7/17
6)会話
「おめーよぉ、馬が喋るわけねーだろーが」
「だって聞こえたんですよ!」
「俺が何年馬の世話してっかわかってんのか? 聞こえたことなんか一度もねーよ」
「そ、それはそうなんですけど……」
「熱でもあんのか? 今日はブラッシングしてやってくれよ? 傷なんか付けたら許さねぇからな!」
タイトの『馬と話ができたら』という妄想が見せた夢、なのだろうか。
「ノボトゥルー、昨日喋ったよな? 今日はブラッシングするから、暴れないでくれよ」
タイトは敢えてノボトゥルー号に話しかける。
『わーいブラッシング大好き~』
「やっぱり喋った!?」
『いつも喋ってるよお。聞こえる人がいないだけ』
「そ、そうなのか……痒いとことかあるか?」
『ぜんぶ~』
「全部かよ。わかった、丁寧にやるよ」
『ありがと~~』
タイトは他の馬にも話しかけた。皆、返事をしてくれる。夢でも妄想でもないようだ。
そしてタイトは決心した。ある程度この仕事をこなしたら、ケイタに誘われた競技場に登録しよう、と。