22 精霊祭の下準備③
恒例の精霊祭といえば各都市から出稼ぎの屋台が立ち並び町のあちこちで伝承に伝わる様々な精霊を模した光が浮かび上がる灯籠のような物(魔石が燃料)、が彩りを浮かべ普段設置しない飲食スペースがあちこちに作られその日ばかりは示し合わせたかのようにどの店舗も普段は低料金なお酒はお祭り価格に設定される為、値段据え置きの高級酒が飛ぶように売れる。
各地にひっそりと精霊を信仰する敬虔な信者たちが町を巡回し、神聖な祭りでトラブルを起こした者は大量の信者に囲まれて顔を青ざめる酔いも醒めるという珍事が名物な為、2回目以降の観光客は絶対に騒ぎを起こさないのだ。
そして運営サイド選りすぐりの大芸道人があちこちで披露し、その芸は専用スクリーンに写り出されるこれはライブ映像ではあるが配信ではない為付近の飲食席が特等席が一番楽しめるように作られている。その席に座る権利は店によって様々だがだいたいはその芸人が1通り終わるまでの半刻制限付きで一定額以上店にお金を落としたら店員に渡されるのだ。
どのくらいの値段設定にするとか空き席をどのくらい設けるとかは店の手腕次第だ。
値段設定が高すぎても空きができる安すぎて見学席待ちでそこに座れる見込みが無くても客が離れるし、敢えて解放設定にせずに常連さんだけ事前に座れる時間帯を指定して祭りの時だけの売り上げよりも普段の売り上げを大事にするというやり方もある。
そういう店の場合暗黙のルールである安酒のお祭り価格ルールを避ける為に精霊祭前からドリンクチケットを売り付けるのだ。そうすれば当日の店舗の安酒のお祭り価格設定でもチケットを安心して常連さんがドリンクチケットを使うだけで実質いつもの値段で楽しめるというサービスだ。そして他の店で無理して特等席を狙う為に何杯も飲んで酔っぱらって全く覚えてない芸を見るよりもまたこの店に来ようと思える訳だ。
そんな訳で他の都市では普段から飲みばかりに行く旦那は邪険にされがちな行為だがこの町では祭りの日に家族揃って芸を特等席で楽しめる権利をもぎ取ってくれる旦那は尊敬されるのだ。店も旦那さんもその家族もWin-Winの関係である。
まあ酒が飲めない下戸の旦那さんはこれから増えるであろう他のイベントで挽回できるようになるのだから頑張って欲しいところだ。
という訳でついでなので娘達にも酒作りを教える。普通なら味見させられるのは発酵してアルコールになる前の段階までだがここは異世界ではなくゲームの世界の中なので当然世界観も違いこの子達が酒を普段飲まないのは法律で規制されてる訳ではなく単純に俺が作ったジュースやお茶の方が美味いからなんだ。
とはいえ俺が作った酒が原因でアル中になったら大変なので試飲は自分が作った物に限定してもらおう。
お酒とは基本的には糖を酵母菌で発酵したもので用意する糖の元になるものや酵母菌の種類によってと更に環境や製法によっても違いのあるのだがエルフ幼女が豊穣の大精霊をこき使って大量の穀物や果実を準備してくれるので後は回数こなしてさっさと酒造や錬金術の初級をマスターしてしまえと様々な安酒を量産させ、中級になる頃には他の生産技能ボーナスを受けて高級酒になっていた。
尚、飲料不可のいわゆる工業用アルコールや手指消毒用アルコールも大量にできてしまったのだがここはゲームの世界なので運営が露骨にそういう設定にしたいかにもな場所以外だとそもそも菌が存在しなかったりする。
ってことはつまり俺は久しぶりに露骨なフラグを立ててしまったようである。
消毒用アルコールが必要ということは絶対ヤバいエリアが存在するか病魔を振り撒く大精霊の能力がそのまま移植されたことを意味するのだろう。
やつは普段は大人しいが外的要因によって引き起こされる災害なような大精霊なのだ。
ラブリーファンタジーの世界にはそもそも病気にかかったNPCが存在しないのできっとまともな耐性がないはずだ。
念のために出店にばらまかせるおもちゃにこっそりと病魔の護符を仕込んだ人形を大量に作ることにした。
色々作りまくったのもあるが久しぶりにオート生産で単位を見落とした俺は気絶し、いつまでも部屋から出ない俺を心配した嫁や娘が部屋で見たのは女児の着せ替え人形に埋もれて気絶する俺だったという。
着せ替え人形ってのは服を自由に脱着できるお人形さんなので当然下着姿の女児人形を大量に囲まれた変態である。
その日から何故か俺が飯作ってるのに俺の分だけおかずが1品減らされたという。
ついでなので大量のドールハウスも作った訳だが現実の家よりもドールハウスの方が豪華な家になるわけで世の中のお父さんお母さんに強烈なプレッシャーを与えてしまったとか
恒例なら王都ファーストで選りすぐりの芸役者どもが祭り期間中にお祭り気分を盛り上げまくる訳だが俺にそんな伝てがあるわけないので当日は夕方から夜10時位まで娘とエルフをこき使う計画にした。ゲームマスターも使おうとしたのだが姉ちゃんのような水面下での交渉役が居ないのでうまく逃げられてしまった。
具体的には妖術を使ってYO-JUTUイリュージョンで盛り上げるというやつだ。
エルフは無駄に精霊と親和性が高いのであちこちで精霊をテイムしてもらった。それぞれの属性剣とLポと幸運の壺が大量に使われた訳だがこんだけばらまきまくっても無くならない幸運の壺に俺はどんだけ作ってんだよ。カルト商法でもやる気だったのかと過去の俺に問い詰めたい気分になった。
ちなみに深雪はお留守番である。
だって深雪の妖術って破壊専用だからな(笑)
失礼な私だって妖術に頼らなくても芸の1つ位あります。とふんすと抗議してくるので魅せてもらったけどセクシーなポールダンスは認めません。盛り上がるけど盛り上がるけど嫁のエロい所は誰にも見せません。
結局深雪ができない枠はもう1人だけ一応弟子の枠にいたセブンスの守護者のシャドーが殺陣を披露というもので一件落着した。
プレイヤーの皆さんは娘達のスペシャルモードの師匠であっても私の弟子ではないのだがそれぞれ一芸を持ってたようで参加希望となった。予定より特別席の店が増えるということで追加店舗の募集という異例な事態が起きた。
ついでにノリだけで参加希望出した芸才がないプレイヤーには見た目だけ即席クッキングショーを披露してもらいとにかく見た目だけ綺麗なデザートを作ってもらい、それとなく俺の用意したデザートと偽の見た目だけデザートを入れ換えて特別席の観客に配るという手段でごまかすことにした。本来ならカラクリショーでも良かったんだが今後もずっとデザートを期待させられるプレッシャーに晒されながら反省しろと言う方針だ。
そんなアホな一幕(?)を経てとうとう精霊祭の日を迎えるのだった。




