11. 第2章その2 ギルドへの登録
「ショウ クガ様、私は担当になりますルカイヤと申します。」
「当冒険者ギルドですが、名前の通り冒険者の皆様の互助団体になります。
皆様が、生活するために必要な仕事の依頼を取りまとめ、詐欺や不慮の事故が起きにくくしますが、その運営の為に報酬の40%を頂戴しております。」
「高いとおもわれるかもしれませんが、この徴収から国への税金をお支払いしておりますので不当に高い訳ではございません。
依頼は、冒険者への報酬が1シュケルになる額から受け付けています。依頼書に記載されている報酬は、手取り金額になり、手数料は引かれて記載されております。」
「依頼は、当ギルドの審査を経て掲示されますので不払いなどは起こりません。
また、難易度によって分けられており所定の規定を満たさないと受託できません。
冒険者の方は、実績と経歴により6段階のランクに分けられ、依頼の受託可否は基本的にランクにより決定されます。
依頼の未達成及び放棄は、ペナルティがあります。罰金やランクの低下、悪質な場合は官憲への引き渡しとなります。」
「依頼は、良く考えて受けて下さい。良くわからない場合は相談頂ければ適切な依頼を推薦致します。
その他、一般的に罪となる行為は禁止ですし、ギルドの評判を落とす行為として独自に制裁を与えます。お気をつけ下さい。」
「まずは、やってはいけない事を覚えて頂ければ、その他分からない事は遠慮なく職員にお尋ね下さい。
冊子をお渡しする事も可能ですが必要ですか?」
「はい、時間がある時にでも読んでみます。」
「それでは、1シュケルとなります。」
将は、登録料と合わせて6シュケルスを渡した。
「あ、そろそろカードが仕上がったみたいですね。少々お待ちください。」
ルカイヤは奥からカードを持ってきた。
「はい、これがクガ様の冒険者カードとなります。
このカードには必要事項に関する情報が記載されておりますが、ギルド以外では氏名と出身地のみが確認でき、それ以外は確認できません。これは様々な事情をお持ちの方への配慮となります。お名前に関しても、表示を本名以外にする事も可能です。
いかがしますか?」
「私は本名で問題ありません。」
「承知致しました。また、このカードは、魔物を倒した際放出される魔力が、討伐された方に吸収される際、その魔力が通り抜けると魔力量に応じて色が微妙に変化致します。魔石とカードの提出で討伐依頼達成を判断します。
ギルドでは、色味を測定する事でその経験値を累積しギルドランクに反映します。
討伐以外の依頼に関しては、その依頼ごとに経験値を規定しており、合わせて一定以上に達するとランクが上がります。
先ほど、説明できませんでしたが、ランクは低い順にランクEからランクA、一番上がSになります。
クガ様は、特に他の経験職業などの記載がありませんでしたので、ランクEからとなります。
間違いございませんよね? 特記事項として、あれば変更しますが。」
「はい、そのとおりです。特に経験職業はありません。」
「では、カードをお受け取りください。なお、紛失された場合は、再発行に100シュケルスを頂戴致しますので、紛失にはくれぐれもご注意ください。」
「了解です。」
カードの色は赤色で、確かに名前と出身地だけが表示されていた。
カードの色は、赤、緑、青、紫、銀、金(ランクS)でランク分けされている。
色変化はそれぞれ上位ランクへの変化に対応していて金色は最高ランクなので変化しないのであった。
「クガ様、宿泊先はお決まりですか?」
「いえ、今どこかお勧めを聞こうと思っていたところです。」
「そうだと思いました。住所が決まっていない新規加入者様は皆様そうですので。
ギルドと提携している宿屋がいくつかございます。価格が30セント(0.3シュケルス)で宿泊のみ、もちろん施設は清潔ですよ。もしくは1シュケルで宿泊と2食付、5シュケルスかかりますが快適な宿泊と2食付といった、だいたい3種類に分けられますが、いかがいたしますか?」
「では、1シュケルの宿屋を教えてください。」
「はい。えーと『陽気な大熊亭』がよろしいかと。ギルドからも近いですし。」
「ありがとうございます。さっそく行ってみます。」
「宿泊を決められたら、教えてくださいね。カードへ記載が必要となりますので。」
「はい、わかりました。」
ギルドへの登録も済んだので、まずは門に行き衛兵にカードと預かり証を提示して5シュケルスを回収してから、教えてもらった通り宿屋へ向かった。
将は、ギルドへの登録がスムーズに済んだ事から心に余裕ができ、改めて周りの人達を観察しながら宿屋に向かった。
南国のためか、往来を通る人のほとんどが若干浅黒く髪は赤に近い茶髪といった感じだった。たまに獣人らしき人もいたが、マジマジ見るのも失礼かと思って、(これが獣人かぁ)とさりげなく見ながら宿に歩いた。
目印の大きな熊の看板がかかった宿屋に着き、中にはいると。
「いらっしゃいませー。」
元気な声がカウンターから聞こえてきた。
ロビー兼、食堂といった場所の入口にカウンターがあり、おばちゃんが座っていた。
「お客さん、お泊りかい?」
「はい、こちらはおいくらですか?」
「一人部屋は1室1シュケルで2食付だよ。井戸での水浴びはいつでもセルフでOKさ。1週間以上の宿泊は5シュケルスで1週間におまけするよ。」
将は、どうせ1週間は泊まるだろうと判断し。
「じゃあ、一人部屋を1週間泊まろうかな。」
「まいどありー。じゃあ、身分証明カードを見せてちょうだいな。」
冒険者カードを取り出すと。
「ああ、お兄さん新米冒険者だね。安全第一でがんばるんだよ。
ショウって言うんだ。
あたしは、ズバイダだよ、よろしくね。
はい、確認済んだから、大事にしまっときな。」
将は、カードをしまい、5シュケルスを手渡す。
替りに部屋の鍵を受け取った。
「2階の205号室だよ。部屋の鍵は、外出するときは預けておくれよ。なくされたら鍵を交換したり大変だからね。
あと、部屋に大事なものは置きっぱなしにしないでおくれ。ここで盗みを働くような奇特な奴はいないと思うけど念のためね。」
(確かに1シュケルの宿に泊まる客に泥棒に入っても実入りは期待できないだろうな。)
と考えながら。
「分りました。ちょっと疲れたので部屋で休みます。」
「はいよー。鐘6つ(午後6時)なったら夕食を食べられるだからね。鐘8つ(午後8時)で終わってしまうからね。遅くなる時は言っておいてくれれば取り置きするけど、言わない時は無いからね。気を付けておくれよ。」
ズバイダの大きな声を聞きながら階段を上って行った。




