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32_トレジャーバトル4制作発表会②


その頃、伊織はサガの会社にいた。


「香坂君、ちょっと抜けるよ」


「はい」


伊織は会議室を抜け出し携帯電話を取り出す。操作して電話するが、なぜか体がフラフラしていた。



プルループルルー

ガチャッ


『もしもし…』


電話相手は息子の優斗だ。


「僕だよ」


『…父さん?』


優斗は驚いている。優斗はちょうどその頃、撮影の休憩中だった。


「優斗、ずっと連絡してなくてごめん」


『……』


「今日な、トレジャーバトル4の制作発表会に宮永紗希さんが来たよ」


『…宮永さんが?』


「あぁ、それで、お前のこと聞いたんだ。トラのマーチのことも。それで優斗が何か誤解して…」


『…いまさら電話なんて…どういうつもり…?』


「…優斗」


優斗は抑えきれないほど怒っている。


『僕が…今までどれだけ我慢してきたか分かってる?』


「…それは……」


『もう連絡しないで』


それだけ言うと一方的に電話が切られてしまった。


ツゥーツゥーツゥー


伊織は放心する。


(なにがどうなっているんだ…?)


わけのわからない状況に伊織は混乱していた。


「あっ、こんなところにいたんですね」


呆然と突っ立っている伊織を香坂が発見する。


「会議は終わってないんですよ?」


「…悪いけど、ちょっと抜けていいかな」


優斗のことが心配になり今日は家に帰ろうと思う伊織だ。


「なに言ってんですか。広瀬さんがいないと仕事になりません…」


香坂はまた強引に伊織を引っ張っていく。

伊織は優斗のことを思いながらも会議室に連れて行かれてしまった。




国際展示城のサガのブースでは、トレジャーバトルの個人選が行われようとしていた。


『大会に参加する方はこちらにお集まりくださ~い』


司会者の声に反応して紗希はピースする。


「それじゃあ、行ってきます~!」


「頑張ってね」


紗希は舞台へと上る。奈々と大輔と渉は応援席で見守ることにした。


舞台上には、10名が集まっている。

司会者は先ほどトレジャーバトル4の制作発表会を進行していた人と同じだった。紗希は退場と言われないかヒヤヒヤし、目立たないように身を小さくしていた。


『参加者は10名です。最後に残った方が昨年優勝者の岸君と勝負します』


岸が奥のテーブルに座ってニヤニヤしている。


「岸って奴、苦手なタイプだわー」


「オレも。笑い方が嫌」


奈々と大輔が岸のことで話していた。


「岸って人あんまり聞いたことないんですよね…」


「やっぱりオンラインID名のほうが認知度あるってことかしら?」


「そうですね。本名では分かりません」





『岸君と対戦するまではトーナメント方式で戦ってもらいます』


舞台上にいる10名がくじを引きながら指定された席に座る。


紗希は一番最後にくじを引き、番号がある席に座る。


「なんだよ、対戦相手はお前か」


紗希の対面に座っていたのは、先ほど岸と一緒にいたバンダナの男だった。

バンダナの巻き方がオタクっぽく見えてしまう。


「言っとくけど、俺は強いぜ…」


「はい…」


紗希はあまり興味がなく座る。だが、バンダナ男は何か紗希に話しかけていた。


『それではバトルをスタートさせてください』


司会者の合図と共に画面が起動する。


----------------------------------

『トレジャーバトル3』

○ 対戦バトル

ストーリーバトル

オンラインへ

----------------------------------


『キャラクターを選んでください』

シャイニー、決定


バンダナ男は、ダニエルを選んだようだ。


『BATTLE START!!』


フィールドは大都市だ。大きい建物やビルが立ち並ぶ。ダニエルは慎重に動いている。


シャイニーのほうはダニエルがいる場所へ最短距離で向かう。


(隠れてるつもりなのかな…?)


紗希はダニエルがビルの下に入るのを確認しながらそう思った。カメラの位置を変えながらダニエルの場所を正確に捉える。


シャイニーがダッシュして近づくとダニエルからバラの攻撃が飛んできた。だが、蛇行して走るシャイニーに当たることはなかった。


(そこだ…!!)


バンッ!

バタッ…


『 YOU WIN !! 』


「なにぃ~~」


バンダナ男の声が聞こえた。


ムービーが始まる。

シャイニーがハートに口づけすると大都市のエリアが消えて路地裏に移動した。


「私の敵じゃないわね!」(シャイニー)

「負けたよ、不協和音が聞こえるな」(ダニエル)



*************************************

YOU WIN !!

シャイニー VS ダニエル 

DATE 2008年11月8日

TIME 4:34

*************************************



(ふぅ~勝った!)


紗希は観客席にいる奈々たちに手を振る。観客席では見られるモニターが中央の1台で、5試合の中で盛り上がっているゲームのみを映している。


「紗希、勝ったみたいだな!」


「どうやら紗希さんが一番乗りみたいですね」


大輔も渉も嬉しそうに紗希に手を振る。


紗希は司会者の人に勝ったことを報告した。


「10番の宮永です…勝ちました…」


「はい、宮永さんね!うん?君はさっき制作発表のとき質問してた子?」


「あっ~?はい、そう……かな~?」


紗希はごまかそうとした。


(どうしよう、また退場とか言われたら…)


「君を退場させたことを広瀬さんに怒られたんだ」


「…えっ?」


「あの時は悪かったね。次もがんばって」


司会者にウインクされて紗希は少し気持ち悪いと思ったが、単純に司会者に目をつけられたわけではないことに安堵した。


「あっ…ありがとうございま~す」


そう言って紗希は舞台の横でバトルが終わるのを待っていた。


「君が一番乗りだと思わなかったよ」


「…どうも」


隅の方で待機していると岸に話しかけられた。


「しかも佐々木に勝つなんてな…」


「あの…優斗さんの秘密、教えてくれるんですよね…?」


「あぁ、君が俺に勝てるならな」


ギャハハーと笑う岸の顔を見るのが耐えられず、紗希はそれ以上話さないように岸とは距離を取った。



紗希は、また別の人と対戦する。

次の対戦相手は、フリオを選択した。


フィールドは『廃屋の校舎』。紗希は操作しながら、さっきの人より弱いな、と思う。


『 YOU WIN !! 』


*************************************

YOU WIN !!


シャイニー VS フリオ 

DATE 2008年11月8日

TIME 4:11

*************************************


また一番乗りで司会者に報告に行く紗希だ。


「この調子だと本当に優勝できちゃいそうね」


奈々が腕を組みながら笑う。


「当然ですよ、真一さんにも勝っちゃうんですからね」


渉が興奮している。


「渉って真一さんのことが異常に好きだよな」


「私も思ってた」


「僕、真一さんに憧れてるんです」


「本当にそれだけ~?」


奈々が渉のことをからかおうとする。


「本当ですよ、奈々さんっ!!」


渉が一生懸命になるので、奈々も大輔も驚いた。


「…そんなムキになることないだろう?」


「ご、ごめんねー渉君…ちょっと言い過ぎたわ…」


渉はなんだか恥ずかしくなって下を向いてしまった。




三人が楽しく観戦している間に決勝戦になった。

紗希の相手は、ケイトを選択した。


『BATTLE START!!』


モニターも紗希のプレー画面を映す。

フィールドはジャングルだ。ケイトもシャイニーも飛び出す。


すぐに銃撃戦になりケイトのナイフが飛んできたが、シャイニーは上手くかわした。


『 YOU WIN !!』


*************************************

YOU WIN !!


シャイニー VS ケイト 

DATE 2008年11月8日

TIME 7:07

*************************************



決勝戦なのだからと様子を見ていた紗希だが、相手は強くなかった。この大会は初心者向けの大会なのだな、と紗希は改めて思った。


「強いね、負けたよ」


「ありがとうございました」


紗希は対戦相手の男性に笑顔で挨拶した。


『さぁ、挑戦者が決定しました~~』


司会者が会場を盛り上げる。紗希は司会者に呼ばれた。


『挑戦者は宮永さんです。ここまで常に一番乗りで勝ってきました』


拍手が起こり、紗希は深々とお辞儀する。


『対するは、昨年優勝の岸君です~~!』


今度は岸の紹介が入り拍手が起こる。


「今年も優勝は俺ですよ」


岸は自信たっぷりに宣言をする。


『それでは席に着いてください』


司会者に言われてトレジャーバトルの席に着く。

キャラクター選択では、紗希はシャイニー、岸はカールを選択する。


『それでは『挑戦者』対『昨年の優勝者』の対決です!!』


バトルは始まった。


『BATTLE START!!』


フィールドは工場跡地だ。


得意なフィールドきたー、と紗希はテンションが上がり、序盤から積極的に仕掛ける。会場の液晶テレビは決勝戦の模様を映していた。


『シャイニーが早くも仕掛ける~』


司会者が実況を始めた。


『あっ~とシャイニーの素晴らしい攻撃が命中だ~!!』


『YOU WIN !!』


*************************************

YOU WIN !!


シャイニー VS カール 

DATE 2008年11月8日

TIME 3:43

*************************************


(やたぁぁ~勝ったぁぁ!!)


紗希は小さくガッツポーズした。


『なんと宮永さん、三分で昨年の優勝者に勝ってしまいました』


対戦を終えた紗希は司会者のところまで移動する。だが、岸は席から移動しない。


岸はキッと紗希をにらむ。


「なんだ…なんなんだよ、お前…。どこのチームに所属してるんだよ…!!」


紗希は怖くなって立ちすくむ。どうしたらいいのか、とキョロキョロすると司会者が間に入って助けてくれた。


「岸君、見苦しいですよ?負けは負けです。こちらにお越しください」


今まで聞いたことのないドス声だった。一番怖いのは司会者なんじゃ…?と紗希は思う。岸も素直に立ち上がって紗希の隣に並ぶ。


『えーそれでは、ただいまから表彰式に移りたいと思います』


客席から拍手が起こる。


紗希は記念のメダルと表彰状をもらった。岸はうなだれている。負けたことが信じられないようだった。




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