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65話 地下直通


「思いのほか暗くありませんね」


「ヒートが発光してるからじゃないかな」


 遺跡に入り、薄暗い道をひたすらに進む。遺跡内には明かりと呼べるようなものはほとんどなく、ヒートが全身から放つ光を光源としていた。

 明かりをして使える魔道具も持ってきていたのだが、正直ヒートの方が明るい上に、彼女が言うには光ること自体には大して体力や魔力を使わないらしいので、節約のために魔道具は使わないようにしているのだった。


「あ、そこ、なんか罠みたいのがあるよ」


 先頭を歩いていたルゥフが壁を指さして注意を促す。薄暗い中でも音や匂いで周囲の大まかな形状を把握できるルゥフは、率先して罠や魔物を発見してくれていた。


「しっかし…さっきから同じような景色だけど…・ほんとに進んでんのか? これ」


 古代の遺跡だというのに、見所が特にあるわけではなく、何もない石の廊下が長ったらしく続いているだけ。廊下もやたらと入り組んでいて、まるで迷路のようだ。何らかの目的のために、侵入者を防ぐための仕掛けと言えばそうかもしれないが。


「でもそろそろ…あ、ほら、階段だよ」


 ルゥフが指示したところを見ると、廊下の突き当りに、下の階に行くための階段のようなものがあった。ようやく地下2階にいけるようだ。


「目指すは6階だっけ? 時間かかりそうね」


 最後尾を歩くジェシカがため息混じりに呟く。


「あまり遅くなるようなら一回戻ることも考えておいた方がいいなぁ…。それと、休める場所の確保と…。そういえば、他のパーティーはどうしてるんだろうな」


 一緒に遺跡に入ったはずの他のパーティーとは、別の道に分かれたきり、一度も合流していない。歩いていれば一度くらいは合うかと思ったのだが、思いのほか遺跡の中は広いようだ。


「何人かはもう地下にいったみたいだよ。階段から匂いがするし」


「そうか。じゃあ俺たちも、とりあえず降りてみるか」


 階段の前に、俺たちが下に行ったことを書いたメモを置き、せまい階段をゆっくりと下る。


 そして、地下2階。この遺跡はどういう仕掛けか、道が変わってしまうため地図などは用意されていないのだが、地下2階だけは植物の根が仕掛けを壊しているとかで道が変わらないらしく、正しい道順の地図が書かれている。

 俺が遺跡に入る前に渡された地図を開いて確認していると、何かに気づいたのか、ルゥフが近くの壁をペタペタと触り始める。


「どうした? なにか──」


「うわぁっ!!?」


「──ルゥフ!?」


 グルン、と壁が回転し、ルゥフが隣の部屋へと吸い込まれる。

 急いで駆け寄るが、そこには何の変哲もない壁がただそびえているだけだ。


「なんだ…!? 罠か!? たしかこの辺りを──」


 壁の出っ張りに手を触れた瞬間、


「──うおっ」


 さっきと同じように壁が回り、暗い空間に放り出された。


「サイ!? 大丈夫?」


 暗くてよく見えないが、ルゥフの声が聞こえてくる。どうやら無事なようだ。

 少し落ち着いて魔道具の明かりをつけ、周囲を見回してみる。明かりが反対側の壁まで届かない。思いのほか広い部屋のようだ。

 明かりに照らされてルゥフの姿も見えた。怪我はないみたいだな。


「とりあえず安心──いっでぇ!?」


「あ、すみません。結構近くにいたんですね」


 状況を確認していると、俺たちと同じく回転壁を通って部屋に入ってきたヒートに突き飛ばされる。


「よっと…。あれ、思ってたより広いじゃん」


 続いてジェシカも部屋の中に入ってきた。結局皆入ってきちまったのか。仕方ない、部屋の中から出口を探すしかないな。

 入口になっていた壁を押してみるが、びくともしない。向こう側からじゃないと開けられないようになっているようだ。


「参ったな…どこかに出口は…」


「ねえ、これ…‥皆、これちょっと見てよ」


 と、ジェシカが部屋の奥を指して言う。見てみると、今までは暗くて全く見えなかったが、床に大きな何かがあるようだ。というか、何かあるというより、これは…


「床が…‥ない? これ、穴か?」


 よく見ると、床には大きな丸い穴が開いているようだった。一体誰が開けたのか、綺麗な円形をしている。


「なるほどね。地下に行きたいならこうするのが一番手っ取り早いってわけね」


「見て下さい。これ、まだ新しいロープですよ」


 ヒートが床に突き刺さっている杭から伸びるロープを掴む。見るとまだ新しい、おそらく先に来たという冒険者パーティーのものだろう。ロープは穴を通って下の階まで伸びているようだ。


「おいおい…まさか先に行った奴らが開けたんじゃないだろうな」


「流石にこんなことすれば上の階にいても音が聞こえてきそうだけど…。…それで、どうするの?」


「まあ近道できるならそれに越したことはないだろ。降りてみよう。罠かもしれないから気を付けてな」


 そう言いながらロープを掴み、思いきり引っ張ってみるが、ちぎれそうな様子はない。強度は十分だ。


「よし…いけそうだな」


 そうして俺たちは、ゆっくりと下の階に降りていった。


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