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王宮

「あ、あの時曲がり角でぶつかった…!!」

そう、今慌てて席を立ちウエイトレスの水をひっくり返してしまったこの女性客は、この間俺がローリングさん宅に向かう途中に曲がり角で出会い頭にぶつかったあの時の女性だったのだ。

この短い期間でこうも人にぶつかっている所を見るにどうやら集中し過ぎると周りが見えなくなる性格のようだ。

俺が発した言葉に当の彼女自身は怪訝そうな顔をしながらこう返してきた。

「アンタ…誰だっけ?」

やっぱり覚えていないようだ。

まぁ俺もさっきまで忘れていたからな。

一度出会い頭にぶつかったぐらいの関係じゃ覚えてないのも無理はない。

「2日前にお互いぶつかったでしょう。

その時もあなたは仕事の書類見ながら歩いてましたよね。」

俺がそう言うと彼女は腕を組みしばらく考える。

「あぁ!!あれか!!

あれアンタか!!

顔なんて見てなかったわ。

あっはっは!!

こんな所で再会するなんて奇遇だね〜。」

彼女は俺の肩をポンポンと叩きながら続けて言う。

「再会の記念にお茶でも付き合いたいところだけどウチ12時までに王宮に行かないとだから。

ごめんだけどこれでおいとまするわ。」

その言葉を聞き俺は驚く。

「え?あなたも?

俺も12時までに王宮に行かないとなんですよ。」

彼女も俺の言葉に驚いた様子だ。

「え?そうなの?

これまた奇遇ね〜。

じゃあ、これも何かの縁だし一緒に行く?」

「そうですね。

そうしてくれると少し助かります。

実は王都には来たばっかりで王宮なんて行ったことなくて。

地図はあるんですけど迷わないか少し心配だったんですよ。」


こうして俺は彼女と一緒に王宮まで行くこととなった。

道中彼女は俺にこう尋ねてきた。

「アンタは王宮まで何しに行くのさ。」

「とある方に仕事の紹介を頼んでまして。

今日その方に頼みたい仕事があると呼ばれたんですよ。

あなたは?」

「ウチも似たようなものね。

新しい依頼を貰ってね。

ウチにとってあそこはお得意様なんだよ。」

「へぇ、何のお仕事をしてるか聞いても?」

「ハンターだよ。

別に王宮のお抱えって訳じゃないんだけど、最近はあそこからの依頼が増えてね。

なんか騎士団が警備やら何やらで色々忙しいみたいでさ。

魔物退治や遺跡に行く研究者の護衛やら色々ウチに回されてくるってわけ。

んで今日はその顔合わせ。」


ハンターか…

王宮からそんなにしょっちゅう依頼されてるとなるとかなりの実力者なのだろう。


そうこうしているうちに王宮の前へと辿り着いた。

すると門番がこちらに気付き声をかけてきた。

「これはこれはマーリン殿、今日は第伍番隊隊舎ですよね?」

え?マーリンって最近何処かで聞いたような…

「えぇ。

入ってもいい?」

「勿論、隊長がお待ちです。

ところで…そちらの方は?」

門番が俺の方を見ながら尋ねる。

俺は自分の名前とカーマ村から来たこと、第伍番隊隊長に呼ばれた事を門番に話した。

すると門番は連絡用魔道具で何処かに連絡しはじめた。

その間俺にマーリンと呼ばれた女ハンターが尋ねてきた。

「アンタも伍番隊の隊長さんに呼ばれたって事は…

もしかしてアンタ今回のチームメンバー?」

「いや、まだ仕事の内容を聞いてないので分からないんですけど…

ただ情けない事に俺は体力も魔法もてんで駄目なんでハンターの方と一緒にチームを組むなんて難しいかと…」

「いや、今回の依頼は…」

マーリンがそう言いかけた時、連絡を終えた門番が話しかけてきた。

「確認が出来ましたのでお二人ともどうぞ中へ。」

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