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冬夜の恋バナ

夜、なんだか眠れなくて、僕は独りでお散歩しに行く。とは言え、居住区から出られるわけがないから、僕は室内で適当に歩くだけ。


「どうなさいましたか?長門さん」


え?リジルザックスさんの声?話の相手はえりな!?こんな深夜で二人がここで何を!?


「敬語は大丈夫ですよ」


「ではお言葉に甘えて、長門さんはここで何をしているんですか?」


あの、それまた敬語ではないか?それにえりなも。


「いや、ちょっと眠れなくて、ここで飲みながらちょっと事を考えだけ」


「お酒ですか?」


うん、普通であれば、こんな場合はお酒のはずだろ。しかし匂いからわかる、それは酒ではない、カミトの好物であるココアだ。でもえりなが飲んでる事から見ると、えりなも相当好きだそうだ。


「いや、ただのココアですよ。私やカミトは剣成と違う、酒はあまり飲んでないから。正直これはカミトがよく飲んでるから私も試しに飲んだ後、いつのまにか習慣になってね」


「よろしければ、私にも一杯いただきたいです」


「飲んだことは?確かにザッドにはココアがないと聞いて」


「はい、赤城さんを待つ時、織姫さんからもらえた事があります」


「織姫ちゃんか。彼女もカミトがよく飲んでるせいでよく飲むになったな。それにしても、まさかカミトでもその任務に時間をかかってしまったなんて、私でも予想しなかった、すみませんね」


カミト、お前は一体どれほどココアを好きなんだよ、おい!それにその任務は一体…?僕の疑問は聞かれるはずもない、二人は話を続いた。


「いいえ、もう大丈夫です。それに私たち巨龍は長生きですから、こんな短い間はほんの一瞬にすぎませんよ」


「そうか。どうぞ」


リジルザックスさんが話す時、えりなは彼女のためにもう一杯のココアを用意できたようだ。多分カミトがよく飲むから、えりながココアを淹れ手際は良すぎる。


「少し熱いので、気をつけてください」


「はい、しかし織姫さんから聞いた事があります、ココアは熱いうちに飲む方が美味しいって」


「まあ、人々によって好きな飲み方は違うけどな。カミトはよくアイスココアでも美味しく飲んだよ」


カミトお前…


「あ、そういえば一つ赤城さんに言わないといけない事が忘れました」


なんの事だろ!?現状から見ると、告白ではないはずだと思う。


「なんの事でしょう?」


「この上なく重い責任をかけさせてしまって事、本当にすまないって、星辰の女神様からの伝言です」


「もう、ミヤビったら」


アリスの声。え?どうしてアリスがここに!?


「アリス、なんてここに?!」


えりなは僕と同じ驚いたそうだ。


「多分えりなと同じ理由だと思うよ」


「あ」


え?どう言う事?


「どう言う事ですか?」


僕だけではなく、リジルザックスさんも聞きたいようだ。


「カミトはよく任務に出張して不在だったから、私はもう慣れたけど、織姫ちゃんは未だ慣れてないから、少し時間を彼女に分けただけ」


「さすが長門さん。しかし独占欲とかないのですか?」


おい、リジルザックスさん!何を言ってるのよ!?


「独占欲がないと言ったら嘘になるんだろ。カミトはえりなの大事な旦那だぞ」


アリスのその言葉はどう言う意味なのだろう?


「では一体…?」


そう言えばリジルザックスさんは知らないよね、あの「結衣」の事。


「今は私と織姫ちゃんを守りたいと言う思いで動いているけど、カミトの原動力は、あの日の悔しさだ。誰かを守れなかったと言う深い後悔」


そしてえりなは結衣の事をリジルザックスさんに教えた。既に詳しく知っている僕はわかっている、それは決して平気で言える事ではない。


だってそれはあの頃からカミトの心は100%えりなのものではない事に何よりの証拠だから、言う度にはえりなの心はナイフに刺されられるような痛いと思う。だからそれでもカミトから離れないえりなを尊敬すべきだ。


「それを聞いたら、はっきりわかっていませんが、私の心の中には赤城様に対して特殊な気持ちが起こしてしまって、あの人を放ってはいけない気がする」


結衣の事を聞いたリジルザックスさんはなんだか納得してほっとした、そして何かを思いついたような顔になった。


「それ、どう考えても『好き』と言う気持ちですよね、リジルザックスさん」


この声は…杏!?なんてこんな時間でこんなところに!?


「好き?私が赤城さんの事を…あう」


どうやら確認できたから、リジルザックスさんは両手で自分の顔を塞いだ、おそらくそれは恥ずかしすぎて赤くなっているんだろ。


「ひとまずそれを横に差し置いて、杏も眠れないの?」


「ああ、そして少しこの辺で散歩をするつもりだったが、話を聴こえて、そしていい匂いがしているから」


杏はえりなのコップを見ながら言った。


「そうか、これココアだけど、いる?」


「熱いのをお願いします。それにしても、織姫さんの時は詳しく知っていませんけど、赤城さんは相当な女誑しですね。よくえりなさんが赤城さんと一緒になったね」


「カミトはそう言う気がないと思うけど…」


杏は本当に成長したようだね。えりなに対してそんな冗談まで言えるようになった。しかし織姫はわかるけど、リジルザックスさんのきっかけは一体…?


「ありがとう、暖かい。そしてリジルザックスさん、赤城さんを好きになったきっかけは?」


杏はえりなから貰ったココアを一口飲んだあと、リジルザックスさんに声を掛けた。


「うぅうぅ…」


だめだ、リジルザックスさんはまだ回復してない。っていうか、なんかリジルザックスさんのキャラが違う?


「リジルザックスさん、大丈夫?私が悪かったから」


杏が謝ったけど、リジルザックスさんは依然手を顔から離れない。


「いつまで落ち込むする気?」


アリスはテーブルに立ててリジルザックスを指摘した。


「女神様…」


「聖魔の女神、即ち私の本体がこの世に与えたものは、ただの善と悪だけではない、性格や思考そのものだ。だから誰かを好きになるのは自然な事、別に恥ずかしい事ではない」


「でも…」


「でもなんかじゃない、あなたはどう考える、それをしっかり整理しなさい!」


うわ、アリスのこんな厳しい言い方は初めて聞くけど。


「はい…」


「さすが女神様ですね」


「何を言うの?杏、あなたもよ。あなたのような若い女の子は誰かを思っているのも自然な事だ。それにあなたの心には既にそんな相手がいるではないか?」


え?女神様?それはどう言う?


「確かにその雰囲気を感じられるよね、あくまで女の勘に過ぎないけど」


待ってよ、一番現場の情報から状況を判断できるえりななら、それは勘ではなく、確信だろ!


「うぅうぅ」


おそらく自分がリジルザックスさんにした事はどれほど残酷な事を知ってしまったから、今度は杏が自分の顔を塞いだ。


「シンさんだよね、姉さんが思う人」


え?今のは憐さん!?


「すみません、おトイレの途中で面白そうな話を聞きましたからつい」


「いや、大丈夫だよ、これはあくまで間話だからな。それに、まさかシンなのか」


「姉さんは私と話す時、話に出た一番多いのはシンさんですから」


「憐、やめて!」


杏は泣きそうな顔で憐を阻止したいけど、無駄だった。


「私と姉さんは双子ですから、姉さんの考えを一番知ってるのよ」


「うぅうぅ」


「では杏さんは私と一緒に恋バナ?をしましょうか」


やっと復活できたリジルザックスさんは杏に最後の一撃を与えた。


ちなみに、それは時間潰しのために、リジルザックスさんがとある女性隊員から貸してもらった少女漫画から習いだ言葉だ。リジルザックスさんは、ザッドにはこんな事をしないとか言いつつ、興味深そうにしっかり読んでいた。


「よく考えば、きっかけと言えること、多分それはザッドを救えた英雄として憧れていただろ。そして星辰の女神様から三人目の話を言ってくれたから、その憧れは少しずつ恋変わって来た、うん、きっとこうです!やっぱり『少女漫画』が描いた事は本当ですね」


「もう、ミヤビっだら」


ちなみに、その少女漫画は暇潰しの為に、とある女性隊員からリジルザックスに貸したものだ。


「アリス、まさかそれもカミトの精神を鎮める為?この前言ったのあれ」


「まあ、一応そう言う事だ。それはこの前の女神会の時、ミヤビからの提案だけど。要するに彼女はカミトが一気にランクアップしての凶暴性を心配しているから」


「やっぱりそう言う事ね」


その女神会は一体…?おっと、聞きたすぎは良くない、トリーは良く言っている。


「では杏さんは?」


自分の話を言ったから、リジルザックスさんは興味満々の表情で杏を見る。そしてえりなからココアをもらった憐も。ちなみに多分自分の気持ちをちゃんと整理できたから、リジルザックスさんの顔はすっきりしたようだ。


「あ、あのね、私はそれなりに体術が得意しているから」


杏がようやく復活したけど、それはなんの話か?


「確かに、戦闘兵科の歴史から見てもかなり優秀だと言えるほどだよ」


えりなの頷くは杏の話を証明した、へい〜そうなんだ。


「確かに姉さんは小さい頃から武術なんかのよく練習していたのね」


「それでね、初めて私と対練できるのはシンなの、だからあの時から興味が…」


「それは一目惚れという事ですね、例の少女漫画も書いていましたよ」


「そう言えばさっきも言った気がするけど、そんなものまで読んだの?」


どうやらそれはえりなが知らないうちにやったことのようだ。


「はい、せっかくこのアースに来たから、この星の文化を少しでも勉強したいと思って」


そこは素直に暇潰しと言うべきではなくて?


「姉さんの話を続きましょう」


あ、そうだね。


「そしてドウーイングレイヴンの時期から、シンはいつも目標担当(ジョーカー)を担当していたから、心配をする度に、なんだか特別な想いになっていく」


「そうですか、杏さんも大変ですよね」


リジルザックスの素直の感想に対して、杏の話を聞いたえりなはどんな反応をする方がいいわからないような表情になっている。


「これをシンに言わないて!長門さん!お願いします!」


「わかっているわ、少女の心を踏みにじるような真似をしないよ」


「ありがとう」


「ところで、えりな、リジルザックスの事はどうする?」


まさかアリスがえりなにそれを質問したとは。


「リジルザックスさんの事?どう言う事?」


えりなは少し困っているような顔になった。


「私も知りたいです」


ちょっ、まさか織姫まで!?


「ちょうどいい。私の知る限り、あなた二人もそろそろ限界だろ」


まさか一気に夜の話を始めたなんて、さすがに僕は予想をできなかった。


「さすが女神様だね。戦闘勤務が激減したカミト、確かにちょっと体力過剰な気がする…」


えりなの話によると、やっぱりカミトは最高級戦闘兵(ランクレッド)だと思う僕は変なのか?     


ちなみにカミトは一人でみんなの演習相手をしたから、久しぶりの過負荷状態で早めに寝たそうだ。


「えりなさん、織姫さん、今はまだあくまで私の片思いにすぎませんから」


「片思い…それはつまりあなたは確かにそう言う気持ちを持っていると確信したのね」


「はい、さっき女神様の助言で、私は自分の気持ちを整理できました」


「えりな姉さん、これはちょうどいいではありませんか?巨龍のリジルザックスさんなら!」


「そうね、人数が増えることは不本意だけど」


「でもえりな姉さんと私も限界だから」


おい!姫だぞ!そんな話をするのは大丈夫か!?


「まあ、それはともかく、憧れと理解の距離は遠いから、ちゃんとカミトを理解したからもう一度自分の気持ちを整理してもらいたい。あともうすぐ朝明けだから、みんなはちゃんと休もうように」


えりなは自分が使ったコップを洗って置いたから離れた。もちろん織姫もついて行った。


そして僕はさっきえりなの話が正しいと思う。確かに今日までリジルザックスさんとカミトの交流はあまりなかったのはずだったから、お互い深く知る時間は必要だ。


そしておそらくえりなもリジルザックスさんは信頼できるかどうかを判断したいだろ。


みんなは解散したから、僕もシンの部屋に帰って寝ようとした。

お待たせしました

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