒ-  作者: 大化
第二部 『天下征伐』
PR
40/47

五話 豊臣の為

巨大な石垣が、ゆっくりと積み上がっていた。


まだ建設途中ではあるが、その規模はすでに街を圧倒している。

職人や兵士が忙しく行き交い、巨大な城郭が少しずつ形を成していく。


新O-SAKA城。


豊臣の新たな本拠地だ。


その光景を、離れた高台から一人の男が眺めていた。


四脚機械に腰掛けたフードの男――

サー・リベロ。


彼は静かに城を見上げながら、思考を巡らせていた。


(徳川は滅びた。

だが、世界はまだ不安定だ)


各地の勢力。

宗教団体。

旧徳川残党。


そして――武田。


リベロは目を細める。


ユキ=ムラマサ。


あの女の狙いは明白だった。


豊臣に征伐を行わせ、各勢力と戦わせる。

その過程で豊臣も、その味方勢力も疲弊する。


そして最後に。

武田が天下を奪う。


リベロの口元がわずかに歪む。


「……こちらも利用させてもらおう」


ユキの思惑は理解している。

だからこそ、乗る。

豊臣は全面協力の姿勢を見せつつ、徐々に距離を置く。

そして、武田が征伐を主導するよう、誘導していく。


そうすれば、世間はこう認識する。


征伐は武田の暴走。

豊臣はそれを止めようとしている、と。


構図は自然に出来上がる。

その間に――


夜刀。

カエデ。

各地の勢力。


それらが武田と戦う。

武田は消耗する。


そして。

最後に残るのは――


「豊臣だけだ」


リベロは小さく呟く。


「天下の安寧は」


遠くの城を見上げる。


「最後に残った者が作ればいい」


その時、通信装置が鳴った。


「旦那、俺だ」


リベロは通信を開く。


「…サコンか。状況は」


通信の相手は、サコン。

豊臣の将の1人である。


リベロと同郷である彼は、リベロの右腕として戦場で陣頭指揮を取る役目を取っていた。


その為、サコンからの通信は専ら戦場から届く。しかし、通信の向こうでは風切音がするだけで、鉄の交わるような音はしてこなかった。


「征伐が止められた」


サコンの声は苛立っていた。


「夜刀だ。いきなり現れて市民を庇いやがった」


少し間が空く。


「応戦したが、市街地だ。これ以上やれば本格的に住民へ被害が出る」


サコンが大きく舌打ちを打つ。


「この地域の征伐は骨が折れそうだぜ」


リベロは静かに言う。


「構わない。撤退しろ」


サコンが少し驚く。


「……いいのか?」


「むしろ都合がいい」


リベロは声のトーンを変えずに続ける。


「夜刀や、カエデ達が征伐を止めようと動けば、武田はさらに強硬姿勢を取るだろう」


「それまでに、豊臣は征伐には後向きである事を市民にアピールしておけ」


リベロは言った。


「最後に勝つのは豊臣だ」


通信の向こうでサコンが笑う。


「相変わらずえげつないな」


リベロは答えなかった。


ただ、建設途中の城を見上げる。


新O-SAKA城。


いずれこの城が、天下の中心になる。


そのための戦いは、すでに始まっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ