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最終試練の幕開け

「来てくれてありがとうね、ヴィク。審査の仕事は何度もやったけど、やっぱり決断をするにはプレジャーを感じるよね」


凛は僕を撫でてながら、意外にちょっと弱音を吐いている。


ええ?凛でもプレジャーを感じるの?てっきり凛はプレジャーなんて感じられないタイプだと思った。


「その顔から私でもわかるような全く信じてくれないように見えるけど」


だって、凛はアース最強の部隊セラフィーブリンガースの総隊長の大和凛ですよね!このアースをずっと守っていた最強の指揮官ですよね!


「世界を守り続けてきたからプレジャーを感じているのよ。この私に世界と言う重過ぎる責任を背負うなんて…」


「だから俺たちがいるんだ。新しい部隊を立てるために離隊したとは言え、カミトの奴もきっとそう思う」


「時雨の言う通りです、総隊長」


「凛、あなたは考えすぎ!私たちは一緒にその責任を背負うためにここにいるのよ!」


「私も頑張ります!」


「斎香の奴、一体どんな人を選んだ、私はこの目でしっかり見極めようとしますよ」


「みんな、ありがとう」


戦闘兵科長の剣成、支援兵科長の北上さん、技工兵科長の奈美さん、狙撃兵科長の麻美、そして通信兵科長代理のソフィアさんは強く宣言したから、凛の顔はやっと少し楽になったと見えた。


「あの、私もここにいるのは本当によろしいでしょうか」


唯一兵科長ではないのレイコは恐れながら質問した。


「あなたも知りたいでしょう、あの子たちはどんな人を選んだ事を」


「そ、そうですけど…でも」


「だからあなたにも見せたい、自分の後継者を育つとはどう言う事をな」


北上さんは言った。


「それにレイコさん、カミト元兵科長の身内の一人として、私の判断をチェックしてもらいたいです」


「麻美さん…」


「私、知ってますよ。レイコさんも元狙撃兵科出身って事」


あ、北上さんが言ったあの失敗だね。


「わかりました」


てっきりレイコはまた何か言いたいと思うけど、あっさり受け入れた。


「ところで、凛、今日の審査基準はどうする?」


「もちろんこのアースを守れるかどうかよ」


「了解した」

「はい!」

「わかりました」

「頑張ります!」

「仰るままに」


みんなは凛の指令に応えた。


「これより、戦闘兵科と狙撃兵科、そして通信兵科の共同テストを行います」


通信兵科の一人が司会を担当して、アナウンスを流れた。


「今出場したのは狙撃兵科のロックオン=スタウダマイヤさんとその弟子のシャルロット=イヴァンニさんです」


ロックオンは女の子のシャルロットさんを選んだのは才能だけではない、斎香に近づく男を増やしたくないからだそうだ。


「まあ、ロックオンの奴は斎香以外の女を見るなんて不可能だからな」


でもえりなだけを見ていたカミトは織姫を迎えたよ?


「それは特例だからな。邪悪神ニンザスと関わらなかったら、きっと今のように二人目の妻を娶った事はないだろ」


確かにそうだけど。僕は心の中でそう呟いたけど、剣成はもうこっちを見てない。審査を専念して演習場を鋭い目で見ている。


「続いて出場したのは、龍宝寺国光さんと弟子のバラガント=ノヴェールさんです」


国光は男を選んだのはおそらく彩子が女の子を許されないだろ。そのバラガントの目は鋭いと見える、なんか期待できそうな気がする。


「そして三人目は、赤城桜さんと弟子のシャザリン=マルフォースさんです」


桜の弟子であるシャザリンさんは元通信兵科だと聞いたけど、なんて狙撃の才能を持つなのに、適性は通信兵科になったの?


「適性と能力は違いものだからな」


え?そうなの?


「シャザリンの狙撃はもはや完成している、だからこそ悪い癖ばっかりだ。剣輝を瞞しながら彼女を直すには、きっと大変だったな、桜は」


あ、そういえばそうだね。


「しかし私たちは手加減をしません。桜もきっとそう望んでいるはずです!」


「もちろんだ。俺らの敵は手加減をするはずもないな」


多分狙撃兵科だからかな、麻美の顔は見たこともない真剣になっている。剣成は麻美の話に頷いた。


そんな彼らの演習相手として待機しているのは、シンと広一と顕衛だ。だから僕がここにいるわけだ。カミトが来ないのは、他に任務があるだけではない、この最終試練は凛たちに任せたから、カミトと関わらなくなった。


厳密に言うと、シンと顕衛は戦闘兵科、広一は狙撃兵科に扱っている。でもロックオン、国光、そして桜、三人全部狙撃兵科だよね。


「それはどうした?」


いや、アンバランスじゃないかと思っているだけ。


「敵はこちらの都合に合わせるわけがねえだろ」


あ、それもそうだね。全くもって剣成の話通りだから、僕が納得した。


しかしこうすれば、全部麻美の判断にかかっているじゃない?


「だからこそカミトのやつが来なかっただろ。あいつが居れば、麻美に余計なプレジャーをかけてしまうからだ」


それもそうだね。元上司だけではなく、狙撃兵科としては一番凄いな人だからね、カミトは。


「演習科目は荒野の遭遇戦に想定、お互いのスタート位置はランダムと決めます」


荒野の遭遇戦?それは狙撃兵科にとって一番不利な戦場ではないか?まさかわざと?


「それはどうかな」


剣成のその無関係な顔から見ると、絶対にわざとした。


「こうしないといけません。だって世界を守るために、これ以上険悪な状況はまたたくさんありますから」


麻美の追加説明で僕が納得した。それもそうだね。

お待たせしました。

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