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続き

もしイフリート──神代の時代、ソロモン王に仕えた悪魔が、どうして今ここに現れ、この女に従っているのか。

AIはそう呟いた瞬間、獣は拳を振り下ろし、主を叩き潰そうとする。だがAIは即座に防御障壁を展開し、泡のような結界が彼女を包み込んだ。

わずかな猶予に守られた彼女は笑い、映像を記録しながら、その場から姿を消す。


「ユキ!」

AIの声と同時に、少女は魔力の鎖を放ち、イフリートを縛り上げる。だがその拘束は一瞬で引き裂かれる。ユキはさらに《竜棺》を呼び出すが、召喚された竜は叩き飛ばされてしまう。


「やはり高位魔術でなければ通じませんね」

「……なら、時間を稼ぐ!」

ユキは頷き、七本の光槍を放つ。だがそれらはイフリートの肌に触れた瞬間、砕け散った。


「準備完了です」

AIの言葉と共に、ユキの足元に巨大な魔法陣が浮かび上がる。

「魔術第一九九号──《聖滅砲撃》!」

幾百もの魔弾が空を覆い、イフリートへと一斉に降り注ぐ。爆音と共に角が砕け、左腕が砕け、ついに悪魔は膝をついた。最後の一撃が直撃し、イフリートは黒煙となって霧散する。


「ごめんなさい、イフリートさん……でも、この街を守らなきゃいけないの」

荒く息を吐きながら立ち上がるユキに、AIが囁く。

「魔力の消耗が甚大です」

「……ええ。帰りましょう」

そう呟き、彼女は夜空へと舞い上がった。


翌朝、ニュースでは「昨夜の森林火災」と報じられていた。

だがそれはユキとイフリートの戦いの痕跡だった。炎が森を焼き尽くすほど、彼女とAIは戦闘に集中しすぎていたのだ。


その夜。ひとりきりで過ごすユキの耳に、あの旋律が再び流れ込む。

「……あの子ね」

空へ舞い上がり、次なる悪魔との戦いに備える。


現れたのは、伝説に名を残す霊獣──麒麟。

大地を震わせ、雷撃を降らせるその姿に、人々は恐怖で息を呑んだ。ユキは誘導し、人気のない場所へと引き込む。雷が三度彼女を狙うが、辛うじて回避する。麒麟は光を帯び、稲妻の奔流を放った。AIの結界が咄嗟に発動し、ユキを守る。


「今です!」

AIの助言に従い、ユキは魔力を杖に込めて放出する。衝撃波が麒麟を吹き飛ばした。

「どうすれば……殺すべき?」

「善性の霊獣ですが、放置すれば世界に災いを呼びます」

「……なら、抑えましょう」


AIは麒麟を閉じ込める障壁を展開し、ユキに告げる。

「角を折ってください。雷を呼べなくなります」

彼女は頷き、渾身の力でその角を砕いた。麒麟は抵抗をやめ、ただ静かに座り込み、草を食み始める。


翌日の報道では「謎の角を失った幻獣が目撃された」と報じられた。

人々に害を与えることなく、麒麟は森の中で新たな生を送る。


だが、夜は再び訪れる。甘く、しかし不吉な旋律が街に響く。

「……またか」


突如、巨大な拳が闇を裂いた。ウミボウズの拳がユキを襲う。

AIが結界を張らなければ、一撃で命を奪われていただろう。


「ありがとう!」

しかしウミボウズの猛攻は止まらない。幾度も拳が結界を砕き、AIの声が鋭く響く。

「衝撃に備えて!」

ユキは腕を交差させて防御したが、衝撃は全身を貫き、意識が飛びかける。


「まだ……!」

残された力を振り絞り、彼女は強化魔術を発動する。放たれた光がウミボウズの腹を貫き、巨体は倒れ込む前に煙となって消え去った。

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