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街の本屋の泥棒猫  作者: 蒼碧
Episode:泥棒猫

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73/141

Episode:泥棒猫24

原案:クズハ  見守り:蒼風 雨静  文;碧 銀魚

 二日後。

 ガゼボに来たのはビアとリアとクロの三人だった。

「お二人にお話があります。」

 開口一番、ビアがそう言って、リアとクロの眼前に片手ずつを翳した。

 かと思うと、二人の額にデコピンを放った。

「いてっ!」

「いたっ!」

 反射神経がいいクロも、予想だにしないビアの行動に、反応出来なかった。

 リアのほうは額を押さえて、そのまま蹲っている。

「リアさん、クロちゃん。この前の件で、無茶しましたね?」

 珍しく、ビアは低い声でそう言った。

「えっ、何で知ってんだよ?」

 クロが狼狽えながら尋ねた。

「詳しくは知りません。ただ、前回のお茶会の後に、急転直下で武器の出所がわかったと聞いて、ピンときました。それで、憲兵の方にお聞きしたのです。」

「あれだけ、口止めしたのに……」

 リアが額を押さえたまま項垂れた。

 どうやら、こうなることを読んで、リアが憲兵達に口止めをしてあったらしい。

 だが、憲兵のほうも、よりよってビアに問い詰められたので、立場上、本当のことを言わざるを得なかったのだろう。

「二人とも、無事だったからよかったものの、毎回うまくいくわけではありません。こんな危険なことは、絶対にしないで下さい。」

「わかりました……」

「あたしは巻き込まれただけなのに……」

 クロはどうにも納得できなかった。

 その後、リアとクロは事の顛末をビアに説明させられたのだった。


「で、結局あの後どうなったんだ?」

 一通りの事情説明が終わった後にクロが水を向けると、リアが溜息まじりに追加説明を始めた。

「武器の出所はあそこで間違いなかったわ。ただ、手下は大半を捕まえたものの、憲兵が屋敷に雪崩こんだ時には、親玉が逃げちゃってたらしいわ。捜索中だけど、今のところ所在はわかっていないわ。」

「ああ、上から指示出してた奴だな。」

 クロはこの前の戦闘中の光景を思い出した。

「まぁ、顔は何人も憲兵が見たから、見つかるのも時間の問題でしょ。手下も何人にも捕まえてるし。そうなれば、黒幕まで辿り着くのもすぐだと思うわ。」

 リアがそこまで説明すると、ビアがその眼前にスッと手を翳した。

 そのまま、もう一発デコピンをかます。

「いたっ!」

 反射的に額を押さえ、リアは再び蹲った。

「事情はわかりました。今回はリアさんが巻き込んだということみたいなので、もう一回お仕置きです。」

「……すみません。」

 リアは素直に謝った。

「いい気味だぜ。」

 そして、それをクロがせせら笑っている。

「クロちゃんも。リアさんが悪い誘いをしてきても、もう乗ってはいけませんよ。」

「はいよ。」

「……早く解決したかっただけなのに。」

 どうもリアは承服できないらしい。

「とにかく、今後は二人とも無茶なことはしないように。二人にもしものことがあったら、私は絶対に後悔してしまいますので。」

「はーい。」

「わかりました。」

 その光景は、母親に叱られる悪童二人のようであった。


 その日の夕刻。

 普段は来ないガゼボ付近に来たのは、バアジだった。

 野暮用の帰りに通りかったのだ。

「ん?あんなところに人がいる?」

 バアジは物陰に隠れ、ガゼボのほうを窺った。

「リアと、ビア・ヴェサルと、もう一人は……」

 次の瞬間、バアジの口角が吊り上がった。

「これは、使わない手はないな。」

 小さくつぶやくと、バアジは素早くその場を離れた。

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