勇気と約束
「あとは頼む…」
俺の雷光剣が予定ポイントに到着した時、機龍は既にそこで俺を待っている。さすがガーディアンスの前線部隊、ランクレッドが無くても作戦をしっかり達成した。
しかし彼らの増援が少し油断してしまったのか?一機のPAWSが俺の前で機龍に刺し貫いた後爆発した。
遺言のようなものだけ俺に残された。
「お前の無念、決して無駄にしない!」
心の中でそうやって唸ったら、機龍は俺を気づいた。プレジャーは一気に上昇した、これはなんと言う恐怖感!
この瞬間、俺は時雨さんと赤城さん、そして他のセラフィーブリンガースのみんなの強さを理解してしまった。
いつもこんなプレジャーと対抗しながら戦ったのか?一体メンタルはどれほど強くのか?
馬鹿な事を考えた時、機龍は俺に向いて攻撃をかかって来た。
機動性はこっちが上のはずなのに、重そうな機龍は難なく追いつけていた。
まさに化け物だ。
そして今その化け物と対決しているのは。
俺。
こんな無謀な計画を立てた俺は本当に馬鹿だな。
今ようやくシンさんの言葉を理解出来た。
こんなものと対面するだけで充分な勇気必要だって事、セラフィーブリンガースの連中は一体どうやってできたんだい?
激烈な戦闘の中に、俺は理解した、これは今俺が超えるべき試練だと言う事だ。
それに、彼女との約束も守らなければ。
機龍の口が大きく開いて、光線が集中している。
まずい!回避しないと!
そう思った同時に、強烈なビームが俺に発射された。
『右肩装甲、飛散』
俺のAI TAMARAから機体の損傷状況を報告されて、機体情報の画面も右肩装甲が消えた。
雷光剣の防御力は光子フィールドに大きく依頼しているから、本体の防御力は120ミリの戦車砲すら耐えられない、だから機動性で補足する。
この機龍、まさかそれを知っているのか?だから俺に光子フィールドを展開する時間を渡させられない。
ならば射撃戦を諦めて、近接戦を!
狙撃兵なのに近接戦を取るなんて無謀な行動だと思われるかもしれん、俺の狙撃の弱点をカバーするために、俺は近接戦を選んだ。
元々ランクレッドの訓練はどの兵科でも近接戦闘訓練がある、それを更に磨く感じだけ。
伝統的な操縦方式なら、生身の経験は機体の戦闘力に転換しにくい。しかし雷光剣のダイヴであれば、生身の身体能力は大きく機体の性能を左右する。
だからカミトさんもかなり己の近接戦能力を鍛錬した。全ては必要な時に、目標を一撃必殺するために。
さすがに近接戦はきつい、とは言え元々戦闘短刀で機龍と戦えるはずがない。見せてやろ、これはあのカミトさんも身に付いた拳銃格闘術だ!
二丁光子拳銃を手にした、俺は機龍との距離を短縮した。
まさか俺がこんな行動を取る事を予想しなかっただろ、ほんの瞬間だけと、機龍の動きが遅かった。
そうか、そう言う事か!
セラフィーブリンガースの通信兵科長、カミトさんの妻であるえりなさんの調査によってわかった事の一つ、それは異種たちの行動パターンは俺たちの世界の機械AIと似てると仮説を立った。
その仮説を踏まえて、えりなさんは対異種用光子コードを建てた。今のところはセラフィーブリンガースだけ試験を行なっているが、一部認められたランクレッドもだそうだ。
どう言っても、今の俺にはそんなものはない。
「ご主人、たった今対機龍用光子コードをダウンロード完了しました。同時にセラフィーブリンガース赤城カミトさんからの伝言があります、お聞くになりますか?」
TAMARAからの報告、驚いたが、ちょうどいいタイミングだ!
「伝言を」
俺は機龍の攻撃を避けながらTAMARAに伝言を要求する。
「『ランクレッドの模擬訓練は機龍と戦ったとは言え、模擬と実戦が全く別物だ。えりなからお前にコードを渡したが、それはお前にとって使える物になるかどうか、今はわからない。とりあえず、五分間よろしく』以上です!」
カミトさんらしい伝言だな。
五分間か、厳しいが、頑張るしかない。そういえば、セラフィーブリンガースの基地はかなり遠いだと聞いた、本当に五分で到着できるのか?
それはどうでもいい、今は目の前の事を専念しろ、いくぞ!
機龍の大きな爪からの攻撃を避けて反撃射撃したけど、PAWSの拳銃クラスの火力は機龍の装甲を貫けるはずがない、あくまで牽制するしかできない。
PAWS標準戦法の一つとは、雷光剣や短剣式のような近接装備を持つ機体が前で敵を牽制している間に、後ろの遠距離攻撃でトドメを刺す。
今後方がいないが、俺のミッションはカミトさんが来るまで、大きな被害を出さないように敵を牽制する事だ!
だからできる限りこいつをここで食い止めるは俺がやるべきことだ!
ちょっと原始だけど、機龍の爪や牙による攻撃は戦車砲以上の威力がある。その上でビーム射撃もできる、まさに厄介な相手だ。だから俺は全ての精神を敵の動きに集中しているから、なんとなく避けられながら牽制射撃できた。
既に多数のビルが機龍の攻撃による壊されて、今は廃墟になっている。犠牲者もそれなりに出ていた。俺が機龍を引き受けた後、ガーディアンスは民の救援を手伝いしに行った、当然な判断だ、さすがだな。
おっと、こんな至近距離でビームを撃ちたいのか?こっちが命中されたら終わりだ!させるか!
避けるには間に合ったけど、急いで避けたから、少し足が崩れた廃墟に引っ掛けてしまった。
機龍もチャンスだと判断しただろ、俺に襲いかかって来た。
俺は拳銃を放棄し、戦闘短刀を手にした。本来それは機龍の爪をガードできるように出来ないはずだが、今回はちゃんと光子フィールドを展開しているから、機龍の攻撃と対抗できた。
撃ち合いの点から眩しい光が爆発して、俺は機龍の力によって後ろに弾かされた。
「損傷状況は?」
「光子フィールド展開限界まで三十秒」
まさかその一撃で光子フィールドの稼働時間を大幅に減ってしまった。
「クソ、この残量では…!」
機龍の威力を知ったから俺はずっと光子フィールドを展開している、それだけでかなりエネルギーを消耗していたのに、機龍の一撃で戦況を更に悪化してしまった。
「光子フィールド機能、停止しました」
俺が戦いながら馬鹿な事を考えたのに時間は経っていた。TAMARAの無機質の声からの宣告、あまりにも無情だと聞こえる。
機龍はこっちの状況を待ってるわけがない、止まらずに依然攻撃をかかって来た。
機能停止に驚いたから、避けるには遅かった。
彩子、ごめん。どうやら約束は果たせないようだ。
『小僧、頭を右五度に』
突然、声の主は誰かがわからないが、俺はその話に従った。
頭を偏移した瞬間、強烈な光子射線は俺の雷光剣の頭の側に通って、機龍の防御力を無視するように機龍を貫いた。
こんな精密な射撃、あの人しかできないはず。
「敵性反応、消滅しました」
まさに間一髪。
『国光、大丈夫か?』
「はい、何とか生きています、赤城さん」
その声と前の声は違うけど、今聞こえたのはその狙撃を撃った張本人に間違いない。
そうか、俺、できたんだか。
『磨くべきところばっかりだが、初陣としてはよく出来た』
俺を頭を偏移しろと命令された声、今思い出した、この声の主は…!
「ありがとうございます、時雨さん」
おそらくこれは初めて時雨さんから讃えられた。
俺は下意識で振り返って見ると、遙か遠く空の中に二つ光の点が閃いている。
さすが赤城さんと貫雷魔剣、伝説の三十万キロメートル狙撃に及ばないが、これも万キロメートル以上の距離だろ。
三十分後、聖剣と魔剣はようやく俺の前に着陸した。
時雨さんと赤城さんはコックピットから出てきたから、俺も雷光剣から降りた。
「頑張ったな」
赤城さんは俺の肩を軽くたたかれた。
「はい!」
「お疲れ」
時雨さんは俺に向いて頷いた。
周りのガーディアンスたちもこの二人を知っているようだから、後処理があるのに、時々この二人にサインしてもらうために来た。
まあ、この二人はガーディアンスの超有名人だからな。
「ところで、カミト、まさかこんな程度の機龍が再び現れたとはな」
「やっぱりお前もそう考えているな」
「俺の勘が妙だと」
「お前のは勘じゃなく、予知だろ」
「とりあえず全ての資料は凛に送るように」
「もちろんのことだ」
この二人の会話によると、まずい状況になっている気がする。
昔はシンさんが言った大任務を期待していたけど、彩子と結婚したから、こんな簡単な生活も悪くないと思った。
「あなた!」
未だその声に返事してないのに、誰かが俺を強く抱きしめた。
一体誰なのかのは考えまでもない。
「心配させたごめん、彩子」
「無事でよかった…いきなりそんな怪獣と戦うと言い出したなんて…」
彩子は呟きながら、俺の胸を連続叩いていた。
ランクレッドの訓練を受けた俺には甘える事だと感じたが、今は彩子の涙を拭くしかない。
「そうか、この人はシンが言ったお前の嫁か」
「はい、彼女は桜翔彩子です、赤城さん、時雨さん」
「彩子、この二人はシンさんの上司である赤城カミトさんと時雨剣成さん」
「初めまして、私は龍宝寺彩子と申します、夫はお世話になります」
あ、そういえば日本には結婚したから妻が夫の苗字に変えるよね、ガーディアンスのみんなはえりなさんのように変えてないからうっかり。
「そうか、君は龍宝寺国光か、シンから聞いたより有能ではないか」
いつの間に俺の隣に一人の女の子がやって来た。一般兵の緑色制服を着ている、どう見ても日本の高校生っぽい感じなのに、目線は鋭い。
「杏、なんてここに?」
「現場見学の名義でライラさんから許可を取った」
「そうか、確かに卒業は来月か?」
「はい、今演習戦闘は三戦の内に両勝を取った、卒業できると見込んでいる」
「それは凄いな。では俺からの試煉の状況は?」
「はい、憐は上手くできている、今のところは支援兵科のトップに。他のみんなも大体大丈夫。しかしエミリさんは少し停滞しているようだ、それに関して保護者のカミトさんに何とかしていただければと」
この人はカミトさんと剣成さんが知り合いのようだ。凄いな、一般兵なのに、この二人と対等会話できるなんて。
それよりカミトさんが保護者…!?
この子は一体何者…!
「小僧、この子はシンの上司になる予定の藤原杏、いろいろがあってから、今は軍士訓練学校で頑張っている」
おそらく俺が困っていると見えたから、剣成さんは彼女を俺に紹介してくれた。同時に彩子が俺を掴む力がさらに強くなった。
「剣成さん、私は元からシンの上司ですけど」
「確かに、これは失礼だな」
元からシンさんの上司?つまり彼女はあのトワイライトレイヴェンの指揮官だったと言うのか?
「どう言うわけで、エミリをカミトさんに任せられる?保護者だし、狙撃兵の教官だし」
「保護者制度をこうやって運用するのはおそらくお前が初めてだな。しかしライラの下に有能な狙撃教官ばっかりのはずだ」
そのライラさんはおそらく、赤城さんの教官を担当した最強だったと言われた狙撃兵の事だ。今は前線から降りて、教育に専念していると聞いたが。
「そのライラさんの建言だよ、エミリの狙撃タイプはカミトさんたちと同じだから、学校の教官には無理って」
そう言う事なら仕方ない。赤城さんの狙撃タイプ、簡単に言うと、その強力な空間認識能力に任せて弾道を想像して狙撃を成す。
距離やいろんな要素を無視して想像だけで狙撃をできた。
だから化け物と言った。
「そう言う事か。わかった、休みの日を教えてくれ」
「感謝する」
杏とカミトさんの会話を聞いた、この杏はきっと高くに行けると、そう思わずにいられなかった。
「卒業した後、私は正式にシンの部隊、ドンイングレイヴンの部隊長に就任するから、その時はよろしくね」
「よ、よろしくお願いします」
シンさんの上司だから、俺も敬語を使った。
現場の後処理も終わったようだから、彩子は俺を掴みながら、説明を要求する顔で俺を見ている。
どこから説明すれば良いのか…
龍宝寺国光:それなりの実力を持つランクレッド。
桜翔彩子:龍宝寺国光の妻、やっとガーディアンスの事を知ってしまった。
赤城カミト:伝説レベルのランクレッドの一人、シンとそっくりな顔を持つ。
時雨剣成:伝説レベルのランクレッドの一人、瞳色は燃えているような赤。
藤原杏:本来はシンの上司だったから、その経験を活かすためにガーディアンスに入った。
お待たせしました




