玲
「さすが玲様、さっきの演出は素晴らしかったんです!」
「ありがとう、サファリアン」
「音の神龍である私も、その素晴らしさを讃えます」
「ありがとう、シアンシャズ。では帰ろか」
「はい!」
私の指令に、サファリアンはすぐ車の運転手を呼んできた。この数ヶ月、ザッド人のサファリアンも相当アースに慣れた。
今の私は世界でコンサート巡回をしている。音の聖女としては、自分の音楽をこの世の民に知らせるのも一興だ。
「よ、玲。コンサート、悪くなかったぞ」
「ありがとう、兄様」
家に戻ったら、こうやって私に声を掛けてくれたのは、私の双子の兄、遠藤哲。
「よ!明日私たち演出があってね、一晩お邪魔するよ」
「知愛さん…」
知愛さんは蝕の聖女であるけど、兄様の楽団メンバーでもあるから、私とはちょっと腐れ縁になる気がするけど、知愛さんギターの実力は兄様に劣れてないことを承認できる。
そう、兄様の楽団『輝き風』、今はこの世の中に大ヒットしている。ちょっと屈辱だけど、さっき私のコンサートも兄様の名を使って宣伝した。
「俺たちもお邪魔するぞ」
「玲さん、騒がしすぎてごめんなさい」
同じ兄様のチームメンバー、椎名靖和、誠野嵐、深林梅葉、そしてもう一人の女性メンバー、橋林燿子さんは私に挨拶してくれた。
まあ、昔からこんな人たちだったから、今さら文句を言わない。それより、よく燿子さんが耐えられるよね。
「みんないい人だし、それによく失敗する私にも見捨てなかったし」
兄様たちは決して仲間を見捨てるような真似をしない事は知っている。兄様が外国に留学して楽団から三年離れたのに、それでも椎名さんたちは兄様を放棄してない、ちゃんと兄様の回帰を待っていた。
ちなみに兄様はメインフォーカル兼ギター、誠野さんと知愛さんもギター、深林さんはベース、椎名さんはドラム、そして燿子さんはキーボード。
メインフォーカルだけど、全ての歌は兄様が歌う訳ではない、歌によってフォーカルも変える。
そんな楽団は最初知愛さんと燿子さんがいなかった高校男子楽団だったけど、今は世界の舞台まで登り上がった。正直に凄いだと感じる。
「顔が似ていますが、玲様の兄と玲様は全然違うタイプですね」
兄様をサファリアンに紹介した後、サファリアンからの感想。当然な事だろ。何せ兄様のヴァイオリンもこの私に劣れてないくらいに凄かった。さすが私の兄様。
人がちょっと多いだけど、父と母は仕事のせいでほとんど家にいないから、泊まるには大丈夫だ。
「はい!シアンシャズ!握手!」
誠野さんはシアンシャズを普通の犬に見てる、どうしよう。
「玲様、誠野さんを阻止しますか?」
サファリアンはこっそり私に確認してくれた。しかし露骨に阻止できない。だって兄様たちは私と知愛さんがザッドの聖女である事を知らないからね。
「よし、晩ご飯の前に、少し練習しようか」
椎名さんは真面目な人でよかったと思う、高校時代で常に学年三位以内保持したのは伊達ではなさそうだ。
父は兄様と私がやりたい事を理解してくれたから、家の中にオーケストラでも練習できるほど広い練習室を建ててくれた。もちろん今私と兄様はちゃんと資金を父に返した。
そして興味があるから、私も聞くに行った。私が行くから、サファリアンとシアンシャズも私と一緒に兄様たちの練習を見に来た。
相変わらず素晴らしい連携だ。言葉がなくても、椎名さんの信号でどんな曲を理解し、みんな一緒に音楽を楽しながら、観者に音の饗宴をくれた。
「失礼のはわかりますけど、やっぱり玲様の兄さんは伊達ではありません。この私でもその凄さを理解できています」
「この私とも共鳴している…さすがだな」
「私の兄様だから、これくらいでないと」
本当だ。兄が持つ才能は私より凄いだと思っている。もし兄はヴァイオリンの道に専念すれば、きっと私以上の成績を容易い達成できるだろ。
なのに兄様はロックンロールの道を選んだ。そして私が兄様の歌を初めて聞いた時、兄様の声に恋をした、妹なのに。
ドン!
椎名さん突然の大きなドラム声、これも演出の一部なのか。
続き流れたのは間違いなくラブソング、そして兄様の声の感情が溢れすぎて、思わず涙が出てしまった。
「玲、お誕生日おめでとう」
兄様、ずるいです!私が涙を拭く時、そっと私の前にやってきて、そして頭を撫でてくれたなんて。
「ちょっと遅れてしまったけど、みんなはどうしでも玲に祝福したい」
「私たちも同じ気持ちです、お嬢様、お誕生日、おめでとうございます」
使用人たちも兄様と共謀したのか?このタイミングで誕生日ケーキを持って来てなんて。
どうしよう、今すぐザッドの事を曝したいくらいに感動している。
決断のは玲様ですが、今はまだ時機ではありませんと。
わかっている、シアンシャズ。知愛さんも私の気持ちを理解したそうで、静かにケーキを食べている。
「それは良いではありませんか?」
寝る前に和歌奈と連絡してさっきの事を語った。まあ、嬉しいかどうかと言えば嬉しいに決まってるだろ。
そしてこの前の和歌奈の気持ちを理解した。確かにこれは恥ずかしい。
和歌奈に謝るつもりだけど、なかなか言いにくい話だな。
「お誕生日、おめでとう、玲」
「ありがとう」
和歌奈からの祝福を素直に感謝した。
「誰と通信してるのか?」
兄様の数少ない欠点の一つは、ノックしなくて勝手に私の部屋を入ってくる。
「初めまして、玲さんの兄さんですね。私は綾崎和歌奈と申します」
「は、初めまして、玲の兄の哲だ、よろしく」
あのさ、兄様。和歌奈さんはとても綺麗だとわかっている、そんな顔しちゃダメだよ。
「では私は先に失礼します。おやすみなさい」
「あ…」
ほら兄様、私の言う通りだろ。
正式紹介するなんて無理ですよ、兄様。和歌奈さんの護衛であるあの人はサファリアンより怖いだぞ。それに同じお金持ちだけど、綾崎家は私たちが比べられないほど上だぞ。
全く、これは一目惚れのか?
まあ、こちらは面会の機会を打診するけど、あまり期待をしないてね、兄様。
お待たせしました




