ネペンテス
甘い夜が過ぎて、
夜明けを迎え、朝になった。
ああ、この場所から抜け出すことはできなかった。
甘い夜に溺れて、五日。
俺たちの恋は冷めることなく、
ただ互いを見つめ合っていた。
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「ユラちゃん、今何してる?」
「今、ご飯食べてるよ〜」
「ユラちゃん、うちで夏休みの宿題やらない?」
「うん、いいよ!」
「じゃあ待ってる!愛してる!」
「私も〜!」
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俺の口元には、りんご飴みたいな甘さだけが残っていた。
「あら、あなたがユラちゃん?さあ、どうぞ入って〜」
「こんにちは。」
「マイゴからよく聞いてるわよ。彼女なんですって?」
「ちょ、母さん!」
「ふふ、ゆっくりしていってね」
「さ、入って!」
机の上で燃え上がる、二人の想い。
それを包み込む、ライラックの香り。
「レンちゃん、私が来るから部屋片付けたの?」
「そ、そんなわけないだろ。勘違いするなよ」
さくらんぼみたいに赤くなった耳を隠すように、
俺は黙って問題集に目を落とした。
「あっ、熱っ!」
「レンちゃん、顔真っ赤だよ?風邪?」
「ユラちゃん……近いって……」
「えー、いいじゃん。恋人同士なんだし〜」
彼女が俺の額に手を当て、
いたずらっぽく顔を近づけてきた、その時——
「あんたたち、果物でも……あらあら」
「母さん!!ちょっと!!」
「ごめんねぇ。でも大人がいるんだから、ほどほどにね?」
「母さん何言ってんだよ!!早く出てって!!」
母さんは、真っ赤になった俺の顔を見て、
くすっと笑いながらドアを閉めた。
「それより、なんでそんなにニヤニヤしてるんだよ」
「だって、可愛いんだもん」
「どこが可愛いんだよ!」
「ぎゅーしてあげる。ほら、おいで?」
「ちょ、暑いってば〜!」
「次の文化祭、うちのクラス来てね〜。ちゅっ♡」
その無邪気な仕草に、
俺は結局、抗えなかった。
「みんな、夏休みの宿題は終わった?これから提出してね」
「あれ?マイゴ、まだ出してないの?」
「あ……まだ、終わってなくて……すみません……」
外は桜が満開です!皆さんの心も、桜のように幸せが満開になりますように!




