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40話 皆スイーツ好き

少しだけ短いです。

ジャイアントエイプが吹っ飛んだ衝撃もそこそこに、俺たちは町に戻ってきた。


「これでギルドに行って報告してマジックバッグ渡したら終わり?」

「そうそう。倒した魔物も入ってるから報酬はちょっと多いかもな。そうだ、手伝ってくれたし、なんか奢るよ。」

「いいの!?わーい!」

ウィンディはとても喜んで飛び上がった。

精霊神は人間同様魔力を自分で作れるみたいで、俺の魔力をあげようとしたら断られてしまったから、せめてものお礼だ。

人間の食べ物とかも普通に食べれるらしい。

それどころか、ウィンディがたまに人間の町や村をウロウロするのは美味しいものを求めてなんだそうだ。

特に好きなのはスイーツなんだって。女子だな!


「プリン持って帰って食べたいな!」

え、この世界にプリンあんの?

どんなのか興味あるな。

何を隠そう、俺もスイーツはイケる口なものでね。女子か!




「・・・・・・あら?イオリ?」



そんな声をかけられて声の主を見たら、そこにはエティーの姿があった。

エティーの後ろにはいつもの護衛と思われるおっさん3人もいる。


「あ、エティー久しぶり。」

「こんな町中で何してるの?あなた。」

「採取依頼終えて帰って来たところだよ。エティーは?」

「しばらく用事でハンターできなかったから討伐依頼をこなしたところよ。あなたは採取だなんて、相変わらずヘタレね。」

ふふっと鼻で笑ってきた。


「あーー!エティーだ!」

ウィンディは俺と話しているエティーを見てそう叫んだ。

エティーは急に叫ばれてビックリしている。

「キャー、本物ってかわいい!」

「な、なに!?なんなのあなた!?」

「私、ウィンディっていうの!イオリの友達!」

そう言ってウィンディは俺の腕を抱えてきた。


「そ、そう。イオリの友達にしては・・・ものすごいかわいい子ね。」

なんか知らんがエティーはウィンディが俺の腕を抱えているのをチラチラ見てそう言った。

「本当に友達かしら?」

「友達だよ。2人で採取依頼してきたんだから!」

「ふーん、2人で・・・。」

エティーはつまらなそうにそう呟いた。

んまあ、厳密には2人ではなくて精霊ふたりも一緒だけどね。


「その子とできるなら、私ともできるわよね?また一緒に依頼受けてあげてもいいわよ?」

エティーはすごい上から言ってきたが、要するにまた一緒に依頼を受けてくれるみたいだ。

俺としてはあんなことがあったからもう一緒は嫌だと言うと思ったのに、意外だなあ。

「え、いいの?一緒に受ける機会があったらやろうな。」

「い、いいわよ。そんなに言うならやってあげるわ。」

そんなに言ってないんだけどね。

ツンデレの子は大変だね。


エティーと別れて歩きだしてしばらくして、ウィンディがニヨニヨ笑いだした。

「ふふふ、今の反応見た?イオリ。なかなかいい反応だったわよね?」

「は?」

「もしかしてさっきの、気付いてなかったの?私がイオリの腕をとったら、面白くなさそうな顔して見てきたじゃない。そんで私が一緒に依頼やったって言ったら、一緒にやろうって言ってきて。」

「うん?確かにそうだけど・・・。」

「ちょっとけしかけたにしては、いい反応だったと思わない?」

は?え?もしかして・・・。

「ちょっと待ってウィンディ。なんか勘違いしてない?俺とエティーはそんなんじゃないって言ったよな!?」

「イオリはそう思ってるだけでエティーはどう思ってるか知りたかったから、けしかけてみたんだけど、いい感じじゃない。エティーと付き合っちゃえば?」

「はあ!?む、無理だよ!あの性格は俺は合わないんだよ。それにエティーには好きな奴がいるって言ってたんだぞ!?」

「あら、いい男の子がいたらそっちになびくのもアリと思うわよ。」

女子は一途じゃないのかよ!?



精神的に疲れた俺はギルドに向かってさっさと報告と採取用のマジックバッグを渡した。

報酬4000Gに魔物の買い取り2000Gで合計で6000Gになりましたー。


それからお礼でウィンディが行きたいと目をつけていたという飲食店に行って、プリンを買った。

ウィンディは誰かのお土産ということで追加で店にあったお菓子やらを自腹で買っていた。

俺も自分用にちょこちょこ買ったから後で宿屋で食べよう。


「今日はすごく楽しかったわ!ありがとう!」

「こっちこそ、あちらの世界のことを気軽に話せてよかったよ。依頼手伝ってもらって本当にありがとうな。」

「風の精霊もこき使ってくれていいからね!また遊びに来るね~。」

ウィンディは手を大きく振って去って行った。


すごく明るくていい子だったなあ。

おっと、大昔から存在してる神様にいい子は失礼か。

でもそう思ってしまうくらい、精霊神様なのにものすごく親しみやすいし、まったく偉そうでもないし。

友達になれてよかったなあ。







数時間後。




「やっほー!皆、ただいまあ~!」

どこかの神殿に明るい声が響いた。


「おいおい、ウィンディ、どこ行ってきたんだ?」

その時の皆の気分で仕様が変わるホールに今日設けられたソファセットに座ったまま、赤髪のイケメンが気だるげに言ってきた。

青髪の美女と茶髪のイケメンも長いカウチなどに座ってゆったりとウィンディを迎えて、空中を情報の精霊が漂っていた。

ウィンディはたくさんのお土産の紙袋をテーブルに置いて、えへんと胸を張った。

「ふふふ、イオリのところに遊びに行ってきたの!」

「「「『は!?』」」」


「これお土産!プリンにクッキーにマドレーヌとかもあるわよ~!」

「おま、なに勝手にイオリのところに行ってんだよ!?」

赤髪のイケメンが突っ込むのを皆無視してスイーツに群がった。


「あらあら、このプリン美味しいわ。」

「・・・このクッキーもうまい。」

青髪の美女はプリンを一口食べて蕩けた顔をして、茶髪のイケメンはクッキーを一口で一気に食べてうんうんと頷いている。

「でしょ~?今度一緒に行こうよ~!」

「おい!話を聞けウィンディ!お前らも呑気に食うな!」

「なにイライラしてんの~?イオリが言ってたけど、緑見たら癒されるんだって。癒されてきたら?」

呑気な皆に赤髪のイケメンは青筋を立ててワナワナしていた。


そしてもうひとり、ワナワナしている者がいた。


『な、なんてこった!ウィンディ!なんで行くとき僕を呼んでくれなかったんだよ!?イオリのリアクション見たかったのに!ネットワークに晒したかったのに!!』

情報の精霊は悶絶してホールを飛び回っている。

「情報の精霊、ちょっと落ち着きなよー。」

『こうしちゃいられない!すぐに風の精霊神を見た感想を聞かねば!』

ばびゅん

「あー、行っちゃった。・・・まあいっか。」





それからしばらくして、庵は情報の精霊から突撃取材を受けたのであった。





作者もスイーツ好きです。

バターをアホみたいに使ったフィナンシェやカヌレが好きです。

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