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10. 第2章その1 冒険の始まり

 その日は、まるで旅立ちを祝福するかの様に良く晴れていた。


 旅に必要な物をバックパックと袋に詰め、旅装も整えた。

 ミューは定位置のバックパックに入り込んでいる。

 カゼールは、バックパックを背負おうとしている将に声をかける。

「ちょっとこちらに来なさい。」

 

 カゼールは将の肩に自分の黒いマントをかけ、頭に帽子をかぶらせる。


「これから行くところは、南の少し暑い地域じゃがこのマントは、魔法で耐衝撃、耐熱、耐電などの効果がかかっている特別製じゃ。少々目立つかもしれんが、暑くなるどころか、熱を遮ってくれるから着るといい。

 帽子は髪を隠すのに使いなさい。理由は、判るじゃろ。」


「ほんとうに、色々ありがとうございます。」


 カゼールはすでに、転移のための魔法陣を描いており、その中に将が移動する。

 ふと、将は気になる事を思い出し、魔法陣の中で聞いてみる。


「師匠、最後に質問があるんですが。」

「なんじゃ?」

「何歳なんですか?」

「あー、700を超えたあたりから数えてないぞ。

 そんな事より、動くでないぞ、今から呪文を唱えるからな。」


 あっさりと、すごい事実を言うと最後にこう続けた。


「カズィールガマナサン最後の弟子、久我将よ。そなたの未来に栄え有らん事、幸い有らん事、全ての神からの恩寵有らん事を。」




「トランスポート、ウスマールの森へ!!」




「ししょー、ありがとうございましたー!!」


 体が、徐々に透けていき、カゼールの元から消えて行った。



「ありがとう、ショウ。」



---------------------



 将は、ウスマールという街の近くの森に転移した。あらかじめ、地図で位置は覚えている。


「さて、暗くならない内に街へ移動しますか。」


 独り言をつぶやき、カバンから方位磁針を取り出し、方位を確認して歩き始めた。

 10 分も歩くと街道に出て、それからはスムーズに街まで行く事ができた。

 街道で、初めてカゼール以外の人達を見て本当に異国に来たんだなぁと感慨深かった。

 街は、城壁で囲われており大手門というべき大きな門には衛兵が何人かいて、門を出入りする人達を確認しているようだった。

 入る人達が並んでいる列の最後に並んで順番を待つ。


「はい、次の人―。身分証明カードはありますか?」

「いえ、持ってません。」

「そうですか?ちょっと待ってくださいね。はい、この紙に必要事項(名前、出身、街に来た目的など)を書いて、預託金5シュケルスを提出してください。

 あ、預託金は身分証明カードを入手して提示してもらえれば返金しますので預かり証をなくさないで下さいね。」


 ゴツイ体型をしているが、物腰柔らかい対応に驚いてしまった。

 列を離れて、近くにある机で必要事項を書き、袋から銀貨5枚取り出して、衛兵に渡した。すると、衛兵がにっこり笑って。


「ウスマールへようこそ。あなたの訪問を歓迎します。」

 と言って、街の方へ腕を差し出した。

「ありがとうございます。」

 頭をペコリと下げて、門をくぐると。

中には喧噪とした大通りがあった。カゼールからの話は、ずいぶん昔の情報だったようで、ウスマールは大きな街に感じた。


(まあ、そのあたりの情報は、どこかで仕入れればいいか。まずは、身分証明カードを得るためにギルドに行かないと。

 師匠の話から、ギルドに行き入会すればギルドカードを発行してもらえ、それを身分証明として使えるとの事だったな。)


 門の内側の衛兵に場所を尋ねると、これまた丁寧にギルドの場所を教えてくれた。

ウスマールには、商人ギルド、職人ギルド、魔術師ギルド、冒険者ギルドと主なギルドが全てあり、それぞれの場所をを知る事ができた。

 将は、とりあえず冒険者ギルドに行ってみる事にした。


 冒険者ギルドは大通りから1本離れてはいるが、一番門に近いところにあったため、10分ぐらい歩くと見つかった。

 入口の扉の上の剣と盾が重なったマークと赤い屋根が目印だった。


「さて、いっちょう始めますか。」

 と気合を入れて扉を開ける。

 ギーという音がして、扉をあけると何人かの武装した男達とカウンターの向こうで座っている女性が目に入った。

 とりあえず、一番近くのカウンターで話をする。

「すいません、ギルドへの加入申請をしたいのですが。」

「ああ、新規加入の方ですね。こちらは、総合案内になります。新規加入の受け付けは、一番奥の依頼受付と同じカウンターになります。」

 そう言って、奥を指さす。

「ありがとうございます。」

 将は、礼を言って奥のカウンターに向かった。


 席に着くと、受付の人が先に声を掛けてきた。

「新規受付ですね。先ほどの会話が聞こえましたので。こちらが申請用紙になります。ご記載頂き、登録料として5シュケルス頂きます。」

 テキパキとこなす姿は、絵に書いたような才媛といった美人さんだった。

「わかりました。」

 そう言って書類を受け取る。

 記載欄は以下の通りだった。

1.氏名

2.年齢

3.出身地

4.種族

5.保有技能

6.現在住所

 実にシンプル。

 将もシンプルに答えた。


1.氏名:ショウ クガ

2.16歳

3.出身地:カゼール村

4.種族:人間

5.保有技能:剣術、薬学、魔法(水、風)

6.現在住所:検討中


「はい、ありがとうございます。現在住所は、決まり次第連絡して下さい。連絡がないと依頼を受ける事ができませんので注意してください。

 あら、魔法が2属性も使えるなんて素晴らしいですね。冒険者ギルドに入会頂けてありがたいです。」

「なぜですか?」

「基本的に魔法の使える方は魔術師ギルドに入会されますので。あ、もちろん冒険者ギルドにも魔術師の方はいますし、少ない分色々有利な事もありますから。

 カード作製をしますので少々お待ちください。」

 彼女は、奥に申請用紙を持って行き戻ってきた。


「さて、カードが出来上がるまで、ギルドに関しての重要部分だけを簡単に説明しますね。」

 そうにこやかに言うと、全般的な説明を始めたのだった。


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