10,初フレンドです
その瞬間。
「…………………え?」
私は、言葉を発するその時、一瞬のタイムラグを感じた。
周りの人も、若干びっくりしてはいるが、こういうことは日常茶飯事なのか、あまり気にしていないようだ。
ま、まさか……………………………
私は思いっきり心当たりがあり、昼田先輩に問いかけた。
「先輩………………"止めましたね"?」
「ああ」
あ、あっさり認めた!!
あまりの潔さに逆に驚く私。
昼田先輩の能力ー時間操作ーが、ゲームの中でも生きていることにもびっくりしていた。
昼田先輩なら、普通に操れる能力だけど、やっぱり誰しも感情の高ぶりで起こってしまうのは同じなんだ。
だが、私はそれが数秒の安息だとは思わなかった。
私はその後、魔王様にこってりと事情聴取されました。
ちなみに、カツ丼は、途中で氷沢先輩がくださった黄緑色のブドウ(みたいなもの)に変貌を遂げました。
しかも、その質問の内容といえば、私がさっきあげた疑問ばかり。
生徒総会よりも緊張した。
「まーまー、これで会長の怒りも収まったことだし、こっちでの自己紹介とでもいこうじゃない?」
湊、ナイスフォロー!
私は、救いの手を差し伸べてきた従兄に心の中で親指を立てる。
すると、目の前に座っていた昼田先輩が一番最初に名乗り出た。
「ああ………………………
俺は、こちらでは【リョウ】という名前で生活している。
種族は妖精のジャックフロストだ。」
続いて、今度は湊。
「僕は、【ミネト】だよ。皆は【ミネ】って呼んでるけどね。
種族は、リョウと同じ妖精のエルフで、弓術師をしているよ。」
「僕は【ヒロ】という名前です。
種族は龍の龍神で、槍術師をしています。」
「俺は【シノ】。
種族は龍の天龍だ。」
「僕は【ナイト】。本名と同じだから。
種族は半人の狼で、錬金術師だよ。」
「僕【ヒナタ】!
リスの半人だよ!」
「【エン】だ。
大魔法使いだ。よろしくな。」
順番は……………一応言うと、湊、水樹くん、翔、氷沢先輩、蓮くん、園崎先輩の順。
丁寧に紹介してくれた7人に、私は頭を下げながら言った。
「【ヒマリ】です。
種族は天使のガブリエル、後水精霊です。よろしくお願いします!」
すると、突然ざわざわと7人が話し出す。
私はそれを、わけもわからず首をかしげる。
(なんか、改めて聞くとすごいよね。)
(あいつ…………十分チートだよな)
(なんか、激レア種族×2とか、ありえませんよ。)
(というか、激レア種族×2やってる人に言われたくない。)
(そういうナイトも精霊だろう。)
(そういうリョウも激レア種族だろう。)
(そういうエンも激レア種族×2だよね!)
(ま、まあ、うちの生徒会はすごいってことだろ。とにかくヒマリが戸惑ってるから)
「じゃあ、ヒマリもフレンドになろ!」
「え?!いきなり?!」
くるりと振り返った蓮くんが、ニッコリ笑顔でそう言う。
私は口をあんぐりと開け、目を瞬かせる。
「早いね!」
「いいじゃん、同じ生徒会メンバーなことだし!ね、いいよね?!」
と言う蓮君の言葉に、他六名がこくんとうなずく。
えーうん、私は別に構わないけど、早いよね?
呆然としていると、あの鈴の音が聞こえてきた。
ピロリン♪
プレイヤー シノ・リョウ・ナイト・エン・ヒナタ・ミネト・ヒロからフレンド申請が着ています。
承認しますか?
【まとめて承認】 【個別承認】 【まとめて不承認】 【個別不承認】
あ、えと【まとめて承認】で。
私がぽんっとタップすると、またもや鈴が鳴る。
ピロリン♪
プレイヤー シノ・リョウ・ナイト・エン・ヒナタ・ミネト・ヒロとフレンドになりました。
初フレンドです。
ピロリン♪
初心者クエスト4をクリアしました。
"絆の石"をプレゼントボックスに贈りました。
ピロリン♪
初フレンド時のみ、フレンドの説明を見ることができます。
閲覧しますか?
【YES】 【NO】
絆の石?
プレゼントボックスっていうのに送ってくださったみたいだから後で見て見よう。
じゃあ今はフレンドの説明を見よっと。
【フレンド】
フレンドとは、フレンド申請をお互いが承認することで成立する。
フレンドとはチャット機能やパーティを組めたり、フレンドクエストという特殊クエストを受けることができる。
Lv関係なく、上限は50人。
私は数秒ほどでその説明を読み終わる。
そして気が付いた。
「私、皆にフレンド申請送ってないよ?」
「あ、じゃあ今送って!フレンド申請は…………」
湊がすらすらと分かりやすく説明してくれたおかげで、私はすぐに申請を送ることができ、無事7人とフレンドになることができました!
よし!
フレンド一覧に並んだ名前を見て、私はにっこりと微笑む。
一応始まりは順調(?)だよ!
これから楽しい冒険になりそう!




