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ポメラニアンとご主人の奇妙な冒険  作者: クレナイ
トワイライトレイブン
57/215

キレイ・ハーデン

「綺礼、なんてこんな事をした!」


俺に向いて咆哮しているのは、トワイライトレイヴンの指揮官、藤原杏(ふじばら きょう)だ。


彼女の存在もまた、俺が反乱を起きた理由の一つだ。


どう見てもただの女子高生のくせに、俺らレイヴンの指揮を取るのはさすがに冗談にもほどがある。


ビラード、ゲキリン、そしてコーバーキミル。彼らも俺と同じ考えであった。


何かあったのは知らないが、あのシンとの連絡は繋げられない。どこかに消えただろう。


これはいいチャンスだ。残り二人、広一と顕衛は俺の相手に足りない。むしろ最初から気に入らないところだ。


俺らの存在は、主の敵を全て排除すべきだ。その中には個人の意志は要らない。なのにあの三人は自己意志が持つ過ぎた。これは邪魔しかなれないことを知ったはずだ!


まあ、もうどうでもいいところだ。


「あの二人は逃げたぞ、指揮官さまよ」


俺はこの元指揮官に無情の話を吐いた。


「キレイ、ちょっと遊んでもいいじゃねえ?女がこんなに多いのに、遊ばないと損になるぞ」


「この外道!逆鱗(ゲキリン)、見損なったぞ!」


ぱ!!


綺麗な叩き声だ。


「まだ状況をわからないのか?指揮官さまよ。今のお前もただの弱女子にしかねえだろ!」


逆鱗(ゲキリン)は彼のコードネムに相応しい挙動をしたが、これ以上やったら、まずいことになる気がするから、俺はあいつを阻止した。


その頬にある赤っている掌紋は痛そうだが、俺とは無関係だから無視した。


リンリンリンリンリンリン


室内電話が響いている。


「はい、どなたですか?」


「綺礼、やろうか」


まさかあのシンの声だ。しかしいきなり挑発するのはさすがに上策ではないと思う。


「いやだと言ったら?」


そうだ、主導権はこちらにある。だから向こうからの提議も無視したいところが、そうやって聞いた瞬間、俺が持っている受話器は誰かの射撃によって粉砕した。


正確無比な狙撃だ。そうか、これは俺宛の挑戦状か。ここまでの実力者なら、受け入れるしかない。


デンディンデンディン


今度は俺の携帯か。誰かからのは考える必要はない。


「シン、さっきのはヒロイチじゃないよな」


「正々堂々にやろうぜ、一方がやられたまでに人質に手を出すなよ」


「これは面白い」


逆鱗は「どうする」の目で俺に聞かれたが、今の俺は「勝手な事をするな」しか答えられない。さっきの狙撃は威嚇でなければ、今の俺らは既に死体になったはずだ。


電話が切ったから俺は考え始めた。


そいつは何者だ!この辺の狙撃に使える場所は全て監視しているはずだ。まさかあいつは俺以上の狙撃者なのか?しかし俺は生まれたから才能を持つ、そして改造された化け物。三千メートルは普通のスナイパーにとってはほぼ不可能の距離だが、俺には楽だ。それに監視範囲は半径四キロメートル内全ての場所、これ以上は狙撃不可能だから。


念のため監視員たちに連絡を取ったが、誰も消えていない。


つまり相手は監視範囲外からの狙撃。


弾道を調べたら相手の位置を確認できるが、今は窓に接近するのは愚策だ。


「報告!アーチャー、バーサーカー、キャスターを確認した。正門外一百メートルです」


連絡システムから監視員の報告、いつの間にかこんなに近くなっている?


相手の狙撃のせいで、俺は先手を失った。


でもこれも面白い!


「コーバーキミルとビラードを呼んで、戦争だ」


「あいつらを解決したら、女との遊びはいいだよな」


本来であれば、それは構わないが、今はお前はその時まで生きられることだな。まあ、最初からこいつの理解能力を期待してない。所詮は脳みそまで筋肉化したバカに過ぎない。


正直、広一と顕衛の方がより正しく作戦に合わせるから、今以上の心強いんだが、あの二人はシンと同様、人性を保有しているから、俺がやりたいことを許さないんだろ。


「運がいいな、指揮官さまよ」


「いきなり弱気になって、お前らしくない」


正直、年を無視したら、杏はいい指揮官の部類に入れる。この正確な状況判断もそれを証明している。


「確かに。でもさっきの狙撃はご覧になったはずだ。俺たちの偵察範囲外からの狙撃だ」


「なのに今お前はワクワクしているじゃない?」


「さすが指揮官、よくわかっているな」


「しかしお前以上の狙撃者は存在しているはずは…」


「実は昔から、上から聞いたことがあった。世界最強の狙撃者の事」


そうだ。その噂は既に耳に入っていた。だからワクワクしてのも当然だろ。


「ほう?」


「どっちにしろ、これもいよいよこの短いリベリオンと言う茶番の幕を下がろう」


「綺礼、君は一体…?」


おそらくこの瞬間で、杏は俺が考えている事を見抜いただろ。


「じゃな、指揮官殿」


俺は愛用のスナイパーライフルを持つ、射撃ポイントへ向いた。

よろしくお願いします

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