第39話「クリア~!」
「お、ドロップ品かな?」
なんか杖が石棺の中にあった。
バッチいけど重要アイテムかもしれないから一応回収。そして、イビルグールの群れの下あごと合わせて、『我のねむ──』さんの下あごも回収しておいた。
ちなみに、中見はバラバラになっていたけど、なんかミイラっぽいモンスターだったらしい。
王冠とか豪華な装飾品もふっとんでしまったが、一応回収しとく。
「これで全部かな」
「トードーなんかある」
なんか?
ミールちゃんが石棺のしたを指さすと、なるほど、安置台の隙間から輝く光が漏れている。
「どうする」
「んー……さすがに罠ってことはないだろう」
多分、ダンジョンコアってやつかな?
だけど、石棺おもそ──
「よいしょ」
ズズーン!
「わーお。ちっからもっち~」
うん、ミールちゃんいれば大抵の事解決するわ。
重々しい石棺を彼女が持ち上げるとなるほど。
その下には眩い光を放つクリスタルのようなものがあった。話に聞くダンジョンコアって奴で間違いないだろう。
たしか、破壊か回収するんだっけ?
破壊は、敵と苦戦したとき苦肉の手段だろうし、ここは持ち帰ろう。
「触って大丈夫か確かめるから、さが──……あ、もう持ってるね」
「んー? キラキラだよ」
はいはい。
特に触っても問題なさそうなので、袋に詰めて持ち帰ることにした。
それ以外に宝はなさそうで、いまいちパッとしないダンジョンだった。もしかしたら見逃してるだけかもしれないけどね。
ちなみに帰り道はゲート的な便利なものはなかったので、そのまま帰った──。
そして、
ようやく入口に戻ってダンジョンから出たとたんに、轟音を立ててダンジョンが崩れ去っていったのだった。
※ ※ ※
ゴゴゴゴゴゴ────ずず~ん……。
「うわぉ、こっわー」
「潰れたー」
まさか、出たとたんに崩れるとは。
ダンジョンコアを破壊してららどうなったことやら。
「にしても、これで一応クエスト達成かなー」
「かなー」
扉だけを残して完全に埋まったダンジョンを南無と拝む藤堂たち。
すると、
「な、なにごとだ! 何の音だー!」
ダダダダ! と勢い込んで駆け込んでくる影が一つ。
もちろん、あの試験官だ。
「あ、ちょうどいいところに」
ほい。
小袋を投げ渡す。もちろん中身はイビル・グールの下あごだ。
「クエストアイテム。これで完了かな?」
多分一個でいいんだろうけど、せっかくなので、ボス部屋から全部回収。
合計25個です
「んな?! こ、これは──ばかな!」
「いや、バカなって……初心者のクエストなんだろ? 楽勝さ」
ま、絶対初心者用ではないだろうけどね。
「ぐっ……! い、いや、こんなの認められんぞ! だいたい、ダンジョンはどうした! なぜ消えている?」
「え? 知らん」
「なんかピカピカ取ってきたら崩れたー」
うん、その通り。
「ぴ、ピカピカ? 何の話だ」
「いや、これ──」
袋からコアをだすとピカー! と光っている。
「な! だ、ダンジョンコア?!」
「あ、やっぱりそうなんだ」
Bランクダンジョンとやらも大したことないなー。
「ば、ばかな! 踏破したものなどこれまでに一度も……」
「ん? そう? 余裕だったぞ」
主にミールが。
「よゆー!」
ぶい!
「な、ななななあ!」
その時の試験官の驚きっぷりと言ったら、
「じゃ、そゆことで──。え~っと、このままギルドに行けばいいのか?」
「そ、そうだな──いや、ぐ」
どっちだよ。
「わ、わかった! では、ギルドに報告に行け! あ、ゆっくりだぞ! 疲れてるだろうから、歩いて行けよ!」
いいな!
わかったな──と、くどいくらい念押しすると、試験官は、そのままダンジョン入り口を離れていった。
……あれは、多分走ってギルドに行く気満々だろう。
まぁ、別にいいけど。
「……じゃ、帰るか」
シャーマンで。
「帰るー」
こうして、楽勝にダンジョンをクリアした藤堂は、晴れて冒険者になれるということらしいので、カミラから分けてもらった討伐証明や今回ゲットしたもの、その他もろもろを含めて換金するためにギルドを目指すのであった。
※ ※ ※
そして、
のんびりとシャーマンで微速前進で町のビルボアの街に戻る藤堂一行。
すでにゴーズさんの姿はなかったが、前のほうをものすごい勢いで走っていくギルド職員が見えた。時々後ろを振り返っているところをみると、こっちの姿はとっくに気づいているだろう。追い抜いてやってもよかったが、これはこれで面白そうなのでつかず離れずついていく。
「ふんふんふ~ん、猫の糞♪」
「飯か?」
ご機嫌のミールちゃん。
飯の時間の催促かと思ったが、すでにポケットにはいつものDレーションが入っていたのか、取り出して軽く振って見せる。
「これあるからいー」
「ほっ。珍しい」
いつもなら喜んで食べるのにな。
ダンジョンで暴れたからそれで満足したのかな?……なんか、心なしかオーラみたいなのがでてみえるし──……あ、もしかして!
ステータスオープン!
※ ※ ※ ※
レベル:20(UP!)
名 前:藤堂 東
ジョブ:【シャーマン】Lv4(UP!)
Lv1→召喚
Lv2→PX
Lv3→補給
Lv4→改良(NEW!)
● 藤堂の能力値
体 力: 81(UP!)
筋 力: 118(UP!)
防御力: 197(UP!)
魔 力: 175(UP!)
敏 捷: 156(UP!)
抵抗力: 202(UP!)
残ステータスポイント「+76」(UP!)
固定スキル
【ステータス表示】【言語理解】
スロット1:言語理解
スロット2:召喚
スロット3:PX
スロット4:補給
スロット5:な し
スロット6:な し
スロット7:な し(NEW!)
● 称号「召喚されし異世界人」
● 称号「戦車乗り」
● 称号「山賊狩り」
● 称号「ダンジョン踏破者」
※ ※ ※ ※
〇臨時称号「アンデッドキラー」
→(アンデッドに対して、攻撃100%上昇、防御力100%上昇)
〇臨時称号「ようしゃないボスキラー」
→(ボスに対してファーストアタック時のみ、攻撃力上昇300%)
※ ※ ※
「うーわ、やっぱり……」
思った通りレベルがめちゃくちゃ上がっていた。
そして、藤堂でこれならミールちゃんももっと上がっているのだろう。……どーりでご機嫌かつ元気いっぱいなわけだ。
「それにしても『改良』か……」
シャーマンのジョブレベル上昇の条件がいまいちわからないが、藤堂自身のレベルに関係しているのかも。
それならそれでどんどんレベルを上げていくことは吝かじゃない。
すでに最強クラスの攻撃力を持っているとはいえ、強いにこしたことはないからな。
「念のため確認しとくか」
へるぷぽちー
※ ※ ※
『改良』……MPを使用して、砲身やエンジンを換装できる。
ただし、大規模な改良は不可。野整備の域を出ない範囲。
※ ※ ※
「ほう!」
換装とな!
ってことは、75mm砲からさらに強力に進化できるのか?
まぁ、今のほうの威力に不満があるわけじゃないので、必要に駆られるまでMPは温存しておいたほうがいいだろう。
エンジンについても同様だ。
「とはいえ、いずれ必要になるかもしれないな」
地球においても、シャーマンが常に無敵をほこってきたわけではない。
むしろ、やられ役としての側面があったのは否めない。ドイツ軍のシャーマン戦車しかり、朝鮮戦争でのT-34しかりと。
そういった新型の敵に対しては、砲を長砲身に換装したりと対抗したのはいうまでもない。
「──ま、ファンタジー世界でそんなたいそうな敵に出会うとは思えないんだけどねー」
でも、念のために頭の片隅に置いておこうと、藤堂はかんがえるのであった。
……そうして、町までの道すがらあれこれと考えつつも、試験官のあとを追って町に到着するのであった。




