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母親失格
「なあ、お前の母ちゃんいいからだしてるな……」突然彼はそういった。意味のよくわからなかった僕は適当に相づちを打った。それが、なにを意味して、どう繋がって行くのかを僕は感づけない。
翌日、学校から帰り玄関扉を開けると、ぐちゃぐちゃと言う気味の悪い音と『妙な母親の声』が聞こえた。「ただいま……」自分のうちであるのに遠慮してしまう。三和土から上がり。リビングを覗いた時に、先日の彼のつぶやきと繋がる。
犬のみたい。見てはいけないものを見てしまった。彼は目が合うと口角を歪めた。僕はさっと身を隠す自分の家なのに……。這いずり2階の自分の部屋に、疎外的な感情にその場で膝を抱え丸くなり泣いた。
その日の夕飯も、翌日の朝食もなにも変わらない。帰宅してからのそのひととき以外、僕の生活は変わらない。夢でも見ている、と思ってしまえばいい。そうやってうまい具合にごまかせれば、いやごまかそう。
「息子を好きに虐めていいから、早く!」階下から聞こえるその声は痛い。なんだか僕がいらない子供だと言わんばかりだ【終わり】




