茜亨と牧場悠斗はこうしてシナリオから抜け出した
卒業式の日、私は最後の最後まで風紀委員副会長としてヒロインの動向を伺っていた。どうやら本気でマキに惚れているらしい。マキにアタックしているところを度々目撃している。
胸が…痛い…
その思いを隠して私は風紀委員長のそばで支える。
式が終わってみんなを送り出した後私は風紀委員長に呼び止められた。
「茜、俺をこれからも…支えてくれないか」
風紀委員長の言葉に私はめまいがした。
『これからも俺を支えろ」』
このイベント見たことあるわと…言葉は少し違うけど。逆ハーの未来が見える。
「-----副委員長さんに佐久間さんが何かを伝えているところを目撃してしまった。私は泣きそうな顔をしているいつも俺様なあの人の他の一面を見て…少し羨ましく思ってしまった-----だったかな」
私が小さく呟いた言葉は委員長には伝わらなかったようで少しホッとした。
「すいません、私就職先が決まってるんです」
私が眉を下げながらいい相手の横を通り過ぎていけばヒロインの真っ赤な顔が見えた。
やっぱり見られてた……
「これはマキも確実に落ちてるんだろうな…」
私が小さく呟けば………
いつの間にか意識がブロックアウトした。
*****
亨の意識を落として俺は学校の裏山に留めていた自分の車に亨を乗せて俺たちの家になる場所に向かった。
亨の大好きな、自然が溢れる場所。ちょっと交通の不便が目立つけど多分亨は喜んでくれる。
もう亨の根本に俺を染み込ませてるから大丈夫。亨は俺を断れない。
布団に寝転がってまだ目を覚まさない俺のお姫様の写真を撮る。
え、結婚するしいいよね?
「……ま、き…?」
俺がじーっと隣に寝転んで待っていると暫くしてから亨は目を覚ました。
「おはよう亨、ここが俺たちの新しい住まいだよ」
額にキスを落とせば意識が覚醒したのはばっと跳ね起きて俺をあり得ないようなものを見る目で見た。
「なんで、ま、え?……ヒロイ…じゃない加藤さんと…あれ…?」
目を白黒させながら俺を見る亨に俺はゆっくりと近ずいて手を握った。
「ね、亨。俺とずっと一緒にいてよ。」
きっとこの子はまだ乙女ゲームの中にいる気分だから俺の方へ引っ張らないとね。
「最後まで格好つかないけどさ…俺とずっと一緒にいてよ。誰よりも愛すから。」
俺がぎゅっと手を握りながら言えば亨はどうしようという目で俺を見てきた。
「でも、私ヒロインじゃない…」
「俺のヒロインは入学式であった日からずっと亨だけだよ」
俺が愛おしすぎて表情崩しながら言えば亨は泣き出しそうな顔で俺の手を握り返してきた。
あー…やばい。食べちゃいたい。
でも、まだ我慢。
「ね、亨結婚しよう。俺だけのものになって、お父さんやお母さんにはもう話つけてあるから、俺の奥さんになってよ。」
そう亨にもうサインも書いてもらってる。紙と紙の間にカーボン紙を挟むっていうちょっと意地悪な方法だったけど思い合っているからセーフだよね。
亨のご両親にも挨拶は済ませてるから問題もない。
金銭面ももう親父の会社も安定してるし引き継ぐ準備も着々と進めてるから問題ない。
あとは亨がOKするだけの話。
「でも、私無理だよ。マキ…!」
俺はその返事を聞いて、笑みを深めた。
「そっか」
…
「ま…き?」
顔を青ざめる亨に俺は通りを抱き寄せて耳元で囁く。
この声を亨が大好きなのも知ってるから。
「昨日俺が他の女と結ばれるのが嫌だって言いながら自分を虐めてたくせに…?」
顔を真っ赤にしながらあり得ないようなものを見る目で俺を見てくる亨に俺は背筋がゾクゾクするのを感じた。
あー…俺のお嫁さんほんとかーわいい。
「変態さん…ね、ほら、正直になるまで俺が虐めてあげる。」
最後まではしないよだって俺を求めてくれないと無理矢理じゃないか。俺は亨と思いあいたいんだ。
2人っきりなんだここは誰もいない。だから
もっと俺を求めて亨。
*****
酷い目にあった…あんなことされるとは思わなかった………
私は剥がされに剥がされまくった制服をかき集めて物凄くいい笑顔の自称私の婚約者のマキを睨み続ける。
「マキのバカ!!!!」
私が言えばデレデレとした笑顔でマキは私を見ている。居た堪れない…!!!
昨晩から朝にかけてずっとひっついて耳元で
好きだだの、
愛してるだの、
ずっと見てたんだよだの、
制服姿のお嫁さんって背徳感あっていいよねだの、
ずっと俺のこと見てたでしょだの、
俺とこうしたかったんでしょだの
全年齢対象ギリギリのことをこれでもかというくらいしてきた目の前のやつになんで私は惚れてるんだろうと心底昨日は思った。
でも全部の手つきが優しくてその言葉も全部嘘じゃないとわかるくらい甘ったるかったからもっと赤面してしまったのは仕方がないと思う。
「亨が可愛いのが悪いよ」
「お前が肉食系男子だったなんていう設定はなかったよバカ!!!!!!!!!」
つい叫んでしまったがマキは設定なんて言葉をスルーして私を抱きしめた。
「ね、もう一回言ってよ。俺をどう思ってるのかさ」
真っ赤な顔をしてしまうのは許してほしい。
「……マキが好き。」
幸せそうなこいつの表情にきゅんとしてしまうのは多分惚れた弱みだ。
「えっちなことも俺としてくれる?」
「…手加減してくれるなら」
殴り飛ばさなかった私を褒めてほしい。
「俺と結婚してくれる?」
真剣な目で見つめてくるこいつに私は完全にほだされてる。
ストーカーもびっくりなストーキングをして、私のために家まで手配して、現在進行系で足首に鎖つけてるくせに休日どこに遊びに行きたいか聞いてくるし、ちゃんと言ってさえいればカフェに遊びに言ってもいいって許可貰えるし…ちょっと束縛の強いマキだけど。
「マキのお嫁さんになりたいです」
私がそう言えば私の大好きなスチルでは見れなかった笑顔を見せてくれるマキ。
「もちろん、愛してるよ亨。」
またベッドに沈み込んだけどもういいかなぁと匙を投げた。
「制服でするって今考えればコスプレだよね」
とか言ってきたので頭突きしたけど私は悪くないと思う。
ということでとりあえず完結…勢いだけで書いたけど後悔はしてません




