表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

第1話 ジェネレーティブAIと異世界転移

初投稿です。更新は不定期です。

「アッオー」携帯にメッセージがとどいた音がした。妹からのメッセージのようだ。

「今日は焼き肉が食べたい」飯の催促だった。大和は28歳のシステムエンジニア。日々デスマーチの続くブラックなシステム会社に勤めながら、年の離れた大学生の妹の花と2人で暮らしている。システムの納品が終わり、久しぶりに20時に仕事を終えたところ、納品で早く終わることを知っていた妹からのメッセージだ。

「まぁ、納品も終わったし、奮発するか。」

行きつけの食べ放題の焼き肉店に行くので最寄り駅に集合とメッセージを返し、電車に乗る。満員電車でくたくたになりながらも家の最寄りの駅にたどりつき、妹と合流する。

「にぃ、遅い腹減った。」

「悪い。早く入って肉をくおう。」

そう言って、焼き肉屋のドアを開けた瞬間、兄妹の目の前が白い光に包まれた。ふと気づくと、彼らは見たこともない風景の中に立っていた。周囲には茂みと森が広がっていた。


「にぃ、焼き肉屋こんな内装だっけ?」

「そんなわけあるか、ネット通販の密林のオフィスでもあるまいし。」

周りを見渡すと、さっきあけたはずのドアもなく、肉の匂いと煙にまみれたいつもの焼き肉屋でもない。夜だったはずが太陽の光がこぼれ落ちる明るい森の中に立っていた。


「あー、これが噂の異世界転移」

「でも、トラックにひかれてないし?」

2人ともオタクなので、なろう系小説のネタには詳しかった。


「ほっぺたをつねると痛いな。」大和はほっぺたをつねりながら言う。

「風の感じも日の光の感じもVRMMOの中ってわけでもなさそう。ってVRMMOないし。」花も歩き回ったり、地面を触りながらそんなことをのたまう。


「とりあえずステータスっていって見るのがお約束か。『ステータス』」

すると手元にタブレット状のパネルが広がり、そこには名前:大和、レベル1、STR・・・といった情報がならんでいた。


「マジかよ。」

完全なるテンプレに大和は愕然としながらも、ステータスの値を読み込む。これが一般的なのかはさっぱりわからない。とりあえずレベル1ということは、棒と服で青いぷよぷよした物体と戦うのがお約束だろう。

「『ステータス』・・・ マジみたい。」花もステータスを開いて内容を眺めている。


「あー、こういうのって神様がでてきてチートとかくれるんじゃないの?なんかスキルとかあった?」

「あ、なんかアシスタントってのがある。」

「なんだそれ?つかえる?」

「やってみるね。」


花は、ステータス画面の最後に記載されたスキル欄にアシスタントという項目に触ってみた。すると別のウィンドウが広がり、メッセージがぽちぽちと表示され始めた。


『こんにちは、私は*@&#$!が開発した大規模言語モデルの1つで、あなたたちをサポートするアシスタントです。文章を生成したり、質問に回答したりすることができます。』


「完全にどこぞのジェネレーティブAIの回答じゃないか。」

「ジェネレーティブAI?」

「質問に対して学習したデータからそれっぽいことをつなぎ合わせて回答してくれる AI。データがあることにはとことんそれっぽい回答をしてくれるし、プログラムの支援とかもしてくれるっていうんで、業界では流行りだしている。」

「へー。わからん。」

「まぁ、あっぽーのヘイって呼び出してタイマーとか設定してくれやつのすごい版ってところ。イマドキの学生は卒論とか課題をそれで書いてるって聞くけどな?」

IT系に勤めている大和にとってジェネレーティブAIの台頭は今後の仕事に影響しかねないのでチェックしていた。顧客もAIを導入したいとか無茶振りをいってきたりして頭痛の種だった。一方、花はITにはそんなに詳しくない。SNSのように慣れてしまえば使うが、まわりで広まってなければ最先端の技術までは触らない。


「アシスタント、ここはどこ?」

『私はオンライン上で会話を行っているため、物理的な場所はわかりません。』

「くっ、つかえねぇ」


「アシスタント、あなたは何がわかるの?」

『2021年9月の時点でリリースされたデータを使用されて訓練されており、幅広い分野についての一般的な知識を持っています。学習されたデータに基づいて答えを生成します。また、!)@#{)*が新しいデータを追加することで常に更新されているため、現在も知識は拡大し続けています。ただし、私が知らないことや、正確性に欠ける情報が含まれている可能性があることを覚えておいてください。』


「アシスタント、この世界の歴史をおしえて。」

『紀元前3000年頃、シュメール、エジプト、インダス文明の発展、紀元前・・・』


「地球のことしか知らんのかよ!」

「まぁ、うまくやれば現代知識で無双ができるってことじゃない?」

「しかし、森の中でどこにいるかもわからんし。生き延びなきゃ無双どころじゃないぞ。」

「たしかし」


「人がいるところを探しに移動する必要があるけど、どこに向かえば良いかわからんしなぁ。なにもってる?」

「焼き肉食べる気だったからスマホだけ」

「財布ももってねーのかよ!俺は鞄、スマホ、モバイルバッテリー、ペン、手帳、ノート、腕時計。あとはペットボトルのお茶ぐらいか。焼き肉考えたら腹減ってきた・・・」

「焼き肉・・・」


「アシスタントに聞いてみるか。アシスタント、どうしたらいい?」

『森で生き抜くためにはいくつか必要なものがあります。

1. 食料: 森の中には野生動物や果物、木の実などがありますが、それだけで生きていくのは難しいでしょう。自給自足の農業を始めることも考えられます。

2. 宿泊場所: 天候の変化や野生動物から身を守るためには、適切な宿泊場所が必要です。テントや小屋を建てることができます。

3. 着替え: 洋服や靴、防寒着などが必要です。

4. 火: 暖をとったり、食べ物を調理したりするためには火が必要です。火起こし道具や薪を用意する必要があります。

5. 水: 森の中には川や湖があることが多いですが、安全な飲料水を得るためには処理が必要です。水源から距離がある場合は、水を運ぶ容器も必要です。

これらの必需品を用意し、適切に管理することが森の中で生き抜くために必要です。』


「マイクラかな?」


「まずは水と食べ物かね。水と塩があれば3日は生きてけるって言うし。」

「アシスタント、水の探し方」


『森の中で水源を探すには、まず地形を把握することが大切です。一般的に、川や湖、泉、小川など、水が豊富な地域は、植物が豊かであり、生命の息吹が感じられることが多いです。

また、野生動物の糞を見つけた場合は、それが濡れている場合があります。このような場合は、近くに水源がある可能性が高いと考えられます。植物も水が必要なので、葉や枝に露がついている場合も、近くに水源がある可能性が高いです。

さらに、鳥の鳴き声や虫の鳴き声を聞くことも、水源を探す上でのヒントになります。水辺には多くの生物が生息しているため、彼らの生息音を聞くことができたら、水源の近くにいる可能性があります。

最後に、地面を掘ってみることも有効な方法です。地面が湿っている場合は、地下水がある可能性があります。しかし、深さによっては、地下水を見つけることができない場合もあるので、注意が必要です。』


「生命の息吹(笑)」

「アシスタント、全然わからん」


『森の中で水源を探す方法がわからない場合は、水源の場所を探すために、以下のような方法を試してみることができます。

1. 鳥の飛び立つ方向を見る 川や湖などの水源が近くにある場合、鳥はしばしば水辺を飛び交います。鳥が羽ばたく方向を見てみることで、水源の方向を推測することができます。

2. 樹木の成長方向を見る 一般的に、樹木の成長は水源から遠ざかる方向に向かっています。森の中を歩いていると、木々の成長方向が変わった場所があれば、水源の方向を探すことができます。

3. 地面の湿り具合を確認する 地面の湿り具合を確認することで、水源の方向を探すことができます。地面に手を置いてみて、湿っている場合は水源が近くにある可能性が高いです。

これらの方法を試しても、水源が見つからない場合は、周囲の植物の状態や地形の変化に注意を払いながら、続けて探していくことが大切です。』


「なんもわからん」

「とりあえず歩くか」


そういって2人は森を進んでいくのであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ