Episode:泥棒猫24
原案:クズハ 見守り:蒼風 雨静 文;碧 銀魚
二日後。
ガゼボに来たのはビアとリアとクロの三人だった。
「お二人にお話があります。」
開口一番、ビアがそう言って、リアとクロの眼前に片手ずつを翳した。
かと思うと、二人の額にデコピンを放った。
「いてっ!」
「いたっ!」
反射神経がいいクロも、予想だにしないビアの行動に、反応出来なかった。
リアのほうは額を押さえて、そのまま蹲っている。
「リアさん、クロちゃん。この前の件で、無茶しましたね?」
珍しく、ビアは低い声でそう言った。
「えっ、何で知ってんだよ?」
クロが狼狽えながら尋ねた。
「詳しくは知りません。ただ、前回のお茶会の後に、急転直下で武器の出所がわかったと聞いて、ピンときました。それで、憲兵の方にお聞きしたのです。」
「あれだけ、口止めしたのに……」
リアが額を押さえたまま項垂れた。
どうやら、こうなることを読んで、リアが憲兵達に口止めをしてあったらしい。
だが、憲兵のほうも、よりよってビアに問い詰められたので、立場上、本当のことを言わざるを得なかったのだろう。
「二人とも、無事だったからよかったものの、毎回うまくいくわけではありません。こんな危険なことは、絶対にしないで下さい。」
「わかりました……」
「あたしは巻き込まれただけなのに……」
クロはどうにも納得できなかった。
その後、リアとクロは事の顛末をビアに説明させられたのだった。
「で、結局あの後どうなったんだ?」
一通りの事情説明が終わった後にクロが水を向けると、リアが溜息まじりに追加説明を始めた。
「武器の出所はあそこで間違いなかったわ。ただ、手下は大半を捕まえたものの、憲兵が屋敷に雪崩こんだ時には、親玉が逃げちゃってたらしいわ。捜索中だけど、今のところ所在はわかっていないわ。」
「ああ、上から指示出してた奴だな。」
クロはこの前の戦闘中の光景を思い出した。
「まぁ、顔は何人も憲兵が見たから、見つかるのも時間の問題でしょ。手下も何人にも捕まえてるし。そうなれば、黒幕まで辿り着くのもすぐだと思うわ。」
リアがそこまで説明すると、ビアがその眼前にスッと手を翳した。
そのまま、もう一発デコピンをかます。
「いたっ!」
反射的に額を押さえ、リアは再び蹲った。
「事情はわかりました。今回はリアさんが巻き込んだということみたいなので、もう一回お仕置きです。」
「……すみません。」
リアは素直に謝った。
「いい気味だぜ。」
そして、それをクロがせせら笑っている。
「クロちゃんも。リアさんが悪い誘いをしてきても、もう乗ってはいけませんよ。」
「はいよ。」
「……早く解決したかっただけなのに。」
どうもリアは承服できないらしい。
「とにかく、今後は二人とも無茶なことはしないように。二人にもしものことがあったら、私は絶対に後悔してしまいますので。」
「はーい。」
「わかりました。」
その光景は、母親に叱られる悪童二人のようであった。
その日の夕刻。
普段は来ないガゼボ付近に来たのは、バアジだった。
野暮用の帰りに通りかったのだ。
「ん?あんなところに人がいる?」
バアジは物陰に隠れ、ガゼボのほうを窺った。
「リアと、ビア・ヴェサルと、もう一人は……」
次の瞬間、バアジの口角が吊り上がった。
「これは、使わない手はないな。」
小さくつぶやくと、バアジは素早くその場を離れた。




