第8話 少女の幸せ
前回少なくてすみません!今回はちゃんと戻したと思います!そこまで進展していませんが今だに名前が明かされていない少女と少しづつ近づいていくお話です!
少女は頷いて一緒に暮らしてくれることが決まった。
夜は内心すごく嬉しく思っているが、今だに首元にナイフを突きつけていること気づき少しゾッとしながらも夜は少女に言う。
「えっと、とりあえずは首元のナイフをどけてくれないか?これからお互い一緒に生活をしていくんだから仲良くしたいしな。」
少女にそう言うと自分でまだ突きつけていることに気づき慌ててどかす。
夜は退けられてホットしながらもこれからのことを話す。
「ふぅ〜、とりあえずは自己紹介からしよう。俺の名前は夜だ。最近冒険者になったばかりで知識は無駄に高い。これから宜しく頼む」
夜が簡潔に自己紹介をすると少女の答えは
「………」
無言だった。
「あぁ〜、すまない。名前を教えてくれ何と呼べばいいか困る。」
夜は少女に質問を促すが少女は黙りだった。
「………わかった。言いたくないならいい、これから君に信頼されるよう頑張るだけだ。」
「………」
夜は言葉にして決意を言った。
夜はふと近くの窓から外を見るとすっかり暗くなっていた。
「寝たから遅くなってしまったな。まだ何も食べてないからな腹が減ってる。おばさんに持って来てもらった食事を食べようか。冷めてると思うけど」
「………コク」
夜が提案すると少女は肯定の意味で縦に首をふる。
「じゃあ食べるか。君の方は柔らかめのスープにしておいた。君しばらく何も食べていないだろ?いきなり肉とか食べると戻す可能性がある。だから簡単なスープにしておいたんだ。量は……少し多めだな。腹に貯めれていいな。食べるか。」
「………コク」
夜はそう言って机に座る。
すると、少女は机の近くに来ると床に座った。
「!?」
夜は驚愕した。
少女がまさにしている行動は家でどういった扱いをされてきたかを物語っていた。
この世界には奴隷がいる。
主人になった人には逆らえない。人ではなく物と定義されている。奴隷は主人と同じ机で食べることなど許されない。
貴族いわく椅子の上に物を置くなど許せないし、物如きが我と一緒に食事するなど無礼にも程がある。
という事だった。
今少女がやっている事は奴隷と一緒なのだ。
机の下に座り恵み(食事)をねだったりするのだ。
この子は家では奴隷同然の扱いを受けてきたのだ。
夜は心の底から親へ対する怒りと殺意が一気に湧き上がった。
だが夜はそれを表に出さないように抑え、少女に優しく言う。
「そんな事にしなくていい、俺の前の椅子に座りスプーンを持って自分のタイミングで自由にいくらでも食べればいい。君はもう自由なんだ。」
「!………コク」
夜が言うとゆっくりと立ち上がり申し訳なさそうに椅子に座るとこっちを見てきた。
多分食べていいのか?とでも言いたいのだろう。
「今言ったろ。自由に好きなタイミングで食べていいと、ほらしっかり食べろ。君は今かなり細く弱くなっている。元の体にちょっとずつ戻していこう。」
夜がそう言うと相変わらず無表情ではあるがどこか嬉しそうだった。
(なんか幸せオーラが出てる感じがするな)
夜はそう思いながらフォークとナイフを持って食べ始めた。
因みに夜のご飯はフランスパンに似たパンと分厚い牛肉、隅には大量の野菜があった。
夜は料理はできるがこの世界での肉はどんな肉なのか、野菜はどういった物なのか全くわからないので日本の料理と比べるものがなかった。
夜が食べたことを確認すると少女を食べだした。
とても嬉しそうだ。
嬉しそうに食べている少女を見ながら黙々と食べているとすすり泣く声が前から聞こえた。
夜はゆっくりとそっちへと目をやると少女が泣いていた。
だが、悲しみから来ているものではないと直ぐにわかった。
泣きながらでも幸せオーラ全開だったのだ。
家ではろくな食べ物ももらえず空腹に耐えてきたのだろう。
たとえ貰えたとしても美味しくもない残飯や腐った食事などを食べさせていたのだろう。
(良かった。少しでも幸せを与えられたらいいな)
夜は幸せオーラいっぱいの少女を見て口元が綻びる。
(だがここまで自分の子供を虐待する意味はなんだ?)
そんなことを考え自分の知識から色々な情報を引き出す。
そこで夜は気づく、
(まさか……だが、こんなくだらない事でこの子の周りの人達は……いや、まさかだよな)
夜はこの子に聞くのが一番いいと思ったが流石に今聞くのはやめた方がいいと判断した。
お互いが食事を終えると夜は思う。
(食事のあとは風呂だなとか思ってたがこの世界には貴族以外は風呂という贅沢な施設はなかったな)
そんなことを考えて残念に思う夜。
もう夜遅いので今更おばちゃんに濡れタオルをもらうのも気が引けた。
今日はおとなしく寝ることにした。
「もう夜遅から寝るぞ。そっちのベッドで寝てくれ」
「………コク」
夜が指示をするように言うと少女は肯定した。
ベッドに入った夜は考え事をしていた。
(さて、どうしたものか。名前も聞いていないし、それどころか声すら聞いていない。どうやったらいいのだろう?はぁ〜こんな事するのは柄じゃないのにな)
そんなことを考えていると少女が立つ気配がした。
気になり見てみるとこちらに向かって歩いてくる。
「どうしたんだ?」
少女に聞いてみると相変わらずの無表情だが照れて見える。
(不思議だ、彼女の感情がオーラで見えているように思える。恋の力?)
などと、どうでもいい事を考えているとふと少女から行動を起こした。
モゾモゾ…
「は?おいおい、本当にどうしたんだ?」
「……」
夜の中ではかなりパニックになっていた。
(待て待て待て!!どうなってる!!何故俺の布団の中に入ってくる!)
そう、少女は寂しさゆえに夜に背中を向けて寝そべっていた。
夜にはどうした方がいいかわからずそ、とりあえず夜も少女に背中を向けた。
(はぁ〜本当にわからん。この子の扱いに困る。この子のことを何も知らないで好きですとか言っていても説得力ないしな、せめてこの子が話してくれれば!どうやって話そう?)
いつもクールな夜が軽く崩壊していた。
もうおわかりだろうが、夜は少女の事になると徹底的に甘くなる。
すべて少女優先になってしまうところがあるのだ。
本人も自覚はしているであろう。
(とりあえずはここしばらくはこの子と話すが目標だな。)
夜は心の内で決意するとゆっくりと目を瞑る。
そのまま深い夢の中へと落ちていった。
ふと思ったのですが、後書きで何度か少女喋ってるですよ。結構考えなしに書いたら間違えてしゃべらせてしまいました。次回は少女とデートです!因みにこの話の一週間後です。
少女)………
夜)あ、喋ってない。
作者)………
夜)お前は話せ
作者)はい