三種の神器
翌日、リスイアたちは教会で神に祈りを捧げていた。
「…皆さん、行くのですね」
「はい。お世話になりました」
みんなは神官に頭を下げて礼を述べる。
「神官様、一つお伺いしたいのですが…」
「…はい」
リスイアが神官に近づき、首に掛けていた首飾りを取り出して見せた。
「この首飾りは僕が神官様から頂いたものでしょうか? これにはどのような力が秘められているのでしょうか?」
神官は首飾りを見ながらニッコリと微笑む。
「そうです。私が貴方に授けたものですよ。貴方を守る、ひいては世界を守ることになるかもしれないとね」
「世界を守る??」
「それは聖光の首飾りというものです。それには透明な宝石が七つ埋め込まれているでしょう? 神の力を持つものが力を発揮した時、輝きを放つと言われています」
「神の力か…」
「そのままではなんの役にも立たない、ただの首飾りです。これから貴方方は自分自身と向き合い、鍛えて力を身につけて行かねばなりません。皆の力が揃った時、この首飾りが皆さんの手助けとなるでしょう」
「じゃあ、僕らがまず成長しないといけないんですね」
「ええ。皆さんの成長を深き森の神殿にて証明できれば、神の協力が得られるでしょう」
「もしや、アビイのいた森の奥の洞窟か!?」
「えーと…リオさんと言いましたか。ちょっとこちらに来てください」
「はい」
ザミアが一人で思考を巡らせている横から、名前を呼ばれたリオが神官の前に出てきた。
「貴女は神の声を聞く素質があるようですね。貴女に私の力を与えましょう」
神官はそう言うと、跪いたリオに向かって何やら言葉を唱えた。
「…神よ。貴方様の力を、我が神子へと授け給え」
その後、天窓から光がリオへと降り注ぐ。
ゆっくりと開いたリオの瞳が、金色の光を放っていた。
「おお! すげー、リオ!! なんかパワーアップしたのか??」
タブルスがリオをあちこち見て尋ねた。
「なんだか、頭が少しクリアになってなんでも見通せるような気がするわ」
「貴女の中にある力を発揮しやすく出来るように祈りました。すぐに効果は現れないでしょうが、試練を乗り越えていく中で成長し、旅の導きとなることでしょう」
「ホッホ。実に頼もしい限りじゃわい」
ザミアもニッコリと微笑んだ。
「あとは僕らも修行を重ねて力をつけて行けばいいんだよね?」
アビイもなんだかやる気が出てきたようだ。
「ええ。ですが、あの子もまた日に日に力を増しています。あの子の力を完全に制するには、三種の神器を得ると尚良いでしょう」
「三種の神器??」
みんなが同じことを聞いた。
「古の神が用いたと言われる道具です。一つは、この聖光の首飾り、もう一つはキレアスの盾、最後の一つは太陽の剣です」
「そのようなもの、どこにあるのでしょうか?」
レヴィオが真面目に質問する。
「私が受け継いできたのは、この聖光の首飾りのみです。他の二つは世界のどこかに眠ると言われております」
「それを探し出すっていうのも、また試練の一つってわけね」
カナンがうんうんと頷く。
「はい。どうか皆さん、あの子を宜しくお願いします。それでは、神の祝福があらんことを…」
神官が再び神に祈りを捧げ、リスイアたちの無事を祈って送り出した。
リスイアとタブルスは、村の丘の上で献花し、亡くなった人たちと子猫の冥福を祈った。
「よしっ! それじゃあリスイア、行くか!」
「うん」
先に馬車へ戻っていたザミアたちとリスイアたちは合流し、出発の準備を整えた。
「それじゃあ皆、忘れ物はないかのう?」
「はい!」
「では、参るとするか!」
「ハッ!!」
レヴィオが馬に合図を送って、馬車は来た道を戻って行った。
深い霧だった場所は、帰りには見通せる程になっていたが、馬車が通り抜けると再び霧に覆われていった。
(僕らがきっとノアを、止めて見せます…)
リスイアは教会の方角を見つめて心に誓っていた。




