第五節 期限つきの平和④&身長比較図
今日は一週間の休日となる中間日。
公的な機関は基本お休みとなり、店舗はかき入れ時となるこの日は親衛騎士も最上階警護の二人以外は非番となる。
早朝の訓練と風呂と朝食を終えたリョウが、昨日までの事務仕事でだいぶ参っていたギルガメシュを散歩に誘おうと思ったら、出てきたガーネットがうちのご主人様は外出中ですと頭を下げた。
「あれ、買い物か何かかな」
「一時間ほどで戻るとの事でした」
また後で誘いにくる事にした彼が勉強の続きでもしているかと五号室を出ると。
誰かの声が聞こえたので右を向いてみたら、十字路のさらに先、桜花の部屋の前で二人の女性がなにやら話し込んでいる。
「葛葉様はルース様が夜番の交代に来なかったせいで、昨日一日働きどおしだったのです。先ほどやっとお休みになったところなので、司祭といえどお目通りはご遠慮ください」
「……それなら仕方ありませんね、分かりました」
一人は桜花おつきのメイドであるエクレット。
ずいぶん小さなもう一人はどこの子供かと思ったら、法衣を着たエンサイド司祭のようである。
「桜花によろしくお伝えください。……ひぁっ!?」
がっくりとうなだれた彼女は、申し訳ございませんと頭を下げるメイドと逆方向を振り返った。
そのまま立ち去ろうと思ったら、なぜか目の前に壁が立ちふさがっていたのでびっくりして尻餅をつ―――いてしまう前に、さっと伸ばされた大きな手に両肩を捕まれる。
「おっと。大丈夫ですか」
「あっ、ありがとうございます」
事なきを得たので見上げれば、そこにあったのは壁ではなく大柄な少年の胸板だ。
礼を言う司祭が体勢を整えたので、彼女とメイドとを見比べたリョウがどうしたのですかと事情を尋ねてみると、レオナは大したことではありませんと首を振った。
「朝からどうしたのですか? 桜花さんに何か用事でも?」
「いえ、大した事ではありません。ちょっと神殿に行くのに護衛を頼みたかっただけで」
「神殿に行くのに護衛?」
王城から彼女が兼務するアトゥム中央神殿までは大通りづたいで十五分も掛からずに到着できるはずだ。
ゆっくり歩いても二十分なのに護衛が必要とはただ事ではないと眉を動かすと、眼鏡ををくっと上げた桜花のメイドが頷いて言った。
「エンサイド司祭が町を歩くと冒険者の勧誘やら、貴族のお誘いやら大変なのだそうです。普段は葛葉様が護衛として送り迎えをすることが多いのですが、あいにく今日は都合が良くなくて」
「そうだ、フォートが交代に来なかったというのは?」
それも聞き捨てならないと確認すると、致し方有りませんとエクレットが事情を教えてくれる。
どうやら愛妻家のフォートにとっては一大事の事が起こっていたようだ。
「妊娠中である夫人の調子がよろしくなく、離れられなかったのだそうです。今朝方、ご本人がいらして葛葉様に謝罪しておられました」
「ああ、なるほど」
それならそれでアーレニウスやアントンの手が空いていたかも知れないし、見習いとは言え二人合わせれば多少は役に立てるであろう自分とギルガメシュに声をかけてくれれば良かったのに、と思うのだが。
事情が事情とはいえ無断で欠勤となると団長に怒られるだろうなと、少し彼が気の毒になったリョウであった。
「ではエンサイド司祭、俺が一緒に行くと言うのはどうでしょうか」
当然のように代理を申し出られてレオナは驚いたのだが、そこまでしてもらうわけにはとまた首を振る。
「個人的な事情です。幼なじみの桜花ならともかく、イグザート様のお手を煩わせるわけにはいきません」
「冒険者上がりの俺は来たばかりでまだこの町に疎いですし、散歩がてら神殿の場所も確認しておきたいなと」
あくまでついでなのでと言う姿勢の彼に、男性と一緒に歩くと騒がれるので、とやはり断ろうとしたレオナであったが。
いま噂の親衛騎士と一緒だったら、しつこい貴族や冒険者も諦めてくれるだろうか。
そううまく事が運ばなかったとしても、ぱたぱたと逃げるような小走りで神殿まで急ぐ必要はなくなるだろうと思われる。
冒険者上がりと言う彼に聞いてみたいこともあり、結局厚意に甘えることにした。
「……イグザート様のご厚意に感謝を。では、お願いできますか?」
「ええ、もちろんです」
頭を下げるエクレットに見送られ、階段を下り始めたその途中。
「そうそう。エンサイド司祭に様付けで呼ばれるのもむず痒いですし、よければリョウと呼んでください」
「分かりましたリョウさん。では、私のこともレオナと」
「ありがとうございます、レオナさん」
貴族の生まれではあるものの家を出て五年も経つし、神殿の癒し手として多くの平民と触れあっていると、どうしてもその辺の線引きは曖昧になってくる。
宮廷司祭と親衛騎士の立場にも大きな違いはないし、年もそう離れていないのでまったく違和感の無かったレオナは構いませんと頷いた。
ちなみに何年も前に同じ事を言ったアーレニウスがいまだにキンディ男爵と呼ばれているのは、彼の視線が胸に釘付けなのが気に入らないからだった。
◇ ◇ ◇
二人は門番に敬礼をされただけで、特に見咎められることもなく城門を通りすぎていた。
一般来訪者や通行証持ちの城内業務従事者でも、本来は入るにも出るにも厳しい確認があるのだが、親衛騎士とその同行者は手続き無しで出入りできる特例があるのである。
これは人数が少なく殆ど城から離れられない単身赴任の彼らに、家族や知り合いが会いに来やすいようにとの配慮であり、数年前からの臨時的なものだ。
もちろん帯同で入城させたところで、なにかしらの通行証を掲示していない者が一人でいたら即座に逮捕される為、防犯が緩いという訳でもない。
「ふふ、楽ちんです」
「そうか、司祭は確認があるんでしたっけ」
ついてきてもらって正解でした、とにこにこしているレオナは人間女性の二十歳にしてはとても小柄な百三十四センチ。
お役に立てたようで、と微笑んでいるリョウは平均より頭一つ高い百八十三センチ。
二人が並ぶとまるで大人と子供であり、レオナが真っ直ぐ見るとリョウの胸あたりが目に入る。
従って目を見て会話をするには、リョウが顎を引いて下を見る必要があったし、レオナはかなり上を見上げる形にならざるをえず、お互い首の負担が大きいため普通よりも一歩離れた距離になるのは致し方ないことだ。
「リョウさんは本当に背が高いですね。何か食べ物でも違うのでしょうか」
募集試験の時から聞いてみたかった彼女は背が低いことを気にしており、二十歳になった今でもまだ成長を諦めきれていなかったりする。
女性向けの本にあった背の伸びるかもしれない体操は毎晩やっているし、食べ物の好き嫌いだってないと言うのに、栄養は胸部に集まるばかりでいっこうに縦に伸びてくれないのが現実であるのだが。
「親父も大男の部類だったので、遺伝ですかね」
「でもうちは父も母も、こんなに小さくは無いのです……」
レオナは童顔でもあるせいか、そうやってしょんぼりされるとリョウもいたたまれない気持ちになってくる。
(自己変化の魔符なら一時的に変化できるとしても、それじゃ駄目だよなあ……)
誰でも―――というには語弊があり、魔術を制御する集中に慣れていないと上手く扱えないが―――理力魔法が使える、一回使い捨ての道具が頭を過ぎったが、虚しいだけと思われたので言ってみることはできなかった。
そんな二人が街路を曲がるなりのことである。
あちこちからの視線がレオナに集まった瞬間、隣の少年に気づいた者たちから戸惑いの声が漏れた。
「ぱたぱたさ……誰だあいつ!?」
「エンサイドしさ―――むっ!?」
「レオナさー……男連れだと!?」
今までに何度か見かけた事のある、神殿の神官戦士や聖騎士ではない。
しかも黒髪の少年は制式サーコートは着ていないものの、胸に一角獣の記章を付けている。
さらにはこれでもかと言うほど全身を魔法の武具で固めており、パーティ全員合わせてで一つ、二つは持っている中級から一流の冒険者達ですら近寄りがたいオーラを放っているのだ。
「は!? なんであいつ親衛騎士の記章つけてんだ!?」
「ああ、酒場で最近噂になってるじゃない。今年の騎士募集試験で抜擢された新人の片割れよ、きっと」
全身魔法の装備だらけだねぇ、と感嘆混じりに見物していた魔法使いが噂話を思い出すと、周辺の男達は音を立てそうなぐらいがっくりと肩を落としてしまったが。
その中で、意を決するように拳を握りしめた一人が二人の前に立ちはだかって言った。
「エンサイド司祭! 俺達、ちょっとはアトゥムで名の知れた冒険者なんです! 良かったら仲間になりませんか! ゆ、優遇しますよ!」
「何だ優遇って。大切にしますぐらい言えないのか」
なんだか納得できないリョウがついつい言ってしまったら、冒険者の顔色は真っ青に、レオナの顔色が真っ赤になった。
「ほ、ほら。冒険者も慈善事業じゃありませんし、報酬の分配とか能力、貢献度別に割り切る部分もあるのでは?」
「うーん」
なぜ宮廷司祭が元冒険者にそんなことを言わねばならないのかは分からないが、仕事と割り切る部分もあるのではとレオナが言うも、腕を組んだ彼は納得できないようである。
気がついたときには勧誘の男が煙のように消えていたので、顔を見合わせた二人が再び歩き出そうとしたら、また別の、今度は腕利きであることを感じさせる青年が現れた。
「エンサイドさん、エリネド=スクライヴァーです。当パーティへの参加の件、ご再考いただけませんでしょうか」
「またあなたですか。お断りしますと繰り返し申し上げているはずですが」
どうやらレオナはすでに断っているのだが、諦めきれずに勧誘を繰り返しているらしい。
「そこをなんと―――っ!?」
そこへ護衛らしく間に割り込んだリョウがじわり、と殺気を当てると、敏感に感じ取った相手は油断なく身構える。
「しつこいのは嫌われますよ」
「くっ」
「司祭職の冒険者を探しているなら酒場の掲示板に募集をだしたらどうですか。それともレオナさんじゃなきゃ駄目な理由でも? ならもっと他に言うことがあるのでは?」
技能を求めてのことなら、彼の言うようにしつこくする意味はないだろう。
高司祭や司教、聖騎士に巫女見習いといった第三位以上ならともかく、司祭や神官戦士といった第四位の冒険者ならば王都で募集すれば見つからないはずがないからだ。
レオナ本人や、エンサイド子爵家の継承権を求めてと言うのなら、なおさらよりよい条件など前回と異なる点を見せねば交渉の余地はないのである。
「それとも、他の冒険者たちを羨ましがらせたいだけかな」
どうやらこれが図星だったらしく、まさかそんな理由でと言いたげなレオナの視線に耐えられなくなった青年は、ぐむぅと唸るとすごすご去っていった。
「……行きますか」
「そうですね」
ここらでは名の知れたエリネドを、あっさり引き下がらせるような相手に絡みたくないと他の者が目を背けてしまったので、リョウ達がどちらともなく歩き始めると。
うつむき加減のレオナがぽつりと言った。
それは、冒険者に勧誘されるようになってからずっと抱えていた疑問でもあった。
「どうして……」
「ん?」
「どうして私なんかを仲間にしたいのでしょう。私は回復系が中心で、戦いを補助できるような奇跡は啓示されていないのに……」
司祭職の者が使えるようになる神聖魔法は、同じ神と契約した同じ職階でも啓示される種類や数に個人差が現れる。
その裏には契約した神と奇跡を司る神の相性や、本人の思想や信仰、生き方などが複雑に絡み合っており、覚えやすいもの、覚えにくいものの他に殆ど専用なものまであるそうだ。
たとえば治療の奇跡や精神力譲渡の奇跡など第五位と位置づけられる基本的な神聖魔法は、ほとんどの司祭に啓示されやすい。
また大地の女神と契約した信者が、大地の女神が司る奇跡を啓示されやすいと言うのは、その神の教義に従い、信仰しているのだから当然だ。
第四位以上になると神同士の関係が深い、教義に矛盾がない、あるいは似ているために啓示されやすい魔法や、契約に寄らず全体的に啓示されやすい奇跡が出始める。
前者は太陽と光の神、その妻の月と闇の女神や、二柱の間に生まれた火の神、風の神など。
反対の集団には海の神と大地の女神および、間に生まれた水の女神と土の女神がある。
便宜上太陽と光の神の一団を陽、海の神の一団を陰とすると、陽に区分される神々の教義には矛盾が生じにくく、陰の区分の教義を同時に満たすのは難しくなるのだ。
つまり、燃えさかる炎のような気迫と気合いと根性と大切にする火の神と契約した者には、穏やかな湖水のように冷静沈着な思慮深さを大切にする水の女神の奇跡は啓示されにくい。
後者の、契約に寄らず全体的に啓示されやすいというのは、命の女神や死の神のように生きていく上で必ず関わる神の奇跡になる。
例外的に戦の神は、司祭の性格や生き方によってかなり変わってくるそうだ。
町勤めの司祭にはほとんど啓示されずに、戦いに身をおく冒険者の司祭ほど啓示されやすいとか。
そのほか神殿の検査官になるには必須とされる嘘発見の奇跡のように、司る神との契約者以外が啓示されるにはとんでもない量の修行が必要になるものは専用魔法と位置づけられている。
このあたりは多神教であるがゆえのものだが、どれも実在する存在であり明確な奇跡を与えてくれるので、しもべ同士が尊重しあう関係となっていた。
レオナはアトゥム生まれの貴族であるが、町から出たことがないわけではない。
むしろギュメレリーの北のプテロニア王国、その北のタオ砂漠を越えて聖地を巡礼した経験もあり、途中、怪物や野盗との遭遇戦になったこともある。
時には雇った冒険者が、時には同行していた商隊の護衛が撃退したのだが、そのとき大した補助もできなかった苦い記憶がレオナの中でわだかまりとなっていたのだ。
だから経験者に―――できれば腕の立つ経験者に、冒険者としての意見が聞いてみたかった。
回復魔法しか使えず、加護の奇跡や神聖力付加の奇跡も使えない司祭を、仲間にする意味などあるのかどうか。
「冒険者になりたいんですか?」
「いえ、そう言う訳ではありません。単なる興味です」
ふむ、と首を傾げたリョウは好奇や興味、嫉妬などを含む周囲からの視線を平然と受け流しながら頭の裏で腕を組む。
「俺は仲間を作らず、一人だったので参考にならないと思いますよ」
「どうして作らなかったのですか?」
「仲間の命に責任を取れるほど強くないからです」
彼が親衛騎士達との試合で全勝するほど腕が立つと、桜花から聞いていたレオナはえっと驚いたのだが、すぐに剣の腕だけを言っているのではないと分かった。
「活動方針とか目的とか、職とか職階とか、使える魔法とか、使える戦技とか。そう言う条件や考えではないのですか」
「その辺は考えたことがないですね。もともと冒険者としての目標もなかったせいかも知れませんが、一緒に居たいと思えるかどうかだと思っていました。そう思えるのなら戦えようが戦えまいが、どんな職だろうが気にしなかったと思いますよ」
「一緒に居たいと思えるか?」
「危険や死と隣り合わせの生き方で、背中を預けられる人ですからね」
まるで恋人や親友探しだと思ったが、少なくとも貴族の一人娘とか宮廷司祭と言う地位とか、司祭という契約職を優先しての勧誘よりも、レオナの気持ち的に納得がいく言葉だった。
そういう考え方が許されるのは途轍もない強者のみであり、初心者や中級が好みで仲間を集めたら、即全滅か未帰還名簿の仲間入りが待っているのだとしても。
「それにいくら司祭とはいえ、町勤めで冒険者としての経験がないのですから戦闘補助系が使えないのは当たり前ですよ。冒険者だって新人の神官は似たようなものです。初心者向けの依頼から経験を積んでいけば自然と覚えますって」
「そうですね。もし冒険者になったら町の近くでスライムを相手にするか、簡単な素材集めから始めます。ふふふっ」
町中での生き方ならばすでに初心者の域を抜けているし、中級や一流の冒険者達から勧誘されるから勘違いしていたが、その経験が町の外で通用するとは限らない。
むしろ一からやり直しですよと、今度は冒険者の経験を生かしての言葉がすとんと腑に落ちたので、レオナは杖を片手におっかなびっくりスライムと対峙する自分を想像してころころと笑ってしまった。
◇ ◇ ◇
それから二人は城でのうわさ話やお勧めの三神菓子など、他愛もない雑談を繰り返しているうちに神殿へ到着していた。
「ここまでで大丈夫です、ありがとうございました」
「いえいえ、このくらいおやすいご用です」
数歩放れたレオナが頭を下げるとぷるんと揺れる。
だが微笑んだ少年は、これまで一度も胸に不自然な視線を向けていないことを彼女は知っていた。
「戻りは大丈夫なのですか?」
「ほかの宮廷司祭と一緒なので大丈夫です、お気遣いありがとうございます」
「わかりました。じゃあ俺はこのままアトゥム見物に向かいます、また城で」
だからだろうか。
まるで出来た紳士さながらに立ち去ってしまった彼に、逆にレオナの方が拍子抜けしてしまうのは。
「一緒にいて肩が凝らないのは良いですね」
物理的にも精神的にもいろいろ抱えている彼女は慢性重度の肩こり持ちであり、ときどき神聖魔法で回復してるほか、薬草師の作る湿布が手放せない。
だから身構えなくて済む同世代の男性と言うのは貴重であり、肩肘を張らなくて良いように護ってくれたのは有り難いことだった。
また、冒険者になっても初心者から始まるのだという言葉がとても気持ちを軽くしてくれた。
さあお仕事頑張らなくっちゃと気合いを入れて神殿に入るなり、一部始終を見ていた受付の女の子達から質問責めにされてしまう。
「エンサイド司祭! あの人彼氏ですか!?」
「とうとう冒険者へ転職ですかー?」
「違います、お城の同僚です」
「えーっ、えーっ! だって今、すっごいにこにこぽやぽやしながら見送ってたじゃないですかー」
「背の高い人だったしー、結婚するならそう言う人がいいのかなってー」
「リョウさんとはなんでもありません!」
「亮さん? それとも良さんかな? ミツカミっぽい名ですね」
「司祭、赤くなってるー。あーやーしーいー」
「これはあなた達が興奮させるような事をいうから……!」
「何で興奮するんですかー? いつもはしれーっと『違います』ってピシャリじゃないですかー」
「ああいう人が好みなんですか?」
「そんなことはありません! もうっ、いい加減にしなさいっ!」
しょせん女の子同士のおふざけである。
エンサイド司祭がむきになるなんて珍しいので、受付の女の子達も真偽が知りたいというより反応を楽しんでいるだけだ。
そんな他愛もない日常がもうまもなく終わるとは。
ほんの少しだけ、冒険者もありなのかも知れないと思い始めていたレオナは、己の生き方を強く決意させられる日がすぐそこに迫っているとは夢にも思っていなかった。




