22話 本日は晴天なり!!
遅れてしまって本当にすみません(-_-;)
冒険者ギルドに着いたエレンたちは、パーティー登録とクエストの申し込みを行うため受付に向かう。と言ってもほとんど受付側が勝手に処理してくれるため、基本的にはカードと一緒に台座に手をかざしておくだけである。本来ならその間にクエストの細かい説明や注意事項などを話すのだが、今回はケイトがパーティーにいるため省略された。また一人一人登録しなければならないためどうしても手間がかってしまう。
「いちいち面倒くさいわね。どうにかならないのかしら?」
「他の受付が空いていれば同時に出来なくもないだろうけれど、一ヶ所でまとめてやれる方法がないからね。こればかりは仕方がないかな。」
台座にはカード一枚分の枠しかないためどうしようもない。またこの設置されている台座の数も3台しかないため同時に空くことが少ない。また朝のこの時間には新しい依頼が出るため新しい仕事を受ける者も多く、受付前は人が並ぶことも少なくなかった。幸い今日は人が少なかったから良かったが、並ぶほどの人がいた時に果たしてエレンがちゃんと待っていられるかどうか。
「すみません、お待たせ致しました。」
「さて、それじゃあみんな揃ったことだし行こうか。」
そうこうしているうちに全員更新し終わったようだ。ケイトが先導するように歩き、エレンたちは冒険者ギルドを出る。
「で、結局クエストの内容ってなんなのよ?結局コイツに邪魔されてマールから教えてもらえなかったんだけど。」
エレンは邪魔をされたことを根に持っているのか、ケイトの横に並びながら不満げな顔で後ろのクレスを睨み付ける。朝食の時にケイトたちのパーティーに加わる事をマールに伝え、改めてクエストの内容を聞こうとしたのだが、そこでもクレスに邪魔をされて結局聞けずじまいでいた。
「おっと、俺は別に悪くないぜ。まだ嬢ちゃんが俺たちのパーティーに加わる確証がなかったからな。もしかしたら嘘をつかれている可能性もある。そう易々と人の言葉を鵜呑みにする程、俺はお人好しじゃない。」
どうやらエレンの声が聞こえたのだろう、自分の事を弁明するようにクレスが答えるが、エレンは聞く耳を持とうとしない。
「ふん、どうだか。どうせ私やマールが困るの見て楽しんでただけでしょ?」
「まぁ半分くらいはそんなとこだが、残りの半分は真面目にやってるつもりだぜ?」
「…。」
エレンはクレスに何か物言いたそうな視線を向けるが、当の本人はまったく気にしていないように笑っていた。
「まぁまぁ、クエストについては歩きながら説明していくよ。とりあえず一度街の外に出よう。」
賑わう街中を歩きながらエレンたちはの東門の方へと向かった。門前では一昨日と同様に衛兵たちが検問が行っていた。どうやら街の外に出るにも検問を受ける必要があるらしい。当然エレンたちも検問を受けることになる。
「…。」
「…。」
何やらエレンが一人の衛兵と睨みあっていたが、それ以外は何事もなく検問を通り抜ける事ができ、無事街の外へ出ることが出来た。
「わぁ…。」
門をくぐり外壁を抜けると、そこには視界一杯に青と緑が大きく広がっていた。空は雲ひとつなく太陽が輝いており、広大な草の海には漂うように街道が前へ前へと伸びていく。その先には地と空の境に線を引くように白い山並みが横に続いて伸びていた。草の薫りを感じながら見るその景色は、はじめて見る者なら誰もが心を奪われるだろう。特に初心者冒険者ならこの景色を見て、この雄大な草原の中を走る大きな街道に自分の夢と希望を乗せてしまいたくなるものだ。
「…ここからの景色はいつ見てもすごいですよね。」
コルトもその一人のようだ。何度も見慣れた景色だろうが、それでも見入ってしまうのだろう。それだけ心を引かれるものを感じられるらしい。瞳を輝かせながら見つめるその姿は、夢見る人間の少年と何ら変わりない。
「相変わらず坊主はここの景色が好きだよな。ま、その気持ちは分からなくもないがな。」
クレスも同じようなことを思った事があったようだ。コルトの横に立ち同じように景色を眺める。しかしその表情はどこか儚いものでも見るように寂し気な表情を浮かべていた。
「…アンタたち端から見てると気持ち悪いんだけど。そんなところで突っ立ってないでさっさと来なさい。」
思いに更ける男性陣二人に対し、水を差すようにエレンが催促する。どうやらエレンには感じるものがなかったらしい。そんなエレンにガッカリしたのか、クレスは残念そうにエレンを見ていた。
「嬢ちゃんは夢がないなぁ。そんなんことじゃあ男にモテないぜ?」
「別にモテたいなんて思ってないから大丈夫だよ。そんなことはどうでもいいから早く行くわよ。」
「可愛げのない嬢ちゃんだな。だが行くにしても坊主がいないと目的の物がある場所には行けないんだがな。」
「はぁ?どう言うことよ、アンタたち知ってるんじゃないの?」
クエストの内容を知っているはずのクレスたちが何故目的の場所に行けないのか、エレンにはよく分からなかった。そこへエレンの疑問に答えるようにケイトが説明する。
「まぁ僕やクレスさんだけでも見つけ出せなくはないんだけど、その場合どうしても時間がかかってしまうんだ。そこでコルトくんにお願いして協力してもらっているんだよ。コルトくん、場所はわかるかい?」
ケイトに呼ばれたコルトだがすぐに答える様子はなく、立ち尽くしたまま目を閉じて静かに黙っていた。その代わりに頭上の犬耳は何かを探しているかのようにキョロキョロと忙しなく動いていた。暫くしてことをやり終えたのか、犬耳の動きは大人しくなりケイトの問いに答えるように話し出す。
「あっちの方に生えていそうですね。」
「わかった、ありがとう。それじゃあ行こうか。」
コルトが街道より少し外れた方向を指を差し、それを見てケイトは頷き、コルトが指差した方角を目指して再び歩き始める。
「あっちの方に何があるのよ?」
「薬草だよ。パージュでお茶として使われている香草を回収するのが僕たちの今回の役目さ。」
どうやらそれが今回のクエストの内容らしい。
「ここの草原に目的の薬草が生えているんだけど、この広さを普通に探すだけじゃあまりにも時間がかかりすぎる。けどコルトくんはこの広い草原の中でも薬草の場所を見つけ出す力を持ってるんだ。」
「正確に分かる訳じゃないんですけど、あっちの方から何か気配のようなものを感じるんです。その場所に行くと何故かあの薬草が生えているんですよね。」
「何なんだろうね?魔力的なものなのかな?」
「自分で言うのもなんですが、ボクにもよくわかりません。ただ魔力とは少し違うような感じがするんです。感覚でしか分からないので、口で説明するのが難しいのですが。」
「そうなんだ。不思議なものだね。」
「…アンタたちそんなのでよく探し出せたものね。正直聞いてて不安でしかないんだけど。」
二人の曖昧な会話を聞きながらどうも不安にしかならず、呆れてため息を漏らすエレン。
「はっはっはっ、その辺は何度もやってるから大丈夫だ。安心しろ嬢ちゃん。」
「アンタに言われると余計に信用出来なくなるわね。」
「おっと、そいつは心外だな。これでも俺はBランクなんだぜ?一応ギルドからはそれなりに信用されてるだがな。」
「そんなこと私には関係ないし、知ったことじゃないわ。寧ろそのランクって言うのも私は疑うわよ。何でこんな奴が私よりもずっと上なのかが分からないわ。」
「いや、エレンちゃんは昨日登録したばかりだし、それは仕方がないよ。それにクレスさんはうちのギルドでも古くからいる人なんだ。それこそ僕なんかよりも戦闘技術や知識量も豊富だ。逆に何故Bランクに留まっているのか分かりませんけどね。」
「生活する分にはこれぐらいが丁度いいんだよ。それに俺もいい年だ。昔みたいな無茶はもう出来ないからな。あとは若い奴らにでも任せるさ。」
「爺くさ。それならこれを期にとっとと引退すればいいわ。この私が最後を看取ってあげるんだから感謝しなさい。」
「勝手に殺そうとしてますよこの人‼しかも凄く上から目線で話してません!?」
「ありがとよ嬢ちゃん。俺もそうしたいのは山々だが、残念ながら周りがそうさせてくれないんでな。まだまだ引退は先のようだ。いやぁ、モテるのも困り者だな。」
「…相変わらず口が減らないわね。なんなら今ここで看取ってあげてもいいわよ。」
「まぁまぁ、エレンちゃん。落ち着いて。」
「…ふん。」
「やれやれ。」
「…何でこの人はいつも喧嘩腰なんでしょうか?」
「ま、それが嬢ちゃんらしいところなんじゃないのか。俺は嫌いじゃないがな。坊主も少しは見習ったらどうだ?」
「…ボクは遠慮しておきます。」
そんな会話をしながら四人は目的の方角へと歩みを進めた。
*****
「…気配が大きくなってますね。大分近くまで来たみたいですね。」
「ふぅ、今回は少し歩いたね。でもあと少しで到着だ。」
「…お腹空いた。」
あれから四人は街を出て一刻半程歩き続けていた。時々方角を確認しながら途中までは足場のよい街道を利用し、街道を外れてからもそのまま草原の中を歩き続け、今は草原の真っ只中にいた。休憩なしに歩き続けていたため、それぞれ顔に疲労を浮かべていた。エレンも歩き始めの頃に比べて大分口数が減っていただったが、どうやらお腹を空かせていたらしい。時刻も大分陽が上って現在は真上に到達し、丁度お昼頃となっていた。
「はっはっはっ、嬢ちゃんは本当に正直だな。ま、丁度昼時だ。仕事前にここらで飯にでもしよう。」
一人だけ元気そうに声をあげるクレス。ベテランの冒険者だけあってこう言うことになれているのだろう、他の三人に比べて特に疲れを見せることもなく、溌剌とした声をあげる。
「べ、別にこれぐらい我慢できるわよ。」
クレスに言われたことで恥ずかしくなったのか顔を朱くする。しかしエレンの言葉とは裏腹にお腹の方はぐぅっと音を鳴らし異議を申し立てられ、エレンは顔を更に赤く染めた。
「まぁまぁ。僕たちも疲れてきたし、休憩も兼ねて食事にしよう。せっかくマールが用意してくれたんだしね。」
そう言ってケイトは手に持っている籠を見せる。パージュを出る時にマールが渡してきたものだ。中には全員分の昼食が入っており、わざわざマールが用意してくれたのだ。
「ボクもそれには賛成します。少し疲れました。」
「よし、それじゃあ飯にするか。」
クレスの意見に全員賛成し、ここで食事を取ることになった。特に座れるような場所もないため、足場を確認しながらそれぞれ地面に座り寛ぎはじめる。エレンも四肢を伸ばして寛ぐ。草原には草を撫でるようなそよ風が吹いており、体を動かした後にはそれが心地よく、運ばれた草の香りが疲れた心を労ってくれているようだ。何だかんだと疲労を感じていたようだ。
「はい。これがエレンちゃんの分だよ。」
(『はしたないですぞ姫様。疲れているとはいえ今は殿方の前なのです。そのような格好で座るなど淑女としてあってはなりませんぞ。』)
汚れも気にせずその場に座るエレンの姿に目に余るものを感じたのか、ドルマックは寛ぐエレンに小言を述べる。
(「うるさいわね。こっちは慣れない人間の体で動き回っているんだから仕方がないでしょ。しかも歩きだなんて、どれだけ疲れると思ってるのよ。」)
風を楽しんでいたところを邪魔されて、不満そうな表情を浮かべる。ここ数日人間の体で過ごしたことで多少なりと慣れてきているのだが、やはり勝手が違うようでところどころで神経を使っていた。特に力の制御には苦労しており、少し気を緩めただけで物を壊しかねないのだ。一応人間に化けている間は通常よりも力が制限されているのだが、それでも力をもて余してしまうのだ。そのため何をするにしても気を使わなければ簡単に物を壊してしまうため、一つ一つ神経をすり減らして行動していた。また今までの生活では長い時間歩いて行動することはなかったため歩き慣れていないエレンには一刻半という道のりは辛いものがあった。特に街道を外れた草原の上は地面が柔らかく足元が不安定なために歩きにくく、足への負担は大きかった。それでも通常の人間よりは体力があるため、倒れる程ではないのだが、それでも辛いことにはかわりない。
(『それは姫様がお決めになられたことなのですから文句を言っても仕方がありませんぞ。これから先は歩いて移動することが多くなるのです。その様なこと言っているようではこの先長く続きませんぞ。それとも旅はお辞めになってお城に戻られますか?』)
(「誰も辞めるなんて言ってないでしょ。私はただ歩いて疲れたって言っただけよ。」)
(『でしたら、そのような乱暴な座り方をせず、淑女らしい振る舞いを常に心かけてください。貴方が一国の皇女であることをお忘れにならず。』)
(「…言われなくってもそれぐらいわかってるわよ。まったく、ホント爺やはうるさいんだから。」)
口を尖らせながらも仕方なくといった感じに渋々座り直す。
「…どうしたんだい?浮かない顔してるけど。もしかしてどこか怪我でもしたのかい?」
そこへ同じ女性でありながらもどこか少年っぽい格好のケイトが近づいてきた。彼女の仕草はどちらかというと少年のような身振りをすることが多く、淑女と呼ぶには縁遠いような存在だ。
「…別に何でもないわよ。少し歩き疲れただけよ。」
「?まぁここまで結構歩いたからね。僕も結構疲れたよ。とりあえずここで休憩していくから少し休むといいよ。それとこれがエレンちゃんの分だよ。」
エレンは何故か呆れたような目でケイトのことを見ているが、当のケイトにはその理由がわからなかった。とりあえずケイトは気にせずに、持ってきた籠から昼食を取りだして、エレンの分を手渡した。
「…少ないわね。」
渡された昼食を見るや否やエレンは不満そうに呟いた。昼食の内容はエレンの拳より少し大きめのパンを2個と薄く切られた干し肉が1枚だった。
「はっはっはっ、そう言うなよ嬢ちゃん。本来なら飯なんて自分たちで用意するのが当たり前なんだ。貰えるだけありがたいと思うんだな。」
どうやらクレスにもエレンの呟きが聞こえたらしい。エレンをからかいながら自分の分のパンを食べはじめる。大柄なクレスがパンを持つとそれが小さく見えてしまい、2口程で1つのパンを食べてしまう。
「場合によっては飯なんて食ってる余裕すらないからな。こうやって食べられるだけでもありがたいもんだぜ。」
「う、うるさいわね。言われなくてもそのくらい分かっているわよ。」
クレスに言われたのが嫌だったのか、エレンは苛立ちをぶつけるようにパンにかぶりつく。そんな二人のやり取りを見てケイトは苦笑した
「まぁまぁ、なんだったら僕のパンを1つあげるよ。僕はそこまでお腹が空いていないから、よかったら食べていいよ。」
「…別にもういいわ。いらない。ここで貰ってしまってアンタに貸し作るの嫌だし、アイツに負けた気がして何かムカつくわ。」
ケイトが自分の分のパンを差し出そうとするがエレンはそれを断る。クレスに言われたことでムキになっているようだ。
「でもお腹が空いていることにはかわりないはずだよ。パーティーなんだから貸し借りなんて気にしなくていいよ。」
ケイトの言う通りムキになってもお腹が膨れるわけではないのだが、エレンはそれでも頑として受け取ろうとしなかった。
「だったら尚更受け取れないわよ。それを貰った後で空腹になって足手まといになられても困るもの。自分の事くらい自分で見てもらわなきゃ困るわ。」
「はっはっはっ、嬢ちゃんがそれを言うのかよ。」
「うるさい!!アンタは黙ってなさい。」
「だけど…。」
受け取らないエレンを心配してかケイトもなかなか引こうとしなかった。そこへ遮るようにクレスがケイトを止めた。
「まぁまぁ、いいじゃないねぇかケイト。心配するお前の気持ちもわかるが嬢ちゃんの言っていることも正しい。世間の厳しさを教えるためにも、ここは嬢ちゃんの意見を尊重しようぜ?」
「…アンタに言われると本当に腹が立つわね。」
心配するケイトを宥めるように止めるクレスだが、その顔は何かを楽しんでいるようにも見える。クレスに止められては不安そうな表情を浮かべるケイト。クレスに止められたことで判断に迷っているようだ。
「…本当に大丈夫かい?」
迷ったあげく確認するようにエレンに聞く。どうやらエレンの意見を尊重することにしたらしい。
「だから大丈夫だってさっきから言ってるでしょ。私のことよりアンタは自分の心配でもしてなさい。」
エレンはきっぱりと言いきると、それ以上受け付ける気がないと言わんばかりに自分のパンを食べ始める。その姿に呆れてかケイトは思わず苦笑してしまった。
「やれやれ、そこまで言うんだったら仕方がないね。これはありがたく僕が頂くことにするよ。」
そう言ってケイトも近くに座り自分の分のパンを食べはじめる。クレスはすでに食べ終わったのか、その場に寝転がって休んでいた。
「…このパーティー、本当に大丈夫なのかな。」
三人のやり取りを傍らで見ていたコルトがぼそりと呟くのだった。
データ壊れてパソコン壊れてヤバイんですよ。
( ;∀;)
とりあえずスマホで打ち込んで書き続けようと思いますが、定期更新出来るか微妙です。
本当に申し訳ありません。
なるべく週一更新できるように頑張ります!!




