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ハザマ~高校生男子は異世界で精霊に愛され無自覚無双~  作者: 木賊
第4章 庵の能力、迫る大群
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69話 帰路とマジックバッグ問題

途中で三人称視点が割り込んできます。

俺はおっさんと話した後、採掘用のマジックバッグもいっぱいになったことだし、昼前だがギルドに帰ることにした。

自分用のマジックバッグにも岩の欠片を積めてどっかで換金しようかとも考えたが、よく考えたら換金するとこ知らないからまあいいかと諦めた。


俺が帰るなか、鉱山で掘っててこちらに駆けつけたおっさんをはじめ男女は我先にと穴に入っていっているのが見えた。

まだまだ金だらけの岩がたくさんあったから、彼らも金を採れるんじゃないかな?

俺は元から「俺が見つけたから誰も採るな!」とは言うつもりもなかったのであえてそのままほっといて帰ってきたんだけどね。

だって俺はマジックバッグの中身が金でパンパンになれば後はどうでもいいし。

俺としてはギルドに持ってっていくらになるかの方が重要な訳ですよ。

あ、でもあの土地は誰かのものだったのかなあ?

もし誰かの土地だったら勝手に爆破しちゃったからヤバいかも。

・・・でもまあ、おっさん特にそんなこと言わなかったし、騒ぎになってる頃には俺はハインツの町から出てるだろう。

あの土地の所有者さん!いたらごめんね!




「純金125gまざりもの260gなので合計88万5000Gとなります。」

「ふぁっ!?」


ギルドに着いて早速受付に向かって、採掘用のマジックバッグを渡しながら因みに自分用のマジックバッグのももし採ってきたら買い取れるのかと聞いてみたら、一緒に買い取ってくれるそうだ。

本来は採掘用のマジックバッグの中身しかダメらしいんだけど、ここは小さなギルドだからその辺は緩いようだ。

チェッ!自分用のマジックバッグにもパンパンにつめてくりゃよかった!


そしてしばらく金の計算に時間がかかってしまい、やっと呼ばれて受付に行くと思った以上の大金となってびっくりしてしまった。


「すごいですねえ!新記録更新ですよ!大きな金脈でも見つけたんですか?」

「あ、ああ。そうです。偶然掘ったら・・・ははは。」

受付の男性職員はそう言ってドカンと札束を用意してくれた。

俺はすかさず自分のマジックバッグに入れてお礼を言ってギルドを出た。


よし!これで米たちが買えるぞ!!

ウキウキしてつい早足になって、町を競歩で駆け抜ける。


『よかったなイオリ!大金手に入れることができて。』

「おう。皆のおかげだよ。ホントありがとう。」

『気にしないでくれたまえ!』

あれ?まだ金属の精霊いたのかよ。



そして喜び勇んであの雑貨問屋のところに向かって、米・味噌・醤油だけじゃなく店内のものも惜しげもなく買いまくった。

店員さんは俺のテンションにちょっと引いていたけど、たくさん買いまくっていたので値引きしてくれて合計35万Gで買うことができた。

全部マジックバッグに押し込んだらさすがにパンパンになってしまった。


ルンルン気分でそのまま町の散策をすることにして、孤児院へのお土産などを買ったりした。

そして夕方まで海に行ったり観光名所といわれている灯台に行ってみたりして、町を満喫した。


「イオリ、えらいご機嫌だな。なんかいいことあったのか?」

食堂で皆で夕食を食べていたら、レイドが聞いてきた。

「ふふん!なんと!米たちを買うことができたんだよ!」

「えっ!?アレものすごく高くなかった?お金どうしたの!?」

「ヤバいことしてお金手に入れたのか?」

失礼な双子だな!

「ハンターズギルドに行ったら依頼で金鉱山で鉱夫募集ってあってさ。それやったらものすごく儲けてさーてへへっ」

俺のそんな返事にウルーノさんが反応した。

「うん?確かあの鉱山は枯れかけてたはずですが・・・。」

ギクッ!さすがウルーノさん、金鉱山の情報まで持ってんのか!

「そ、そう?俺はとれたんだけどなあ。ははは。」

俺はそう適当に言ってごまかした。

ウルーノさんは首を傾げていたが、しばらくしたら普通に雑談していた。



そして翌日の朝となり、俺たちは大荷物の馬車に乗り込んで帰ることとなった。

朝からハンターズギルド辺りがなんか人だかりができていたが気にせず町を出た。






庵がまったく気にしないで去ったハンターズギルドの人だかりは、実は金鉱山に向かうハンターたちだった。

ものすごい金鉱山が新たに見つかったという話はあの後採りまくったおっさんらが町でしゃべりまくったのであっという間に広まって、金に釣られてハンターたちがギルドに殺到したのだ。

そしてあの丘の所有者について庵が心配していたが、土地は誰のものでもなかった。

故に発見した者に管理権が発生するのだが、発見者の庵が名乗りでなかった(庵はもう町を出ていてこの話を知らない)ことと、庵はおっさんに自分がハンターであることを名乗らなかったのでギルドに問い合わせをしなかったため、発見者は「謎の青年」となって管理権はその青年と話していたおっさんが持つこととなった。

そしておっさんの管理の才能が爆発してうまいこと管理することができて、おっさんはあっという間に大金持ちとなり、金鉱山は誰でも金持ちになれるということで毎日たくさんのハンターや鉱夫が採掘していくようになった。

数年後には金の質もいいものが出るようになって経済も活性化。

さらに数年後には、町に他国からもたくさんの人が来るようになって、町の規模が倍になりおっさんは町に貢献したということで町の有力者にまでなったという。


後におっさんはインタビューにて「あの青年には感謝している。俺が今色んなものに恵まれて幸せなのもあいつのおかげだよ。もしかしたらあいつは神の使いかもしれない。」と語っている。






軽い気持ちで金脈を見つけただけの庵は町とおっさんの未来がそんなことになるのをもちろんまったく爪の先ほども知らずに、ノヴェーラに向けて護衛に勤しんでいた。




ハインツの町を出て4日の間、護衛をしながら俺はあることに悩んでいた。

それはずっと愛用しているマジックバッグのことだ。


買い直した皆の食料やテントなどの生活品や俺の買いまくった和食たちでマジックバッグはパンパンで今にも溢れ返りそうだ。

よく考えたらパンパンになる頻度が最近高くなってきたような。

元々一人旅用に複数人分を無理矢理詰め込んでるのが悪いんだけどね。

しかもこのマジックバッグの中は時間が止まるということはないので、気を付けないと痛む食料が出てきそうだ。

それでもマジックバッグを持ってない他のハンターたちや旅人にとってはものすごくありがたいものではあるのだが。

なんとか中身の容量を増やすとかできないものか?


まず思い付いたのは魔剣のように魔力で容量を拡張とかできないかなと考えた。

これは普通の剣が俺の魔力を1~2週間浴びたら魔剣に「進化」したと思ったので、マジックバッグも名前にマジックとあるくらいだから「進化」するのではないかと考えて、誰にも見られない夜のテントの中でマジックバッグの中身をぶちまけてマジックバッグに手を突っ込んで魔力を注ぐイメージをした。


うーん、ぐぬぬぬぬ・・・。

魔力は出てる気がするんだけどまったく反応がない。

しばらく床に置いて観察してもまったく変化なし。

ということは魔力で「進化」できないってことかな。残念。


他に拡張できそうな・・・魔法とかないかなあ?

頭の中に魔法の本をイメージしたら、頭の中に浮かんできたので調べてみた。

拡張魔法というのはなかったが、近いもので空間魔法があった。


空間・・・。


・・・ん?


あ!!あそこにいる!


なにもない真っ白な空間。


狭間の世界というらしいそこに確か空間の精霊がいたな!


あの空間の精霊にどうにかできないか相談してみよう。


そうと決まれば!

確かあの世界に行くには眠る直前に行きたいと思ったら行けると言ってたな。

ちょうど寝るにはいいタイミングだし。

そう思った俺はマジックバッグの中身がぶちまけているのも構わず、すぐに横になって寝た。




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