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50. 第3章その14 リブート

 宿に着くと早速エミリアが値段交渉し、3人一部屋の客室が”25シュケルス”だと言われると、『前回は20シュケルスで泊まらせてくれた、2泊するから40シュケルスにならないか?』などと、粘り強さをみせると、宿も”これからお得意様になれば”と思ったのか、40シュケルスで話がまとまった。

「ふん。最初から25シュケルスなんて言わなければいいのに。」

 エミリアが毒づく。

(20シュケルスといったら15ぐらいに言うくせに)

 と思ったのは内緒である。


 前に泊まった部屋と同じだったので、手早く荷物などをおき、将はそそくさと別室に移動した。

 同じ間違いは二度しないのが元研究者としての矜持だ。


 女性陣、男性と順に風呂に行き、将が部屋に戻ると、テーブルに夕食が並べてあった。

「今日は、食堂でなく部屋で食べた方が落ち着くと思って、部屋の予約をした時に頼んでおいたの。」

 エミリアが説明した。


「確かに、長距離移動した直後だから落ち着いて食べたいね。」

 将は同意すると席に着いた。

 3人で食事を始め、しばらくして将が話しかける。


「あのさ、シルフィ、エミリー。」

「なに?」

「今回の事で思ったんだけど、俺たち少し焦り過ぎていた気がする。」

「だが、ショウも少し無理をしても上を目指す事に同意したろう。」

「ああ、それはその通り、今回依頼を受けた事自体は意味があったと思う。」

「じゃあ、なんなの?」

「その結果を踏まえて、次回の事をどうするかを議論したいんだ。」

 シルフィとエミリアは頷く。


「今回の依頼は、自分の力の限界を知る良い機会になったと思う。

 少なくとも、俺たちだけでは今レッサードラゴンには勝てない。」

「まあ、そうね。」「そうだな。」

「でも、将来的には倒せる様にならなければ、少なくとも俺自身の目標に至る事はできない。」

「私達だって、そうだわ。」

「だとすれば、お互いの近々の目標シルフィ達はBランク、俺はCランクになるための事をしながら、レッサードラゴンに勝てる、もしくは負けない強さを身につけるためにできる事をすべきだと思う。

 そのための方法って何かアイディアあるかな?」


「そうね、簡単なのは“パーティメンバーを増やす事”かしら。」

「強い力をもっている人間に教えを乞うのはどうだろう?」

「うん、両方とも強さは上がりそうだね。

 “パーティメンバーを増やす”ってのはパーティの強さという意味で即効性はあるけど、俺たち3人の自力は変わらなそうだ。」

「確かに…今の個々人の現状打開という意味では良くないわね。」


「“強い力を持っている人”にあてはある?」

「うーん、ないな。」

「あっ、でもギルドの訓練場で高ランクの元冒険者が指導しているという話は聞いた事があるわ、もちろん有料だけど。」

「それはいいね。

 じゃあ、一つはその案で行こう、明日ギルドに行った時聞いてみよう。」


「他には、何かないかな?」

 将はさらにアイディアを聞く。

 さすがにポンポンとはアイディアが出ず、しばらくして将が自身で提案する。

「しばらく、3人がそれぞれ独自に依頼を受けてみるっていうのはどうかな?」

「うーん、確かにそうする事で自分に足りないところが見えてくるかも。」

「私は自分で足りない部分が多い事は知っているがな。」

「まあ、そう言うなよ。

 わかっているつもりでも、一人になってみて、もっと自覚できるって事もあるかもよ。」

「確かに…、私達は国を出るときから2人だから、それぞれ一人で単独に依頼を受けた事は一度もないな。」

「そうね。」

「一度やってみる価値はあると思う。」

 シルフィも納得した様だ。


 さらにご飯を食べつつ考えてみるが、それ以上はなかなか案が浮かばない。

 最後にまとめとばかりに、将がしめる。

「じゃあ、こうしよう。

 明日報告しにギルドに行き、訓練所の教官に関して情報を得る。

 良さそうな教官がいれば日程などを確認して訓練を受ける。

 訓練を受けている人間以外は、それぞれ独自にギルドの依頼を受けてそれをこなす。

 ローテーションで訓練ばかりや、依頼ばかりにならない様にする。

 それを1月ぐらい続けて、結果の確認と、その後どうするかをこうやって議論する。

 っていうのでどうだ。」

「「賛成!!」」

「ショウもリーダーらしくなったものだな。」

「そうね、これからも頼むわ。リーダー。」

 二人ともにやにやしながら、将を見る。


「はいはい、こちらこそよろしく。」


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