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アルハードBAD① 受け入れる
そのまま抱き締められてしまった。
百合の花のようなものが鼻腔をついた。
―――なんか、悪くないかも。あれ、なんだかあたかい。
アルハードは冷たいはずなのに。
気がついたときにはもう遅かった。
「……ツカマエタ」
アルハードだと思っていたら、イロヅキだったのだ。
ヤバイ。至近距離でこいつがいる。
―――逃げないと、カマでバッサリやられる。
「ね、あっちを見てごらん」
イロヅキに言われるままに、指の方向を見る。
アルハードが、蔑んだ目でこちらを見ている。
彼はこちらに、歩いて、私の頬に降れる。
ただにこりと、微笑むと斧を取り出した。
「さよなら」
頬に触れたアルハードの手は、暖かかった。
本当の貴方は、どこにいたの――――――
【BAD1..honey=trap】




