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第四話 メール

死んだ人間からメールはくるか?

そう後輩が俺に聞いてきたので、くるよと答えた。


俺もじいちゃんの番号からかかってきたことあったからな。

おじいちゃん?って聞いたら女の人の声で間違えましたって言われたけど。


つまり、死んだ人間が使っていたメールアドレスを誰かが使えばそのアドレスからメールがきたことになるだろ?

だから普通ならそんなに不思議がる事じゃない、普通ならな。

ちょうどいいや、俺の従兄の話をしてあげよう。

従兄も死んだ人からメールをもらった事があってさ、これはそんな従兄から聞いた話。




僕は恋人を亡くした。

現代でも治療が難しい病気だったで、余命1月と言われたが、彼女は頑張って生きたよ。

1月を超え、2月を超えるまで生きて、生きて、生き抜いたが、結局帰らぬ人となった。


それから僕は失意のどん底にいたが、一番辛いのは彼女とその両親なのだから僕がいつまでも落ち込んでいるわけにはいかない。

幸い僕は彼女の両親とも仲が良く、彼女抜きでも良好な関係を築いていたし、僕にできる事があるんじゃないかと考えた。


とりあえず2人が元気になるまでは一緒にいようと思った。

しばらく2人を元気づけるために通っていたが、49日が終わった時にもう大丈夫だから自分の事を考えてと言われたんだ。


その時僕は「大丈夫、自分の事を考えた末の行動ですから。でももし僕が来る事が負担になっているのでしたらそう言ってください」と伝えた。

今考えると何て面倒な奴なんだと思うが、あの時の僕はそんな事にも気づかなかった。

おそらく彼女の両親を元気づける事で僕自身を元気づけようとしていたんだと思う。


だから彼女の両親が僕の事を拒絶しないでくれて本当に助かった。

それからも月に3回くらいは通っていたよ。

気づくと1周忌の時期になっていた。

そのころには僕も彼女の両親も寂しさはあったが日常生活で笑えるくらいには元気になっていたんだ。


だからどちらともなく1周忌が終わったらもう通うのをやめようと言った。

寂しかったけれどいつまでも止まっているわけにはいかない、僕らは生きているのだから。

滞りなく1周忌も終わり、僕は家に帰った。


翌日だった、彼女からメールが来たのは。

文面には「お元気ですか?」と書いてあった。


僕は最初、嬉しいと思う反面少し怖かった。

だって2度と喋れないと思っていた相手からメールが来たんだ、嬉しくないわけがない。

でも送ってきたのがもし本当に彼女なら幽霊という事になる。

いくら彼女でも幽霊は怖いだろう?

どうしようと悩んでいるときに気付いたのさ。


ああこれは彼女の両親が彼女の携帯を使ってメールを送ってきてるんだと。

そう考えると何だか少し悲しかった。


見た目には元気に見えたが、やはりまだ辛いんだろう。

それに僕に彼女のメールアドレスを使ってメールを送ってきたという事は、彼女の事を忘れてほしくない、そういう事だと思う。


だから僕は気づかないふりをして返信をした。

「元気です、そちらは楽しいですか?」と。

彼女の両親に宛てて文面を作るとおかしい事になるから死んだ彼女宛の文面にしたよ。


翌日返事がきた。

「楽しいです。でも寂しいです。」


それから短い文章だったけど毎日メールのやり取りをした。

どうやら短文で、1日1回しか送らないと決めているようで決まってメールは20文字以内、時間は朝10時にきていたよ。


正直に言おうか、楽しかった。

頭では分かっているけど表示される名前とそっけない文章が彼女を思い出させたから。

しばらく楽しい日々が続いた。


それから半年ほど経って、街中で偶然彼女の両親と会った。

そこで僕はなぜかいたずら心が沸いて、彼女の両親に僕と彼女のメールを見せたんだ。

そうしたら彼女の両親が戸惑った顔で言うんだ。


「何であの子のアドレスとメールをしているんですか!?携帯は解約したはずなのに!これはいったい誰ですか?」


びっくりしたよ、僕はてっきり彼女の両親がメールをやっていたと思っていたから。

だから僕は1周忌が終わってからメールがきた事、あなた方が送っていたと思っていた事、メールには2つのルールがある事を伝えた。


ルールを伝えた時だった、彼女の両親の顔が一気に青ざめた。

震える声で、10時は彼女が死んだ時間、20文字は彼女の最後のメールの文字数だと教えてくれた。


彼女は最後の方はもう言葉も喋れなくて、どうにかメールを打つくらいはできたそうだ。

それもぎりぎりだったんだけど、彼女が残した最後のメーッセージも見せてもらった。


「今までありがとう。先に死んじゃうごめんね」


僕は普通に泣いていた、気づくと涙が止まらなかった。

無理をしていたのは僕の方だったのかもしれない。

泣き止むまで彼女の両親に慰められたんだけど、今思うとすごく恥ずかしいな。


不思議な事に翌日からメールはこなくなった。

でもおかげで僕は本気で泣いてようやく前を向けるようになったんだ。

あのメールには感謝しているよ。

それにしても僕がメールをしていたのは誰だったんだろうね?


それから従兄は用事があるからもう帰るねと言うと立ち上がって帰り支度を始めた。

手早く帰り支度を済ませた従兄を見送りに玄関まで行ったんだ。

従兄が玄関を開けた瞬間、白い煙が従兄を待っていたかのように消えた。

見間違いかと思ったけど、従兄はそのまま玄関の扉を閉めたので確認はできなかった。

怖くて扉に近づく事もできなかった。

あれは何だったんだろう・・・。




今でもその煙が何なのか全く分からないし、知りたいとも思わない。

でもね、やっぱり不思議な事ってあるんだよ。

お前もそのメール気をつけたほうがいいよ。

本当に死んだ友達からだった時、何が起こるか分からないから。

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