クライスendA 知と愛
私はクライスからナイフを受けとり、そして。
――――――窓に放り捨てる。
「な……!?」
クライスは呆気にとられた顔をした。
「殺せないよ……私はクライス、たぶん貴方が好きだから」
その瞬間、城が崩れていく。
「形子!」
クライスの手を取り、暗闇へ飲まれ、落ちていく。
____
“買い物にいってくるから”
『母さん』
“いいこで待っていてね”
『嘘つき……』
私はクライスの過去とおもわしき断片を見た。
《緑の王、そして異端者よ》
――――誰だろう。
《我はカタチナキガミ―――》
―――神様?
《真を持った意思を我は待っていた――汝らを解放しよう》
「――――嫌だ!」
「だめだよ!」
クライスは床に落ちていたナイフを取ろうとする。私はそれを止めた。
「それにあの世界に戻っても、形子が近くにいる保証もない。君がここからいなくなったらオレには誰もいないんだ……」
「そんなことないよ、クライスがどこにいても私はみつけるよ」
「――虚<うそ>だ…信じられない」
「私、元の世界に帰ったら彫像コンクールにここで一番印象に残ったものを作品にして出すんだ」
「……」
「だから、クライスに観にきてほしいな」
「……元の世界で君の居場所を知ったら、毎日会いに行くかもしれないのに?」
「毎日でもいいよ、私は嘘なんてつかない。なんて言ったら本当に嘘つきになるけど……信じてよ」
「……ああ。他の誰も信じられないが、君だけは信じられる気がする」
――――――
(―――展覧会か。本当にいるのか……?いや確かめるまでは信用するなオレ……裏切られたときに絶望しなくてすむように軽い気でいくんだ)
金賞の作品は丸ごとチキンの形をした木彫りだ。
(あれが金賞―――?)
「金賞は【chickenTHEトラジェディー】を作った色無形子<しきむけいこ>さんです」
「こんな斬新なアートははじめてだ。いったいどんなことを考えて作られたんですか?」
「この作品は――――」
―――――
「待って!」
黒髪の青年を呼び止める。
「……形子」
「来てくれてよかった」
『想っている人が、私にパーティーを開いてくれたんです。そのときのチキンが怖くて……でも最近は一番印象に残っていました』
「もっとロマンス溢れる思い出を語るのかと思っていたらチキンって……」
「あはは…ごめん。ちゃんとした思い出はこれから作ればいいと思って」
「――――!」
【クライスベストend...非も時経てば是】




