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第十九話 桟橋

ねーねー桟橋って分かる?

船に乗り降りするために海に向かって伸びてるやつ。

あれ桟橋って言うんだって。

それでさ、O港の所に桟橋あるじゃん?

あそこでこけて怪我したって人結構いるっしょ?

あれさ、どうも、幽霊に襲われたらしいんだよね。

2組のBがね、めっちゃ騒いでんだよ。

AとCと一緒に夜中あそこで遊んでたら桟橋から手が伸びてきて引っ張られたーって。

いや私も最初はウソだって思ったんだけど、SNSで検索かけたら同じようなのが出てきてさ。

ほらこれ。

全部夜中に行ったときに事故ってるっしょ?

しかもいくつかは時間も書いてある!

その時間書き出してみたんだけどさ、全部2時~2時30分の間なんだよね。

って事はこの時間にここ行ったら心霊現象起こるんじゃね?って思って。

一緒に行こうぜ!



嫌だよ怖いじゃん。

しかも夜中とか無理、絶対抜け出せない。

無理。

そもそも夜中に怪我するって夜行くからでしょ。

昼間怪我してないんだから行かなきゃいい話だし。

つーかどうしても行きたいならSNSで募集かければいいじゃん。



じゃあ分かった、人数増やそう!

ならいいでしょ?



嫌だ!


行こう!


嫌だ!!


行こう!!


い・や・だ!!!


い・こ・う!!!




女子同士の激しい言い争いは続いていた。

この2人の意見は大抵合わない。

しかし仲は良いみたいで毎日一緒にいる。

僕はこの2人の話が気になった。


僕の趣味は心霊スポット巡りだ。

昔から幽霊や妖怪が好きだったが、いつの間にか心霊スポットに行くのが趣味になっていた。

気になる話を見つけては同じ趣味の友達と一緒に検証をしている。


僕は早速2人が話していた噂について検索した。

するといくつかの情報がヒットした。

O港の怪というのか、地元なのに全然知らなかったな。


時間は2時~2時30分の間か、丑三つ時だな。

しかも満月の日には起きてないみたいだ。

新月の前後3日くらいで起きてるから暗い日に起こりやすいのか?

確かに心霊現象っぽいけど、これはただの事故のパターンもありそうだ。


心霊スポットにはつきものなのだが、大抵のスポットは事故や怪我をしやすい環境が整っている。

しっかり注意していれば大丈夫だが、夜や平常心を失った状態だと危ない。

おそらくこのO港もそうなのだろう。


怪我をした人は、釣り人やヤンキー、肝試し中の中学生等明らかに平常心ではなさそうなメンツだ。

時間もこの人達が勝手に言ってるだけで本当かどうか分からないしな。

これは外れかな?


だが検証もせずに決めつけるのは良くない。

幸いもうすぐ新月だ、一度自分で足を運んでみよう。

別に誰かに報告するわけじゃないけど趣味だからこそ手は抜きたくない。

僕は友達と相談してこの噂の真相を突き止める事にした。



数日後、待望の新月の夜がやってきた。

僕は友達と一緒にO港で検証を始めた。

友達に撮影をお願いして、僕は1人桟橋を渡る。

検証のためには映像を残しておくのが一番だ。

もしかすると幽霊が映るかもしれない。


午前2時、いよいよ検証スタートだ。

僕はゆっくりと桟橋を渡った。

行きは特に何もない。

海の上に浮いている場所、ポンツーンと言うらしいがそこを一周してみる。

この上も、何もない、いつも通りだ。

仕方ないので桟橋を渡って友達の所に戻る。

やはり何も起こらない。


友達に何か映ったかと聞いても何も映ってないと言っていた。

まあ1回じゃ何も起こらないかもしれない。

時間はまだあるし、2時30分まではしっかり検証しよう。

しかし2回目、3回目、4回目も何も起こらなかった。


これはいよいよただの事故だったんじゃないかと疑惑が強くなってきた。

やっぱり今回も何も起きないのかなと落胆の色が浮かび始める。

これで最後にしようと友達に言うと、分かったと返事があった。



これまでと同じように桟橋を渡り、ポンツーンを1周する、しかし何も起こらない。

やっぱり何も起きないかとがっかりしながら、桟橋を渡る途中で思いっきりこけた。


ギャッと声が出た、背中が凄く痛い。

何だか足も痛いし、もしかしてひねった?

ううと呻きながらゆっくり立ち上がり、友達の方を向く。

友達が早く、早くと僕をせかす。

こっちは転んでるんだから気遣えよと思いつつも友達の方に向かう。


僕が友達の所に辿り着くと友達は僕を連れてすぐにその場を離れた。

少し休んでいこうと言ったがいいから早くと取り合ってくれない。

結局休めたのは友達の家に着いてからだった。



友達が大丈夫か、どこか痛い所ないかと慌てた様子で聞いてくる。

いや見てたろと思いつつも背中と足が痛いくらいで他は大丈夫と答えると、服を脱げ確認するからと半ば強制的に上着をはぎ取られた。

友達にどうなってるか聞くと背中は赤くなってるだけでただの打身だと思う、一応シップ貼って酷くなったら病院に行こうと言われた。


次に足の状態を見る。

痛いのは右足だったから右の靴下を脱いで確認するとそこにはいくつもの手形がくっきり付いていた。

何が何だかわからない僕はパニックに陥っていたが友達はなぜか冷静だ。

しかも小声でやっぱりと呟くと、スマホを僕に向け1つの動画を見せてきた。

それはさっきの桟橋での検証動画だ。


僕がこける瞬間の映像を見て、僕は絶句した。

そこには僕の足を引っ張る無数の手が映っていた。

手は僕の前の方から生えてきており、一斉に右足を引っ張っていた。



翌日僕らはそれぞれの両親に事情を話お祓いに連れて行ってもらった。

2人ともめちゃくちゃ怒られた。

しかもお祓いをしてもらった神主さんにも怒られた。

ただでさえ中学生が夜中に出歩くのは危ないのに丑三つ時に霊に関わろうとするなんてと。


結局手の正体は分からなかった。

神主さんが桟橋のお祓いもしてくれたので霊現象も収まったと思う。

ただ神主さん曰く水場の霊は集まりやすいからまた別のが来る可能性がある。

今後も決して夜中に近寄ってはいけないと言われた。

今もどこかの桟橋では同じような事が起きているのかもしれない。

水場、そして丑三つ時には何が集まってきてもおかしくないのだから

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