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48話 レベルC試験を受ける

「あ、イオリ。あんたレベルC試験を受けられるわよ。」


バスタードソードを手に入れて、筋力アップを目指して討伐や力仕事を積極的に受けていたら、どうやらレベルC試験を受けられるほど依頼をこなしたらしい。

この日も討伐依頼が終わったのを報告して報酬を貰ったところで、受付のオリアナさんがそう言ってきた。

「お、マジで?オリアナさん。レベルC試験ってどんな感じ?レベルDの時と同じと思っていいのかなあ?」

「んまあ、そうねえ。実力試験と野外試験があるのはレベルDと変わらないわね。実力試験は格上のハンターと木刀での模擬戦になるわよ。それから野外試験は結構キツいことすることになるわよ。」

「え、結構キツいことって?」

「この町の北って結構山々が連なっているでしょう?そのどれかの山の頂上を目指す、山登りをするのよ。」

え!?山の頂上を目指す!?山登り!?

「ど、どの山とかは決まってないの?」

「それは当日に発表されるわよ。でもまあ、だいたいは歩いて片道数日の山の頂上みたいよ。」

片道で数日!?

ええっ!?さすがにそんな体力ないって!

「期限があるから、その期限内に頂上に着いた人は合格になるのよ。逆に言えば、その期限内ギリギリに頂上にたどり着けるようにゆっくり登っても合格できる、ということよ。体力に自信のない魔法使いとかのために期限は長めに設定されているから、イオリでも結構余裕で行けると思うわよ。」

な、なるほど。

ハンターには体力自慢だけがいるわけではないからね。

そういう人らにもできるようにしてくれてるのか。

だったら俺でもできるかな?期限の日数によるけど。


「まあ、受けてみてもいいと思うわよ?レベルとしてはそこまでのことは求めてないし。普通の人でもレベルCは合格できるくらいなんだから、あんたみたいな元ヘタレでもできるわよ。」

ヘタレではなくなって元ヘタレになったのかよ。

でもオリアナさんが冗談まじりでもそう言ってくれたなら、案外イケるかもしれないな。


「オリアナさんがそう言うならレベルC試験受けてみるよ。」

「そうかい。じゃあ、登録しとくわね。試験は明日だから明日はレベルD試験を受けたところと同じところに行くのよ。これ、試験に必要なものとかを書いた用紙ね。」

俺は用紙を受け取ってハンターズギルドを出た。

用紙には特に新たに買わないといけないものはなくて、俺は宿屋に帰った。


・・・あ、情報の精霊に言っとくか。


前のレベルD試験をネットワークに晒せなくてものすごい文句を言ってきたからなあ。

また文句を言われたらウザいからな。



ということで、部屋で呼んだらすぐ来ました。

こいつ絶対暇だな。

『さすがイオリだね!ちゃんと僕に言ってきてくれるなんて、成長したねえ!』

「ものすごく上から目線でどうも。」

『おっと!こうしちゃいられない!明日の担当代わってもらわないと!!』

情報の精霊はそう言い残すとばびゅんとどっか行ってしまった。


こうして明日の試験はうるさいのが担当になることが決定した。




そして翌日。


俺は朝っぱらからテンションの上がりきった情報の精霊に叩き起こされて町の外に向かった。

場所は西側塀の外の草原、と俺がバスタードソードを試しに振った場所だ。

すでに何人かの試験参加者と思われる男女がいて、あくびをしている者や話をしている者もいた。

用紙によると今回の参加者は全員で7名のようで、老若男女年齢が皆バラバラだ。

俺はレベルDの時と同様に彼らに付かず離れずの距離でギルド職員の到着を待った。

数分してちらほら男女が来たところで、試験官となるギルド職員とたくさんの木刀を抱えた格上ハンターが来た。

ギルド職員は俺の知らない人だったが、格上ハンターの姿を見た俺は固まった。


「これから試験を開始したいと思います。皆さん集まりましたね。お名前を確認します。」

ギルド職員は全員の名前を確認した。

「全員いますね。ではこれから実力試験を開始したいと思います。相手はこちらのレベルBハンターのグランさんが勤めます。」

紹介されたグランは軽く会釈をした。


そう。なんとびっくり、グランが今回の試験の相手なのだ!

「・・・グランだ。よろしく。」

グランは無愛想にそれだけ言った。

「これからこちらのグランさんと1対1で模擬戦をしていただきます。戦っているところや実力を見るだけなので、勝敗は関係ありません。使用するのは木刀でお願いします。こちらに色んな種類の木刀を用意しましたので自分の得意とするものを選んでください。魔法使いの方で杖を使う方はご自分の杖で構いません。」

グランの運んできたたくさんの木刀は、長さも太さもバラバラなものばかりで槍用の長いものや斧用の先が太いものなどあった。

「では、1人目の方からどうぞ。」

1番最初の男性ハンターは慌てて木刀の中から槍用の長い木刀を取るとギルド職員に促されて指定された位置に移動した。

俺たちは少し離れて見守り、グランは短い木刀2本を取って位置に移動した。


こうして実力試験は始まった。

グランは相変わらず素早い動きで参加者を翻弄して、次々と打ち負かしていった。

「さすがレベルBハンターだよな。」

順番を待つ参加者同士が模擬戦を見ながら小声で話している内容が聞こえてきた。

「あの人って、孤児院のとこのハンターだよな?やっぱり報酬は孤児院の経営にあててんのかな?」

「あそこの孤児院結構ボロいからそうじゃねえか?なんかそのせいか、あんなに強いのに誰ともつるまないし話したりしないって噂だぜ。」

「それって孤児院出身だから警戒心強いのかな?昔、第4地区に孤児院があった時は孤児たちがひどい扱いされてたらしいし。」

え、そうなのか?

まあ、第4地区自体がいい印象がないからそれもあるかも知れないけど。

もしかして、それもあって今のところに孤児院があるのかも。

グランが警戒心強いのは昔ひどい扱いをされたせいもあるのかな?


とか思ってたらあっという間に4人目の俺の番が来た。

『頑張れイオリ!ネットワークの向こう側では全精霊が見てるよ!』

やめてそんなこと言わないで!緊張するわ!

「よ、よろしくお願いしまーす。」

俺はバスタードソードと同じような長さの、ちょっと長めの木刀を取って指定の位置に移動した。

うーん、全精霊に見られてるのは今さらだけど、知ってる奴と戦うなんて初めてだからなんか緊張するな。

グランって強いから負けないように頑張んないと。

「イオリか。・・・手加減するなよ。」

「グランこそ。」

グランは俺の持っている木刀を見て、ん?となった。

「イオリ、木刀それで合ってるのか?」

「あ、うん。自分でもよくわかんないけど、この長さの方が得意な気がするんだ。」

「うん?・・・よくわからん。」

「俺もよくわかんない。」

「・・・では、始めるぞ。」

グランは木刀を構えて向かってきたと同時に、謎現象が始まった。



・・・あれ?

いつもよりゆっくりじゃない?


グランの向かってくる早さが今まで戦ってきた人や魔物とかと比べて明らかに早い。

あれ?と思っていたらグランが近づいてきて、木刀を突き出してきた。

でもゆっくりはゆっくりだから避けられない訳ではない。

「よっと。」

俺はひょいと避けて距離を取った。

そして秒数を数えてみる。

やっぱりちょっと早い。

いつもの謎現象が1秒なのが5秒になっているのに対して、今は1秒なのが3秒になってる。

どうしてだ?

また向かってきてそれを避けながら周りを見ながら秒数を数えてみると、周りはいつもの、1秒なのが5秒になっている。


グランだけ、1秒なのが3秒になっているということか!?

どういうことだ!?

もしかしてグランが素早いのが影響しているとか?

・・・よくわからんけど、とにかく今は戦わないと!


俺は気を取り直すと木刀を片手で構えて、迫ってきたグランの攻撃を木刀で受け止めて押し返した。

急に押し返されて体勢が崩れたグランの脇腹に軽く蹴りを入れて、距離を取った。

グランは少し蹴られた脇腹をさすってチッと舌打ちをした。

蹴りを手加減されたのにイラついたみたいだ。

手加減するなよと云われたけど、これはあくまでも模擬戦なんだし。

それに友達のグランを傷付けるのはさすがに気が引ける。


俺はさっさと終わらせようと木刀を両手で持つと今度はこちらから駆け寄り、グランの両手首を連撃で叩いてグランの持っていた木刀を落とさせて、驚くグランの喉に木刀を軽く当てた。


「・・・参りました。」


そうグランが言ったのと謎現象が解けたのは同時だった。



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