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輝かしき果実〜愛情を知らぬもの〜  作者: にんしり
天災編
32/33

第31話 覚醒

 夜とティア、ユミルはそれぞれの武器を構えながら神獣へと走っていく。

 それまでの恐怖は、もう無かった。

 ただ神獣に負けないという気持ちだけが心から溢れ出ていた。

 夜は神獣の動きを止めるため、2人に指示を出す。


「ティアとユミルは出来るだけ高いところに行け」

「了解!」

「……わかった」


 指示を受けてからの行動はとても早かった。

 ティアは糸を使って手頃な高さの木を見つけ、それの木に糸をくくり付けると一気に体を持ち上げた。

 ユミルは風を足の下に爆発的に膨張させて、自らの体を上へと打ち上げた。


(さてと「銀霧世界(ニブルヘイム)」を使うが、もし可能なら、そのまま氷漬けにして倒して欲しいものだな。)


 そんな期待を持ち、魔力を開放する。

 頭の中で魔法の行使方法を考えながら、脳内での処理を終える。

 その瞬間、夜は一気に「銀霧世界(ニブルヘイム)」を発動する。

 魔法は夜から広範囲前方に一気に発動され、ちゃんと範囲制御も出来ている。

 だがその魔法は失敗に終わる。


 キュオオオオオオーーー!!!!


 そんな甲高い声とともに神獣は、その体から考えられないほどのジャンプをする。


「なっ!」


 予想外の出来事に、夜も思わず声を漏らす。

 確かに、動きだけでも封じられたらと発動された魔法だったが、あの巨体がまさかジャンプするとは考えられなかった。

 それを考慮していたとしても、範囲をもっと拡大することはできなかっただろう。

 なぜなら上には夜の指示により、上へと避難している2人がいるのだ。

「ティア!ユミル!下に急いで降りてこい!」


 2人も現状を把握しきれておらず、唖然として神獣を見ていた。

 だが、夜の言葉に2人はハッとする。

 急いで2人は下へと降りようとするが、そこへ神獣が自分の体の周りを回転させている火の玉の2つを、こちらへと放ってくる。


(やばい!あの火は魔法が効かない。あの2人が強いと言っても対処不可能だろう。)


 下へと急いで降りて来ているが、明らかに火の玉の方が速かった。

 次の瞬間、先にユミルへと打たれていた火の玉はユミルを通過する。

 決して当たったわけではなく、火の玉が当たる瞬間に体に風を纏って一気に上に上がったのだ。

 その行為はかなり体に負荷をかけるため、危険な行為なのだが、無理をして回避していた。

 問題はティアだった。


(あの距離から糸をどこに飛ばしても無理だろう。仕方がない。俺は守ると決めているのだから 。)









 ティアは後ろの火の玉を見て絶望していた。

 夜の言葉に現状を無理やり把握させて、下へと降りようとしていたはいいが、後ろの火の玉に気付かず避けようともしていなかったことに、自分の情けなさを感じさせていた。

 ティアはもう自分が死ぬとわかった。

 避けれるはずもない、だから下にいる夜を巻き込まないようにわざと当たろうと考へていた。

 もう1度後ろを振り返り火の玉を睨んでから、前を見て愛おしい夜の姿を見ようとするも前には誰もいなかった。

(……ヨルの姿がない。私も見放されたのかな。最後まで酷い人生だったな…)


 そんなことを考えていた、その時だった。

 火の玉が自分に当たる瞬間に、火の玉とティアの間に黒い物が入り込んでくる。

 その瞬間、すべてがスローになり黒い物はゆっくりとこちらに振り返る。

 その時に物ではなく、人なのだとティアは認識する。

 そして顔を見ると明らかに知っている人物だった。

 黒い人はにっこり笑って、一言。


「ありがとう」


 一言の後は、時が戻り爆発が目の前でされているが、氷のような物で自分を守ってくれていた。

 こんな事ができる人物など1人しか思い当たらなかった。

 悲しみの声とともに、その人物の声を精一杯の声で呼びかける。


「ヨルーーー!!!!」








 夜は気づくと暗闇の中に立っていた。

 暗闇ではなかったが、間違いでもなかった。

 辺りは何も見えない暗闇だったが、上を見上げればとても眩しい木が見えた。

 なにか聞こえるかと言われれば、鐘の音がずっとなっていた。


 「また、ここか。」


 そう、以前異世界に飛ばされる前に来た黄金の果実がある場所だった。

 ここで果実を食べてからというもの、自分に異世界の知識があったり、周りには使えない魔法が使えたりと不思議なことにいい事が多いのだが、いくら考えてもこの果実の事はわかりそうになかった。


(とりあえず、あの時みたいに食べればいいのか?)


 上を見上げれば、光る果実が沢山なっている。

 立ち上がろうとしたが、その必要はなく上から一つの果実が落ちてくる。

 それを見た瞬間に夜は物凄い空腹感に襲われる。

 夜はその果実を夢中になって食べる。

 食べた瞬間に夜に睡魔が襲う。


(これもあの時と同じか……)


 夜はそのまま深い眠りの中へと落ちていった。







 ユミルは夜が爆発を受けて、絶望していた。

 木の上に立ち、その光景をずっと見つめていた。

 そんな時だった。

 爆発の中心部分から黒いものが下へと落ちていった。

 ユミルは夜なのではないかと考え、落下地点へとユミルは全力疾走する。

 その黒いものがしたに落ちきる前にユミルはキャッチするとその黒いものが何かを確認する。


「え?ほんとに!?」


 ユミルからは少し嬉しそうな声があたりを響かせる。

 ユミルが喜んだ理由は、その黒い物が夜であったからだ。

 そう、爆発に巻き込まれて夜だとわかるわけがない。

 普通なら人間の体というのは弾け飛び原型もとどめないのだが、夜だとわかるということは体は無事だとわかるのだ。

 とは言っても、決して助かっているわけではなかった。

 全身には酷いところと軽傷で済んでいる焼け跡と右腕がなくなっていた。

「そうだ!心臓は!」


 ユミルは急いで心臓部分に耳を近づけるが全く心臓の音は聞こえなかった。


「う、嘘でしょ?」


 いくら魔法が何でもできるようなものでも死者蘇生というものは出来なかった。

 つまりは夜はもう死んでしまっていたのだ。

 助けることも出来なかった。

 ざっ、という音がしてユミルは警戒しつつ後ろを振り返るとそこには傷を負ったティアがいた。

 その顔はユミルに抱かれている夜を見てとても悲しそうな顔をしていた。

 いや、悲しそうな顔というのは可愛い表現だと言える。

 全てに絶望した顔をしていた、といった表現が妥当であった。


「……ねぇ、夜は?」

「…………」


 ティアの問にユミルは何も言うことは出来なかった。

 ティアにとっては夜がすべてだとユミルでもわかる。

 だがそんな人が死んだと言われれば、今のティアでは壊れてしまうことぐらい誰でもわかるというものだった。

 しばらく、二人の間に沈黙が訪れる。

 ティアが突然、その沈黙を突き破った。


「…………そう」


 ティアは静かに一言言うと、糸を手から垂らす。

 その瞬間、ティアが何をしようとしているのかを悟った。


「やめろ!ティア!君は夜の守られたんだぞ!そんな君が自らの命を捨てるような行為はよせ!」

「……黙って!じゃあ、どうすればいいの?この怒りは、何処にぶつければいいの?夜がいなくなった今、私良い場所はない。だったら好きにさせてよ。あの神獣に復讐をさせてよ!」


 そうティアが今やろうとしていることは神獣に復讐するということだった。

 今のティアは完全に正気を失っていた。

 冷静な判断ができていない今、ゴブリンすら数体で囲まれたら負けるであろう。

 そんな人が神獣相手に倒せるわけがなかった。

 無駄死にだった。

「……貴方にはわからないわ。さようなら」


 ティアはユミルを置いて神獣へと突っ走ろうとしたその時だった。


バチバチ!


 夜から大量の電気が溢れ出てきた。

 その光景にティアも思わず足を止める。

 ユミルはそっとしたに下ろすと、夜の心臓が動き出していることがわかる。

ーそして夜は目を覚ます








夜が目を覚ますまでの展開を完全に決めておらず、とても迷いました。

遅れて申し訳ないです。

小説を書いている私でもリアルは忙しいんだです!

といった言い訳はよしましょう。

いや、本当に忙しいんですよ?


夜) おい、俺を殺すなよ

ティア)……激しく同意

ユミル)全くだね

作者)いや、展開的にだね……

ティア) …これからはやめてね?

作者) ど、努力します(皆!これ小説なんだよ!)




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