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天才は劣等感のある年上魔法騎士を逃さない  作者: 青門 利空


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番外編7-三人寄れば文殊の知恵


〈エリアス視点〉

 

ロズから1週間のエッチ禁止のペナルティをくらった。


原因は、ダニーが書いた彼女宛ての別れの手紙を、ロズから

俺宛だと勘違いし、あせって別荘にロズを監禁しようとしたせいだ。

 



正直やってしまった感が半端ない。


俺としたことが……。


正直周囲から、完璧と評されてきたのにロズのことだけは、

うまくいかない。


やはり、恋は盲目というが、ロズに狂い盲目になってしまうから、失敗してしまうんだろう。


それだけ、ロズの魅力が深いということなんだろうが……。

 


とりあえず、1週間は長い。


なんとか、ロズの機嫌をとって、短縮してもらうようにしなければ、

気持ちも体も持たない。


俺は策を練った。

 


まずは、プレゼント作戦だ。

過去、つきあってきた女達はプレゼントを贈ると必ず機嫌がよくなった。

家御用達の宝石商を呼びつけ、人気の品を数点購入した。

 


その夜。俺はロズの部屋のドアをノックした。

「なんだ?」

 

眠そうな目をこすりながら、ロズがドアを開けた。

まだ、9時なのに……、ロズはお子ちゃまだから、

寝るのが早いんだよな、かわいい。



「ロズ、ちょっといいですか?」


「うん、いいけど……」


ロズはあくびをしながら、ベッドに腰かける。


俺は、はやるこころを抑えながらロズに綺麗にラッピングされたプレゼントの箱を差し出した。


「これ、つまらないものですが、ロズにプレゼントです!」


「え……」


「開けてみてください」


ロズは、


「ありがとう……。でも、なんで急に?なんかの記念日だった?」


と言いながら包みを開けた。


中からは、サファイヤのピアスが出てくる。最高級品だ。


「これ……」


「ロズに似合うと思って選びました。ぜひ普段から身に着けてください」


俺の言葉に、ロズは少しとまどったような顔になる。


「う、うん……。でも、俺、ピアスの穴あけてないんだけど」


「俺、開けますよ。痛くないようにしますし」


「……なんか、高そうだし」


「気にしないでください。色も俺の瞳の色と同じなので、俺だとおもって身に着けてもらえるとうれしいです」


ロズは、気まずそうな顔をしながら言った。


「ありがとう……。とりあえず、もらっておくけど、普段使いはしないかも。訓練中につけていると落とすかもしれないし。あと、あんまり、チャラチャラした格好って得意じゃないから、大事にしまっておくな」


俺は、ロズの反応からあまり喜んでもらえていないことを察した。


「あまり、お気に召さなかったですか?ピアスが嫌なら、同じラインの指輪やネックレスもありますが」


と万が一を考えて購入しておいたものを取り出すと、ロズは明らかにげんなりした顔になった。


「いや……、だから俺アクセサリー類は苦手で。目立ちたくないし。しかも、こんな散財して、無駄遣いはよくないよ。いくら、お前が金持ちだからってさ。もう、今後はこんな高い贈り物はいいから」


ショックを受けた俺にロズは重ねていった。


「じゃ、悪いけど、俺、寝るから。出てって」


「……一緒にねません?」


「一週間はしないっていったろ?おやすみ」


ロズは冷たく俺を部屋から追い出した。

俺は作戦が失敗したのを悟った。



◇◇◇




<ピーちゃん視点>

 


エリアス様が、また、やらかしたらしい。


まったく、エリアスさまは、女ごころ(ロズは男の子ですけど)がわかっていないんだから。

 


私はやれやれと首をふりながら、その様子をいつものように見守り時が過ぎるのを待っていた。

 

しかし、かかわらないでおこうと思ったのに、エリアス様が、「話がある」とロズがいないときに、真剣な顔でやってきて、エリアス様の部屋につれていかれた。

 

な~んか、いやな予感。


逃げたいのに、まぁ、そんなことができるはずもなく。私は話をきくことにした。


「わかってると思うが、ロズと喧嘩した。至急、機嫌をとる必要がある」


「そうですか……」


「それでお前にききたいのだが、普段、ロズをみていて、何かないか?ロズを機嫌よくするものは」


「え~、急に言われましても……」


といいつつ、エリアス様の圧が恐いので、私は、頭をめぐらせた。


「……そういえば」


「なんだ?」


「ロズは、私が、求愛の時期に、メスにきかせる囀りを練習していましたら、ピーちゃんの声はきれいだねとうっとりしていました。エリアス様もロズに恋の歌を歌ってみては?」


「歌か……」


エリアス様が考えるような顔になった。


「歌は……、あまり得意ではない。しかし詩ならいいかもしれん」


その後、エリアス様は巷で人気の吟遊詩人とやらを呼び出し、その助言を受けつつ、何か紙に書きつけていた。私は文字は読めないので何を書いているのかはわからなかったが……。


「よし、できた!これできっとロズの気持ちがほどけるはず……」


エリアス様が顔を輝かせる。ふ~、やれやれ、ようやくこれで二人は仲直りかぁと私は胸をなでおろした。



その日の夜、私が、ロズの部屋で、羽繕いをしていると、部屋をノックする音がきこえた。ロズがドアをあけると、エリアス様が緊張した面持ちで立っていた。


「どうした?」


ロズが尋ねると、エリアス様はちょっと中でいいですか?と入ってきた。


そして、おもむろにもっていた紙をひろげると詩の朗読を始めた。


「君の瞳は輝くアメジスト。夜空にまたたく星。

 

 漆黒の髪は黒檀のようにきらめき、その滑らかさはまるでシルクのよう。

 

 あぁ、しかし、その外側の美しさよりも、その内側に秘めたる美しい魂こそ私を魅了する。

 

 君は羽根をどこかに置き忘れてきた天使だ。

 

 その神聖さの前では、私は一匹の哀れな子羊にすぎない。

  

 いや、君はもう、天使ではなくもはや女神だ。

 

 その神々しさに私はひれ伏すのみ。

 

 あぁ、どうか私に慈悲を。

 

 そして、哀れな私を寝台の上で慰めてほしい。

 

 この子羊を哀れと思召すならば……どうですか?

 

 私のロズへの想いを詩に書きあらわしてみましたが……」


「……」


ロズをみると、ぽかーんとした顔をしている。


挿絵(By みてみん)


あぁ、この反応は、もしかして……。


「あっ、あぁ……。なんかすごいな。じゃあ、これで……」


ロズはエリアス様をドアの外に押し出すと、ドアを閉める。

 

「……ロズッ!?」


エリアス様は何か言いかけていたが、ドアは無情にも閉じられた。


その後、ベッドの上に座ったロズは独り言をいいだした。


「なんだったんだ、今のは。なんか。エリアスには悪いけど、あーゆーの苦手っというか鳥肌が……。うん、悪いけど、体調が悪くなった気がするから、もう寝よう」


そうして、ロズは布団にもぐりこみ、しばらくすると寝息がきこえてきた。

エリアス様……、ご愁傷様です。

私は、エリアス様を気の毒に思いながらも、音がついていなかったのがダメなんじゃないかなぁ~と思いながら、床についたのだった。



◇◇◇




<ダニー視点>


エリアスの機嫌が悪い。


ロズにきいたら、俺が元カノに宛てた手紙を自分宛だと勘違いして暴走した結果、1週間のエッチ禁止という罰を受けたかららしい……。


正直、俺は悪くないはずだが、大体、勝手に手紙みたのエリアスだし……、でも、ちょっと責任を感じる……。

 

訓練時のエリアスの対戦相手は涙目になりながら相手していた。

……ご愁傷様です。

ピリピリしているエリアスに誰も近づかない。

ロズとアルバート以外は。アルバートは、「なんだお前、イライラして。またロズから罰くらったんだろ、ぷっ、面白っ」とエリアスの背中をたたきながらからかい、エリアスから氷点下の眼差しを向けられていたが、まったく気にしてなかった。メンタルつよ……。

 

ま、それは置いといて、俺は、訓練が終わった後、部屋に戻ろうとしていたら、エリアスから「話があります」と呼び止められた。

 

嫌な予感。


演習場の隅で、俺は、先輩から絞められる後輩のように(本当は俺が先輩なのに)

向かい合わせで立っていた。

 

「で……、なんでしょうか?」


思わず敬語でエリアスに問う。エリアスはフーッとため息をついた。


「単刀直入にいうと、ロズの機嫌をとりたいのです。なにかいい方法はありませんか?」


エリアスが悩んでいる。

うーん、ちょっとは俺にも責任がある気がするし、これはなにか役に立つことを言わねば……と頭を巡らせる。


「そうだな……。まず、誠心誠意もう一度謝ってみるとか」


「そうですね……」

 

エリアスが俺のいうことに素直にうなずいている。

なんか新鮮だな~と思っているとじろりと見られた。


「で、他にはありませんか?」


「他……、なにかプレゼントするとか」


「それはもうやりました」


「え、そうなの?ちなみに何をプレゼントしたの?」


エリアスの答えをきいてびっくりした。あの、高級宝石店のアクセサリーかよ!


「でも、喜ばれませんでした」


「あー、そうだな。ロズはそれよりも、お茶とかふかふかの寝具とかの方が喜ぶじゃないか?」


「!!」


エリアスの眼が見開かれる。


確かにそうかも、とその目は物語っていた。


「あと、手紙をかくとか……」


「手紙ですか?詩を贈りましたが……」


「え、詩?エリアスがかいたの?」


「えぇ。不評でしたが」


俺は、内容を聞こうとするもエリアスは答えずじろっと俺をにらみつけただけだった。

ちょっと知りたい……、後でロズにきこう。


「じゃあ、マッサージとか」


「マッサージですか」


「あぁ、ロズ肩こったーとかよく言ってるし」


「なるほど……」


「とにかく、癒し空間を作るんだよ。安心して眠くなるような」


「なるほど、やってみます。ダニー、今回の件、あなたにも責任の一端がありましが、これでチャラにしますね。どうも」


エリアスはそういって去って行った。


えー、相変わらず高飛車だなーと思わなくもなかったが、まぁ、親友のロズの幸せが俺の幸せでもあるし。

ま、いっか。

俺は、その場を立ち去った。


後日、ロズに仲直りしたのかきくと、


「あー、うん。エリアス、なんかすっごく癒してくれて。

 ふかふかの布団に、おいしいハーブティ、そしてアロママッサージまで

してくれたんだ。すごく、疲れがとれたし。なんか、もういいか……って思っちゃって」

とほわほわして話してくれた。


挿絵(By みてみん)


そうか、よかったなと言いつつ、俺は、エリアスから聞いた、エリアス自作の詩の内容をロズにきき、ロズは内緒だよと言って教えてくれた。

俺がその後大爆笑したのは言うまでもない。

そしてその後、俺は1週間は、思い出し笑いに苦しめられたのだった。



 


これでひとまず完結です。ここまでお読みいただきありがとうございました!

きっと、今後もエリアスはロズの尻にしかれて仲良くやっていくことでしょう。ではでは。

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