ナツたちの初めての戦闘
僕はお手本として手元に木の枝、ワタを積み、その上から火打石で火花を散らし着火する。一応説明すると現実なら一般的にきりもみ式と呼ばれる着火方法だと
・適度な大きさの穴が空いた木の板に木の棒を早い速度で回しながら擦る
・煙が出てきてある程度黒い粉が溜まるとその黒い粉を綿で包みゆっくり息を吹きかけ発火
・発火した綿に枝を乗せていき燃やす
大体こんな感じ。ただそこはゲーム、枝、ワタの上で何か火種を用意すれば『たき火』が出来上がる。ナツ達は僕が作ったたき火を興味深げに見つめる。
「現実と同じで近づいていくとだんだん温度が上がるのね。そして近づきすぎるとダメージを受ける」
「近づくだけじゃ装備は燃えないのね。火元にじかに近づけたらどうなるの?」
へストの疑問を解決するためにウルフの毛皮をたき火に投げ入れると、ウルフの毛皮はボウボウと燃え上がる。
「なるほど。現実と同じってわけね」
「ああ。他に水にぬれると重たくなるし、氷魔法では凍ったりもするから気を付けたほうがいいな」
ナツたちは実際火打石を用いて火を点けてみるが
「テレビでは結構簡単にしてるけど難しい」
最初の僕と同じようにナツたちも火花を出すのに苦労している。
「何かコツは無いの?ケン」
「石によって変わるんだけど鉄片をぶつけると火花が出やすい場所があるんだ。その場所を見つけて後は力加減かな。強すぎても石が削れるだけで火花は出ないんだ」
火打石のコツを教え少し試行錯誤すると全員火を点けることに成功した。
「やったわ」
「何かインフォメーションは出た?」
「いいえ」
「僕の時はスキル枠をもらえたんだ。でもアップデート後は自由にスキルを決めれるからなくなったんだ」
「ねえ、ケン?まだ私達はスキルを取ってないのよね。最初取ったほうがいいスキルってある?」
ウィンの質問に少し考えたのち、僕はいくつかのスキルを上げる。
「ううん、難しいね。戦闘職でも生産職でもアイテムの鑑定範囲が伸びる⦅鑑定⦆は取ったほうがいいと思う。生産職もしようとしてるなら⦅工作⦆は取ったほうがいいかな。これは全ての生産系スキルの基礎となるから」
無事火を点けれたので次に食糧調達のために森に入る。
「やっと戦闘ね。パーティーはどうするの?」
「最初僕は抜けるから3人で戦ってみて。最初の森の敵なら装備もあるみんななら大丈夫なはずだから。僕の場合最初の戦闘は石だけで戦ったし」
僕が見守る中(ちなみにまだヒミコ達は呼んでいない)、近くの森の茂みからウルフが飛び出てきた。
「ウィン姉、へスト姉、後ろから援護お願い」
そう言い残すとナツは鉄の剣を鞘から抜きウルフに切りかかっていく。さすが運動神経がいいナツ、ウルフの攻撃をよけつつ適度にウルフに攻撃を与えていく。だが多少はウルフの攻撃をナツは受けるがすかさず
「⦅ヒール⦆」
へストが⦅ヒール⦆でナツの減ったHPを回復していく。本来⦅ヒール⦆は⦅光の魔法(初級)⦆をレベル3まで上げなければ覚えない。しかし職業〖僧侶〗になるとスキルの⦅回復力増加⦆の他に⦅僧侶の証⦆というセットスキルを覚え、⦅ヒール⦆と⦅ガードアップ⦆を自動的に覚える。これらのスキルはジョブセットスキルと言われるセットスキルで対応するジョブを装備していることで覚えることができる。
そしてナツが回避のために後ろに下がった隙にウィンが
「⦅ファイアボール⦆」
を放ち、ウルフを倒す。だけど
「ナイスファイト、皆。だけどウィン、森の中で火の魔法は避けた方がいいかも。もし周りの樹に飛び火すると普通に燃え移るから。もし使うなら今回みたいにきちんと魔物だけを狙った方がいいよ。実際森が火事になったところを見たことがあるから」
「そうなの?気を付けるわ」
「うん。でもそこらへん注意して使えば問題ないから。どうしても心配なら水魔法も覚えとけばいいかな。さて、とりあえず、これで食料でもあるウルフの肉が手に入った。まだ時間もあるからもう少し森の中を探索しようか」
それから空が夕焼けに染まるまで森の中で戦った。どうやらナツの『AI』ではウルフの他にプックリリス、マメポッポが出現するようだ。ただマメポッポに関しては危機察知能力が高いから現在のナツたちのスキル構成では察知することができず倒す前に逃げてしまった。
「何なの?あの鳩。すぐ逃げるんだけど!。兄ちゃんはどう倒したの?」
「マメポッポは初級の魔法の攻撃範囲じゃすぐに気付いて逃げちゃうんだ。だから射程を伸ばすスキルか僕のように弓で倒すか、石を投げて怯んだ後すぐに倒すかな。まあどちらも要練習だけど」
小屋に戻った僕たちはたき火を点けた後、早速手に入れたウルフの肉をくしに刺して焼いてみる。食べた感想は調味料が無い肉の味のみ、明日は塩を手に入れるために浜辺に行こう。




