85話 作戦会議
毎度遅くて申し訳ありません。
「魔物の大群」が迫るなかでわちゃわちゃしてしまったので、場を移動しようとなった。
「すぐそこにテントがあるからそこで今後の作戦会議をしよう。」
ロディオータはそう言って騎士の1人にギルマスをテントに案内するように言うと馬に乗った面々とどっかに行ってしまった。
多分馬をどっかにまとめて繋ぐところに行ったみたいだ。
「俺は会議に行ってくるからお前たちはここら辺りで適当に休憩しててくれ。あ、イオリは俺と来い。」
「うえっ!?もしかして俺、その会議に参加すんの!?」
「当たり前だろう?お前はマンティコアを倒すくらいの戦力なんだからな。」
えええー、俺なんかが会議に参加しても役に立たないと思うんだよなあ。
面倒臭いから皆と休憩してたいのに・・・。
「面倒臭いって顔すんな。なんならグランも来るか?」
グランはげっという顔をしていた。
さっきブチギレたし、もう関わりたくないと顔に書いてあった。
「お前ら顔に出すぎだぞ?まあ、グランは冗談だがイオリは来いよ。」
「うげっ」
ギルマスはそう言って俺の首根っこをつかんで騎士について歩き出した。
「ぐうっ・・・苦しい苦しい!ギルマス!離して!」
「やだね。お前逃げそうだからこのままテントに行くぞ。」
そうしてズルズルと引きずられて森を進むと開けた場所に出て、その開けた場所にテントがいくつも建ってのが見えた。
50人入っても余裕なくらい大きなテントがいくつも並んで建っていて、その中でも大きなテントに入ると、中は作戦会議室のような大きなテーブルと簡易イスがいくつも並んでいた。
既に騎士団長と副団長は到着していたようで、1番奥の席に騎士団長のロディオータが座っていてその隣に副団長がとても偉そうに座っていた。
ベテラン騎士と思われる騎士も数人いて、ギルマスはロディオータとは対面の1番遠い席に座って、俺はギルマスに促されるままギルマスの隣の席に座った。
ロディオータは俺とギルマスが座ったのを確認して会議を始めると宣言した。
んま!作戦会議なんて無理矢理参加させられたが、頭がよくない俺にはなーんにもわからないだろうなと思って、なんとか目を開けたまま寝られないかなとか考えていた。
でも会議は意外にわかりやすかった。
というのも、テーブルの上にはここ周辺の地図を拡大したものが広げられていて「魔物の大群」を赤い駒、騎士団は青い駒、そしてハンターの俺たちは緑の駒で現在地を分かりやすく置いていてくれてたからだ。
「今のところ「魔物の大群」は北東方向からややゆっくりペースではあるがこちらに進んできている。数は1000前後で偵察した者によるとレベルC以下ご多いそうだ。」
「1000前後とは・・・少し多いですね。これまでの例なら700~800位でしたが。」
ベテラン騎士の1人がそう言って苦い顔をしていた。
「もしやその多さもあって今回はハンターたちに応援を?」
ベテラン騎士の言葉に、ロディオータは首を振った。
「実は・・・ちょっと困ったことになったんだ。」
ロディオータはそう言って立ち上がって駒を使って解説してくれた。
「「魔物の大群」はルート予測通り、城を中心として北東方向から来て西に抜ける形になりそうなんだが、ルート予測通りに大群を向かわせると、西の町にぶつかることがわかったんだ。」
ノヴェーラの町から西に数日行ったところに町がある。
俺がこの世界に来て孤児院に保護された時にグランが依頼で行っていた町だ。
ノヴェーラより一回り小さいな町で、町の周りは畑が多いらしい。
ノヴェーラのように町に結界が張られている訳ではないので、高めの塀があるのだが、警備兵は数十人しかおらずとても「魔物の大群」から守りきれる人数ではない。
「魔物を誘導してルートを曲げて村や町に来ないようにしたという事例はいくつもあるからそれをしようとしたが、残念ながら曲げられないことがわかったんだ。」
え?そりゃどういうことだ?
「ルートをこのままにすると西の町に当たってしまう。左に反らして方角として南に向かわせると、城に向かうことになってしまう。逆の右に反らして方角として北に向かわせると険しい山々でそれ以上進めない。・・・そう、つまりはどの方角にもルートを反らすことができないということだ。」
ええっ!?どうするんだよ!?
ベテラン騎士たちもギルマスも戸惑ったように地図と他の者の顔を見回していた。
「くそっ・・・せめて「魔物の大群」が発生する原因がわかればなあ。」
「それは無理な話だろう。今だって色んな研究者が話し合ってるとかいう話だろ?」
「なんか魔法の研究者のフランク殿の説が最有力とか言われているけどな。」
俺はこの会話に首を傾げていた。
「原因がわからないことを嘆いてもしょうがない。・・・反らすこともできないならここで迎え撃つしか、ないと考えている。」
ロディオータは重苦しくとても真剣な顔でそう言った。
それを聞いて皆が狼狽える。
「騎士団長、正気ですか!?相手は1000もいるんですよ!?」
「かたやこちらは騎士団300人に・・・おい、ハンターたちは何人いるんだ?」
偉そうにベテラン騎士に言われてギルマスはちょっとムッとしていたがすぐに答えていた。
「およそ50人です。」
「全員でも350人です。騎士団長、解りましたか?1000など無理です。」
「無理でもやらねば城か町に被害が出る。町の警備は警備兵がするだろうから、城の守る騎士以外がこちらに来たら500人くらいにはなんとかなるだろう。」
「で、ですがそれでも1000には遠く及びません!」
ううーん?
なんでそんな迎え撃つとか言うんだろう?
あれー?と首を傾げまくっていると、副団長と目があった。
とてつもなく見下した目で俺を見ていた副団長は小バカにしたように口を開いた。
「皆さん、どうやらもっと分かりやすく話さねばそこの小僧にはわからないようだよ。」
全員の目が俺に来たので慌てて首を振った。
「あ!違います違います!説明はすごく解りやすかったです!で、でもちょっと疑問が出て。」
「疑問?なんだい?」
ロディオータは興味深げに聞いてきた。
皆に見られるというのにちょっと気まずさを覚えつつ、俺はおずおずと疑問を口にした。
「なんで迎え撃つとか反らすとかすんのかなって。帰せばいいのにって思って。」
「・・・うん?帰すとは、どこに?」
「え、魔界に。」
皆がぎょっとした目をしたが、無視して俺は話し続けた。
「え、だって空間魔法で魔界と人間界を繋げて魔物がこっち来て、人間の町とか襲った後にまた空間魔法で繋げて魔物を魔界に回収してるんでしょ。「魔物の大群」って。」
「「「・・・え?」」」
「魔人が人間界で悪さしたら神様とかにボコられるから人間界に行けないから、代わりに魔人が空間魔法で繋げて魔物を人間界に送り込んでるんだよ。だからさ空間魔法で人間界と魔界と繋げて「魔物の大群」を帰したらよくね?」
全員がぽかんとした顔で俺を見ていた。
人間たちの長年の謎「魔物の大群」発生の原因がさらっとわかった瞬間である。




