第7話 アクションゲームの醍醐味って探索だよなぁ。
「ああっ!! これもこん棒として処理されないっ!! もうっ!!」
あれから5日経ち、俺は裏山で見つけた良さそうな枝をテレビの中にぶち込みまくった。
しかしどれだけ枝をぶち込んでもそれがこん棒として処理される事は無かった。
「枝はこん棒にならないのかぁ……」
裏山に入り散策を続け、タケノコなどの山菜を取りながら良さそうな枝を見つける。
この5日それの繰り返しだ。たかしくんにもたまに手伝ってもらい一緒に枝を探した。
「飽きたよクソニート。家に帰ってゲームしようぜー」
そんな訳で家に帰ってゲームをした。
そんな過酷な生活を送りながら俺は必至になってこん棒捜索に身を捧げているのだ。
「タケノコ美味しいなぁ」
姉に作ってもらったタケノコの水煮をほお張りながら今日もゲームをする。
せっかくだし他の地域も探してみようとゲームキャラを動かしたが崖に落ちて死んだり亀裂に落ちて死んだり毒蛇を踏んで死んだり。
もうこれでもかというくらい死んでばっかりだったのでやはりあの廃墟が正しい道なのだろう。
そう考えると最初の到達は奇跡に近い事だった。そう思う。
現実社会ではそんな都合の良い奇跡なんて起きなかった。
しかしゲームの中では意外と奇跡って起きるもんだよなっ!! レアアイテムをふと敵が落としたり。
そんななんでもないサプライズが起きて、こちらを喜ばしてくれる。
だからゲームって好きさっ!! ふふふ。
「あ、遺跡に着いた」
そんなこんな考えている間に、目的地の廃墟遺跡に辿り着いた。
うん、相変わらずどこを見渡しても廃墟。すっげぇ廃墟だなぁ。
廃墟をあちらこちらと歩いてみる。
しかしどこにもアイテムらしいアイテムは落ちておらず、NPCも見当たらなかった。
「しけたダンジョンだなぁ……」
思わずこぼす。アイテム1つ落ちていないダンジョンとはなんと味気ないものだろうか。
歩けど歩けど本当に何もない。あるものと言ったら……。
「ボス部屋、だよなぁ」
一度ボスと対峙したあの部屋、っというか空間。
そこは白いモヤに覆われ、あからさまに「ボス」を思わせる出で立ちでその場にある。
通ればあのボスと戦う事になるのは火を見るより明らかだ。
裸一貫アイテム無し。防具もないし……。
ん? 防具?
「くそっ!! こういう時はアイディアに免じた状況が起きるもんじゃないっ!?」
駄目だったっ!! 服取られたっ!! 返して返して一張羅なのにっ!!
服を取られた。布の服って事で認識されるんじゃ? っと考えたのだ。
だが駄目だった。うんともすんとも言わない。おかしいなと思い貰った設定資料集を見た。
布の服みたいな項目は……。どこにも無かった。
それっぽい物と言ったらせいぜいレザーアーマーくらいか?
しかし革製の服なんて一着も持っていない。つまり防具は望めないと言う事だ。
「もうっ!! 所有者の経済状況を見るゲームなんて最悪だぞっ!!」
やっぱりこのクソゲーだっ!! だが今更諦めるのはなんかヤダ。
そういう訳でプレイを再開するが……。
ふと考えた。
このアイテム欄。
こっちから介入出来ないか?
ああ、出来た。服戻ってきた嬉しいな。
でもこちらからの介入が出来たとてアイテム1つ落ちてないし何の感慨も湧かない。
ともかく「出来る」事が分かった。人間やってみるもんだな。
そうしてボス部屋前の徘徊を開始する。
もっと何かないかなぁ。なんて考えながら周囲を散策する。
しかしどんなに願っても武器1つ発見する事は出来なかった。
もう何も無いのでは? 諦めかけていた。
しかしその時っ!!
その時っ!!
その時……。
こうやって言うと何か現れてくるもんじゃないか?
なんか出そうな言葉を考えながら散策するが、結局何もない。
もう諦めるしかないだろう。ここには何もない。
廃墟をあちこち巡ってみたが結局なに1つ手に入れる事は……。
あれ?
「ここ、焚火の後があるな」
廃墟の外。そこの少し開けた場所に野営でもしたのだろうか。
誰がか焚火を燃やしたような痕跡がある。
焚火の後はもうだいぶ古い。だがかつてここに誰かが居た。
のは確実であろう。そう焚火。焚火が……。
俺は恐る恐る松明を持ってその焚火の前に立ち……。
ボタンを押した。
「うわぁ……」
すると目の前のキャラはあからさまにプログラムされた動きで。
焚火に松明を入れて、そこに火を灯し始めた。
火を入れられた焚火はその場で静かに燃えだし、キャラがその場に座る。
画面には。
転送。
魔法の記憶。
アイテムの整理。
不死者の遺骸。
立ち去る。
この5つの項目がしっかりと表示されていた。俺はその中で転送の項目を選択しそれを実行する。
すると。
森の中へ。
廃墟の中へ。
その2つの項目がしっかり表示されていた。
ああ、やっぱりテレビゲームってのは……。
「本当に面白いな」




