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教会の街ルーンバージ 2

相克の教会編第十六話目となります。

今回は遂に街についた一行が異変に早速巻き込まれます。

では本編へGO!

 中央大陸で最も教会の権威が強い街ルーンバージは大陸側は大きく楕円状の形状の街であり、その丁度真ん中ぐらいから大きく一本の橋が伸びており、浅瀬の向こう側に小さめの小島が浮かんでいる。

 その小島こそが教会本部であり、教会本部はほぼ唯一の出入り口である正門から巻貝の様に中心に向かってクルクルと回って移動する造りとなっていた。

 ジャック達がこの教会に侵入するためにはルーンバージに入り込む必要があるわけだが、まずはアンヌとネリビットとメイビットの三人でディフェンダーの支部へと向かう事になった。

 街の中に入ったアンヌは驚きと共に引き返すことを決め、後ろを付いてきていたネリビットとメイビットの二人はどうしてか聞くとアンヌは「見れば分かるわ」と言い放って戻って行く。

 ネリビットとメイビットの二人は「一斉の」の声でルーンバージの街を見てみると、驚きで声が出ないまま立ち尽くしていた。

 ジャック達は出入り口から少し離れた木陰で休んでいると、アンヌが大きな声で「こっちに来て!」と叫ぶ声が聞こえてきた。


「何なんだ? お前はさっき向かったばかりだぞ。それとも何処にあるのかもう忘れたのか?」

「馬鹿にしないで! それより異常事態が起きているの! 人っ気が無いのよ!」


 ジャック達は驚きと共にアンヌと共に街の出入り口へと入って行く、出入り口付近で立ち尽くしているネリビットとメイビットの二人を押しのけながら前に出ていくジャック。

 ジャックに続くようにリアンが、ディラブとファリーダが覗き込むとそこには人のいない大きな通りが見えた。

 ゆっくりとした足取りでジャックが前へと足を踏み出していき、町そのものの空気がまるで変化していないことを確かめるが、同時にジャックは何か違和感を街そのものに感じた。

 すると、ジャックに続いて街に入ってきたディラブが何か気が付いたのか地面や空を眺め始め、リアンが「変じゃのう」と呟く。


「事前に聞いた話では教会本部のあるこのルーンバージは数日前までは異変は起きていないという事じゃったが?」

「ええ。そういう話をディフェンダーの支部で聞きました。という事はここ数日で異変が起きていたという事ですけど。私達があの集落を訪れている間に時間が経過し過ぎたのか? 異界関係だと絶対にありえないとは言えませんし」

「いや…それは無いよ! ファリーダ姉ちゃんには悪いけどそれは無い! 端末で連絡を取る限りだとあの集落での異変による時間経過は通常通り!」

「だとしたらここ数日で状況が変わったわけか。で? ディラブは何に気が付いた?」

「この街全域で呪術が発動しているな。だが…おかしな呪術の使い方をしている。この街全域なのに、この街じゃないみたいな使い方だ」

「どういう意味?」


 アンヌの質問に首を傾げながら建物に触れてみたり、地面に靴の底をこすりつけるようなそぶりを見せてみたりと様々。


「空間をズラした?」

「可能性が高いな。だが、それだと呪術を使っている理由が…」

「そうじゃな。空間をズラすというのも呪術の範疇ではないぞ」

「魔術の使い方だな。別に似た空間を用意しその場を呪術で模倣と全員を転移させた。恐らくだが、転移させた人間を楔代わりに利用しているんだろう」

「関係の無い一般人を敢えて巻き込んでいるんだろうな。だとしたら下手に一般人を殺したりはしないだろう。目的は別!」

「どうやって入る? 呪術で強化もしているのなら恐らく出入りも難しくしているのではないか?」

「何処かに呪術と魔術の中心があるはずよ。出ないと術式としての形が成立しないもん」

「アンヌお姉ちゃん。それって街の中心?」

「メイビット。街の中心だと断言しない方が良い。こういう術式はどちらかと言えば街の中心よりは象徴や目立つ建物なのが対象になる」

「となると、教会本部?」

「どうだろうな。街のこの場合結界と呼ぶが、それ以外にも教会本部には別の結界が張られている。こっちはより強力だな。立ち入りすら禁止している感じがするな」


 ジャックは腕を組んで考えていた。

 そもそもこのルーンバージは教会本部以外に目立つような建築物は無かったと記憶しており、正直術式の対象になりそうな物が思いつかなかった。

 街の大通りには必ずある噴水公園、それを利用するような網目状に張り巡らされた地下水道などの地下インフラ設備、古くから外敵を守るためにと作られた外壁などは有るが、イマイチピンとくることは無かった。

 他の大きな都市にあるような大聖堂なども存在しない。

 離れ小島にある教会本部こそが大聖堂でもあるので作る必要性が無いのだ。


「そういえば私聞いたことがある。この町には巨大なダンジョンがあるって」

「何? そんな上に暮らしているのか? 羨ましいじゃないか!?」

「ディラブの兄ちゃんは黙っていて!」

「もしかして…」

「うん。可能性はあるはずだよね。まあ、何処に出入口があるのか分からないけどさ。教会本部からは繋がっていないって聞いたことがあるんだよね。直接って話だけど」

「じゃあ。ジャックが言っていた教会への通路以外にあるという事になる」

「街の中心近くに市庁舎があるはずだ。そこに行ってみよう。そこまで行って最上階から見てみるか」


 ジャックは市庁舎のある街の中心前歩き出す。

 なるべく速足で市庁舎まで移動し、十階建ての洋風建築の建物前まで辿り着いた。

 急いで木製の両開きのドアを開けて中へと入って行く。


「アンヌ。此処に来るのは初めてか? 俺は初めてだ」

「いいえ。屋上に行くなら階段しか無いわ。この建物は築三百年でまだ内装のリフォームは始まっていないわ。階段は入って左右に見えるはずよ。あれで最上階まで行ける」


 ジャック達は最上階までダッシュで移動して屋上へと辿り着いた。

 屋上へのドアだけは鍵が掛かっていたが、ジャックはそれを魔術で強引に解除した。


「後で謝ろう。それより、ディラブは此処から呪術の強い場所を探してみてくれ」

「……強いて言うならこの建物か? だが…下には何も…? 上?」


 ディラブがそう言うと全員が真上を見るが、そこには真っ青な蒼天が見えるだけでなにも変化が無い。

 アンヌが不貞腐れた顔をしながら「真面目にしてよ!」と叫ぶ。

 ディラブも決してふざけているわけじゃ無く慌てるように手を振って弁明している。


「真面目に言っているなら何か仕組みがあるという事だが…地下じゃ無いのか?」

「そう言われているだけよ。この町の何処かにダンジョンが在るのは間違いないらしいわよ。何処かにはある!」

「この市庁舎の真上にあるのなら市庁舎の屋上に何かあるはずじゃよ」

「ならあれしかないかと」


 ファリーダが指さすのは屋上の丁度真ん中に鎮座している石造りのモニュメント、何かが描かれており宝石のようなものが付けられている。

 ジャックは「とりあえず」と言いながら歩き出していくのだった。

どうでしたか?

次回は異変の原因を知ることになります。

では次は第四章相克の教会第十七話目でお会いしましょう!

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