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世界の終わり(突入第七日)

連日連夜の戦い、ザッドの兵士たちだけではない、ガーディアンスのみんなも疲れたそうになった。しかし誰も文句を言ってない、多分それは剣成が言った「思い」だろ、だからこの人たちはこのザッドに来た。


今日はカミトとエドが突入したから一週間後になったけど、この戦の終わりが全く見えない。


カミトとエドは本当に大丈夫か?


「もしあの二人が失敗したら、今異種は既に俺ら全面侵攻するはずだ。そうでない事はつまりあの二人は依然戦っているはずだ」


そうやって僕を慰められているのはシン。暴走の失敗からもう随分元気になって、昨日までは最前線で戦う事はまた禁止されていたけど、月の聖女軍団をクロエばっかりに推すのも良くないので、三日前からシンが指揮権を取り戻して、そして今日はついに凛がシンに戦場への復帰を許可した。


それは今僕が最前線にある月の聖女軍団の指揮所にいるわけだ。


「すみませんね、あなたの名前でお守りをもらいたいから」


クロエが微笑んで僕にお願いされたから、断る事ができない。それにシンが久しぶりに戦場に復帰できたから、僕も少しでも近距離でシンの活躍を見たい。


「軍団長、再びあなたと共に戦う事、光栄です」


え?この人はシンの決勝戦の相手だよね。


「シンが軍団長に就任した時、最初にシンに敬礼したのは彼だよ!」


多分僕はずっとあの人を見ているから、クロエは僕に説明した。


「私はピラコ・ガスタートです。軍団長の友、そして勝利の象徴であるヴィク様とお会えできて、本当に神様に感謝しています」


こいつはなに?決勝戦の殺気はどこへ行った?そしてヴィク様はなんなんだ⁉︎


でも握手くらいはしてあげてもいいけど。


「大丈夫だ、ヴィク。決勝戦の時はお互いやる気満々だからそれは仕方ない、試合の後で少し話を交わしたらいい人だとわかった。そして準優勝として、和歌奈様は彼を副軍団長に任命した」


そう言えばクロエは軍団長副官、副軍団長ではないよな。


「軍団長の言う通りです。私が自慢している剣技はまさか軍団長が見事に拳で破られましたとは、さすがです。それにこの前の戦い、まさか軍団長自ら殿後するなんて、見た事ありませんよ」


「そこはお黙りなさい」


多分シンの暴走した件と繋いでから、シンはピラコを止めた。


「失礼しました、軍団長」


「とりあえず、今敵の数は最初より大幅減っていたとは言え、俺らもそろそろ限界だ」


シンはテーブルの上に置いている地図を指で敵のポイントを指している。


確かに十日前で凛のところで見たより大分減っていた。しかしそれでも半分以上の数がある。カミトとエドが早くしないと。


「あの二人は大丈夫だ、この剣はそうやって俺に告げている」


シンは「ゲッカビジン」を見て言った。


そう言えば、エドが持っている「月の制裁」もデゥカラガン様から貰った神龍剣だよね。だからシンも何かを感じたのも怪しくない。


剣成は十日間ずっと休めない戦った経験が有ったと言ったけど、この戦いの厳しさはその経験の遥か上になるはずだ。


「そう言えば軍団長、あの時雨剣成と言う人の撃破数は本当なのですか?ゴーレムを駆使できるのは凄い事ですけど、その撃破数はおかしくない?」


剣成の事だから、その数がどんなに変でも事実だろ。そしてゴーレムはおそらくPAWSの事なの?


「それは本当だ」


シンはなにも疑わない声でピラコに答えた。


あの時雨剣成の事だから、どんなに変でも本当な事だろ、彼はその程度の化け物だから。


「あ、軍団長、多分伝令が来ましたようだのようです」


今気付いた、このピラコの耳は普通の人間より少し長い、形も尖っている。


でも僕が見た事があるエルフより短い、一体?


「私は精霊族の母親と人間の父親が生まれた半精霊ですから」


僕の視線を気付いたようで、ピラコが僕に答えた。


そうだったのか?


「報告!南の方が新たな敵が現れた!数は約五十!」


「ピラコ、行ける兵の数は?」


「はい、東の方で主力のみんなで部署しているので、今動員できるのは百人未満です」


「どうやら俺の出番がこんなに早く来たとはな」


なんてこっちの数が多いのに、シンが自ら出るの?それは僕でもわかっている、例えば猟獣型機兵、それはガーディアンスの一般兵では三人かかって倒せる相手だ。カミトと剣成は単独で倒せるけど、あの二人は例外だ。


ザッドの一般兵では五人で一機の猟獣型機兵を倒せるが、同時に犠牲が出る。だから今の状況はかなり厳しい。


え?魔法を使えばって?


月の聖女軍団ではそんな強いの魔法使いがいない、いっても主力部隊の方で。それに魔法についてフランディナさんは特例だ。普通の魔法使いは簡単であの程度の大魔法を使えるわけがない、彼らがしっかり呪文を唸ったら、行動が速いの猟獣型機兵にとって最高の目標だ。


僕でもわかっているならシンとクロエがわかってないわけがない。


だからシンが自ら出るの結論を出した。


「いいのか、ここは私が先に」


「お前は無理だ」


ピラコの提議はシンがあっさり断った。


それはピラコの実力を見劣りするではない、シンだけは神龍剣を持つのは事実だから。


「クロエ、指揮は頼んだ」


「了解、シンも気付いてね」


「では行ってくる」


この妻が旦那を送るの雰囲気はなに?


「ワーッ!」気を付けて。


「今度は大丈夫だから心配しないで、きっちりサファリアンとカニンガンから魔力のコントロールを習いだからな」


シンのその目、本当に久しぶりだ。あのなにも恐れない自信を持つの目。


付いていきたいが、あまりにも危険すぎるので、シンは僕をクロエに預けた。


「ヴィク、大丈夫だよ、指揮官の大和さんも認められたから」


多分僕は心配しそうな顔私しているから、クロエが僕をゆっくり撫でて慰めてくれた。


それもそうだ。そうでなければ、シンを戦場に戻ることができないはず。


シンが戻るまで、クロエとピラコがしっかり軍団を維持していた。


空はもうすぐ暗くなる。


なんて心の中は不安を感じてるの?


シンが無事で帰った事はその不安を少し解消したが、完全解消ではない。一体?


「おい!見ろ!空が!」


その呼び声と共に、兵士たちは誰でも空を見ている、そしてこの瞬間、異種は電源が切ったように倒れた事も見えた。


僕はシンとクロエについて指揮所から外に出た、暗くなった空にあるあの強烈な光がすぐ見えた。


確かにそこは裂隙の方向だよな。この景色、まるで天地異変のような、つまりカミトとエドは何か⁉︎


その光の中で一つの人形を見える、その人形が光の翼を持っている。


まさか天使なのか?


その人形の向こうは一つ大きな球体、その大きさはその人形を遥か超えている、まるで星と人の存在のように。


その球体から何かが人形に攻撃しているが、人形の周りにある無数の光点で撃ち消した。


「シン、直ちに聖殿に撤退しろ!」


その声、デゥカラガン様?まさか和歌奈様が何かあった?でも今は!


おそらくシンも同じ事を考えているだろ、シンは撤退の命令を出してない。


「シン、撤退命令よ、裂隙はもうすぐ崩れる、そしてその人形から大量の光子を検出した、おそらくカミトとエドだ!」


「わかった。よし!クロエ、ピラコ、部隊に撤退命令だ!」


今度は凛が直接撤退命令を下したから、シンは凛に返答したから撤退命令を出した。


クロエとピラコがシンの命令を聞いたら、部隊の撤退指揮を取った。


えっと、まさかシンはまたなにを?


「ヴィク、君もクロエと一緒に先に帰って」


「ワーッ!」嫌だ。


「ヴィク!」


「ワーッ!」嫌だ。


「軍団長としては最後で戦場から離れなければならない。だからお前は先に帰って!」


「ワーッ!」嫌だ、もし先に帰ったら、その不安感は現実になってしまう気がするから!


「シン、なにをしている?」


クロエがシンを呼んでいる。


「兵士たちの撤退は?」


「あと少し!ピラコが引導している。あなたも早く!」


「わかった」


さっきまでは人いっぱいの戦場は瞬間で誰もいなくなった。僕はこの戦場に最後の一瞥、シンとクロエと共に離れた。


聖殿騎士団本部に帰ったから、シンは大聖殿艦の和歌奈様がいる祈りの室に向いた、そしてクロエと僕も。


ピラコがこの状況でもしっかり部隊の指揮をしている、本当にいい人のようだ。


「お嬢様!」


祈りの室で、僕たちが見たのは床に倒れている和歌奈様と和歌奈様を看護しているデゥカラガン様。


「お嬢様!大丈夫ですか⁉︎」


「その星に強引に突破されたせいで、瞬間の衝撃に影響されてしまった、だが基本的には無事だ。おそらくそのマーヴェレヴェス様が最初からこの状況を予見したから、防衛システムが強く建っていた、そして今は効いた」


デゥカラガン様の説明を聞いたが、シンは依然とても心配している顔で和歌奈様を見ている。


うん、動かして駄目だぞ。何か問題があるわからないから、念のため。


『こちらは大和凛、空にあるものは異種に侵食したこのザッドの月の一つだと確認した』


え?つまり今は月が地面に落ちる事?まさかカミトたちが失敗?


『そしてその光の人形は味方って事も確認した。しかし万が一の為、本艦は今から最高警戒状態に入ることを宣告する』


凛のアナウンスと共に、この大聖殿艦の乗員が総員動き出したと聞こえる。


その人形が味方…でも貫雷魔剣(グラム)と全然似てないよ。カミトとエドは大丈夫かな?一体何か発生している?


「シン、ここは私とクロエに任せて、お前は指揮室にいけ!」


「俺を命令するな!と、言いたいところが、わかった。ヴィク!」


シンはデゥカラガン様に対しては相変わらずの態度だけど、それは正しいだと知っているから、シンが少し身を低くなって、そして僕はシンの肩に登った。


「お嬢様は頼んだぞ」


「はい!」


クロエがシンに敬礼した。


「指揮官殿、最高警戒とは?」


どうやらそう考えているのはデゥカラガン様だけではないようだ。


指揮室には既にサファリアンとカニンガンがいる。


「シン!」


サファリアンはシンを見たから呼んだ。


「他の奴は?」


「俺やカニンガンさんのようにここと関係かかっていないから、今は各自の聖女と一緒だ」


「私は副官のスライナに託して、寒氷龍ハイセイプライ様は私がここへ行ってと」


確かに、他の軍団長はガーディアンスとはあまり関係がないから、ここに来ても意味がない。


現在ここにいるこの二人でもシンにいろんなことを聞いている。


しかし、ザッド人に機械科技の事を理解させるなんて無理だと思うよ。


『えりな、凛、聞こえるか?』


え⁉︎それは間違いなくカミトの声だ!一体⁉︎


「カミト!無事か?」


えりなは誰よりも先に叫んだ。


「カミト、状況は?」


「カミトさん、エド様は?」


瞬間、当然のようにいろんな問題が聞いて来た。


『俺は大丈夫だ、今は、な』


変な言い方だが、それは間違いなくエドの声。


「カミト、返事しろ!」


『これから俺らは神剣を使ってその悪の星を一刀両断。後の事は、よろしく』


え?なんか二人の声が重なっている?同時に全く同じ言葉を喋るなんてありえないだろ。


「待って!カミト!」


えりなの叫び、でも向こうからはなにも返事しなかった。


「そんなものを一刀両断って……シン、サファリアン、カニンガン、神龍様たちにお願い、今すぐ防衛フィールドを作って!」


「説明してもらうかな」


「時間はないから、簡単でお願い」


サファリアンとカニンガンは今の状況を理解してないようだが、シンは既にゲッカビジンに通ってデゥカラガン様に連絡した


「今あの光の人形はその星を破壊しようとする、そして破壊された星のかけらは間違いなく地面に落ちる事になるだろう、それは多大な被害が出るのは理解しているだろ」


サファリアンとカニンガンは理解したかないかはわからないけど、僕はしっかり理解した。何せ、アースの恐竜時代の終わりも今と同じ景色だろ。


『いくぞ!!!!!!!』


さっきと同じ二人の声が重なっている。


『至高光芒の剣、混沌を切り開く極光、『最終幻想(ラスト ファンタジー)』』


なにそれ?格好いいセリフじゃない?


でも僕だけはそのセリフに感動したようで、他のみんなは落下衝撃を防ぐために走っている。


『ざまーみろ……』


この言葉と同時に、その光の人形が無力になったように落下している。


「カミト!」


「エド様!」


「えりな、その星の破壊程度は?」


えりなが冷静を保持出来なかったけど、凛はいつも通り冷静にえりなに命令した。


「はい、探査によると、その一撃で数百万超の欠片になってしまったが、欠片自体の大きさは神龍たちの力で防げると思う」


えりなの話が止まって、その落下している光の人形を見ている。


「もしそれは守護聖剣(エクスカリバー)貫雷魔剣(グラム)と同じ威力が持っていれば」


「はい、ザッドの終わりです」


え?そう言えばマーヴェレヴェス様が言ったな、恐竜時代の終わりは守護聖剣(エクスカリバー)貫雷魔剣(グラム)の落下が原因だと。


えええええええ!そうすればこれはまずいじゃないか!


『光子領域、展開』


まるで最後の言葉のように小さい声を聞いた。


間違いなくカミトの声。


その落下する人形から散らした光は全てのかけらが燃えている。


流れ星になったか?


そしてその光のおかげで、人形の落下速度も減っている。


「今の状況なら、大丈夫だと」


「神龍たちの力は抜かないで、そのまま全力で防いで!」


えりなの報告により、凛は油断しない。


「着陸まで三、二、一!」


斎香がカウントダウンしていた。


「総員、衝撃準備!」


凛が叫んだ。


僕しっかりシンを掴んでいる、そしてシンは手摺りをしっかり掴んでいる。


サファリアンとカニンガンも同じ事をしている。


「衝撃波あと三、二、一!」


カウントダウンが終わったが、なにも発生していない。


ピピピピ!


えりなと斎香の前のモニターが大きな声で鳴いている。


「光子濃度、限界を超えた」


『ギリギリセーフだな』


剣成の声。


どうやら剣成は守護聖剣(エクスカリバー)の光子フィールドでその衝撃波を防いだ。


「シックリスさん、そしてシン、落下地点へお願い」


今動けるのは僕たちだけだから、シックリスとシンは頷いた。


「了解です」


「わかった」


僕とシンは巨龍の姿になったシックリスの背中に乗って、あの光の人形の落下地点へ向いた。


聖殿騎士団本部から出ると、被害の酷さに驚いた。


「まるで五百年前災厄の再来……」


シックリスさんの呟き、この状況の厳重さを理解した。


「でもその星がそのまま落下するよりましだと思う」


シンの言葉によって、シックリスさんが苦笑いをした。


「まさにその通りだから、エド様とカミトさんに責める事はできません。それにその異種を見て、あなたたちが聖女様と一緒に援軍としてザッドに参りました事を感謝しかありません。私たちのままではきっと攻められてしまうはずです」


「エドやファランディナたちは何とかすると思うが」


「英雄たちはそうかもしれませんけど、他のみんなはそうではありません。例えば私たち巨龍は機龍を勝つ事が出来ません」


確かに機龍はガーディアンスのみんなに託して対応したな。


「着陸します」


さすが飛行の能力を自慢している翔龍、シックリスが短時間でかなりの距離を飛びた。


落下地点では大きくかつ少し深い穴を開いている。


その中には倒れている貫雷魔剣(グラム)がある。


え?その光の人形は?


「エド様!」


シックリスさんが人間の姿になったからまっすぐその方向に走った。そしてシンと僕も付いて走った。


「おい!カミト!生きているか⁉︎」


さすがにそれは不謹慎すぎだろ!だがお前はそう簡単でやられる人ではないよね!カミト!


「ちゃんと生きてるから、騒ぐな、耳痛い」


カミトの声。


貫雷魔剣(グラム)に接近したら、カミトとエドがそこで座っている事を見えた。


「エド様!」


シックリスさんは涙流れながらエドを抱きしめた。


シンの方は僕をカミトに渡した。


「お帰り」


「ああ、ただいま」


カミトは僕を撫でてながらシンに答えた。


「何かあった?」


「任務完了だけだ」


ただそれだけの言葉で、シンと僕はなにも聞けなくなった。


お待たせしました、タイトルがちょっと重いが、少し長くなった。


でもザッドでの事件はまだ終わっていない。

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