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竜の紋様  作者: ウルラエル
3/4

伝承  其の参

上等竜(パーマネント)


竜族の中でも特に強い力を持つ物の総称だった。


しかし第一次竜大戦が終戦し竜族を調べると、その考えは変わってくる。

竜族には等級・・・ランク分けがあり、それは見た目によって決まる。

リザードマンのような、二足歩行をするような奴が下等竜(レイト)

ワイバーンのような、腕と羽が一体化したような奴を中等竜(オーディネル)

そして四足歩行をし、巨大な翼を生やしている、

一般的に“ドラゴン”と言われるのが

今俺達の目の前に居る、上等竜だ。


巨大だ。恐らく50m前後はあるだろう。



「上等竜・・・!それも大型種ですか・・・!」


「いよっと。どうするよ、剣都!」


「・・・殺す。絶対に逃がすな」


「「了解っ!!」」



功牙は前に出て、持ち前の身体能力を生かし、囮や足止めが主な役割だ。

前に出ると、当然の事だが狙われやすくなる。

火竜は功牙に向けて、口から火炎放射を吹き出した。


「おおっと!なーんだ、でけぇ図体しておいて動きは鈍いんだな!!」


功牙は問題なく避け、火竜の右足めがけて突撃した。

打撃音が鳴り響いたと思えば、火竜の叫び声が辺りの空気を震わせた。


「さすが、功牙さんですね。今度は私の出番ですよ・・・!」


冬次郎は基本、後ろからの援護・支援射撃が主な役割だ。

狙われにくい遠距離からの【アイスガン】の射撃は的確かつ無慈悲。


アイスガンは冬次郎の武器で、その名の通り氷の弾丸を打ち出す。

打ち出された氷の弾は実にマッハ3の速度で竜の左足に命中した。


その弾丸は竜の鱗をも貫き、体内で細胞レベルまで凍らせていく。

火竜の苦しそうに悶える声と共に、その左足は凍ってしまった。


そうして動きを鈍くさせて・・・


「今だ剣都!やっちまえ!!」

「今ですよ剣都さん!」


最後に俺が止めを刺す。


俺の武器、【ドラゴンヴェイン】が火竜の頭に刺さる。


竜族の弱点は人間と同じく“頭”。

だが、頭部の鱗は特に固く、冬次郎のアイスガンでも貫けない。

そこで俺のドラゴンヴェインの出番。刃渡27cmの短刀、と言えばいいか。

竜の鱗を紙のように切り裂くが、いかんせんリーチがないので、止め用。

・・・と説明書には書いてあるが、俺は普通に使っている。

上等竜の首は長い。故に高い位置に頭があるが、ジャンプすれば届く(だいだい50mくらい)

あとは頭に向けて落下し、頭に突き刺すだけ。

一応衝撃に備え、ドラゴンヴェインは抜き取り、一旦降りる。


火竜が大きな叫び声を上げ、倒れた。

その時、頭痛と共に俺の頭に小さな声が響いた。


『竜人族が・・・竜神様に・・・伝・・ぇ・・・・』


竜人族がなんだって?それに竜神様って・・・?

・・・聞こえなくなった。


竜族を狩る(殺す)度に、頭痛と共に声が頭に響く。

声は、聞くたびに違う。渋い男の声だったり、老婆のような声だったり。

竜族の声だとは思うが、功牙や冬次郎には聞こえないらしい。


「やっぱ、俺達のコンビは最強だな!」


「・・・そうだな」


まだ頭が痛い。耳鳴りも少し鳴ってる。

普通ならもう治まってるはずなのに。


「・・・また何か聞いたのですか?剣都」


冬次郎が心配そうに聞いてきた。

二人には、この事について理解してくれている。


「ああ。竜人族がどうたこうたらって。それを竜神様とやらに伝えなければとかなんとか」


「竜人族が絶滅したことを伝えに・・・?」


「いやいやいや冬次郎、お前バッカじゃねーの?!竜人族って、とっくの昔に絶滅してるんだろ!?」


「・・・そうですね功牙さん。確かにこの予想は馬鹿げてますね」


ここで俺は一つの予想を立ててみる。

仮に竜人族が絶滅していないとすると・・・


「なぁ。功牙、冬次郎。もしもだ。仮に竜人族が絶滅していなくて、隠れて生きているとしたら・・・」


「・・・あー!そうすると辻褄が合う!!やっぱ剣都、お前天才だ!!!よーっし、本部に連絡だぁ!!」


「待ってください。確かに辻褄は合いますが、あくまで予想でしかありません。我々が直接竜人族を見たという訳でもなければ、信じてはくれないでしょう」


「・・・冬次郎の言う通りだ。今は情報が少ない。この件に関しては明日くらいにでも調べよう」


「へいへい。剣都がそう言うなら従うぜ」


「とりあえず、一旦車に戻りましょうか。本部に通信で報告しないといけませんしね」


俺達は一度、報告の為に車に戻った。

戻った頃にはすっかり日も暮れていて、橙色の空が木々の隙間から見え隠れしていた。

川も昼とは違った一面を見せている。()()()()の鳴き声も聞こえる。

・・・あれ?ヒグラシ??

と思ったが、ヒグラシは6月下旬から7月までに発生するから8月真っただ中でも鳴くというのを思い出した。

小学校の頃に見た“蝉図鑑”の知識がまさかここで生きるとは・・・


「・・・ん?血の臭いか?これ」


功牙が犬みたいに鼻をピクピクさせながら聞いてくる。

いや、お前の鼻でわかってもこっちの鼻じゃ解らんぞ。

・・・ん?なんか川が紅いな。近づいて見てみると、功牙の言葉を理解できた。


川の上流から、人間の血が混ざった紅い水が流れてきている。


俺は、功牙に真っ先に臭いの発生源を伝える。


「功牙!川の上流!!」


「了解っ!!」


功牙が地面を蹴り、全速力で川上へと向かった。


「冬次郎、お前は俺と行くぞ」


「わかりました」


功牙の速度に俺はついて行ける。

だが、冬次郎はついて行けない。だから俺が護衛に就く。

一人を置き去りにしてしまうと、そいつが狙われる可能性もある。

冬次郎は援護と支援以外は苦手としているから、狙われるとまずい。


俺と冬次郎は、功牙を追いかけるように川上へと向かった。

進んだ距離に比例して、川が紅くなっていく。発生源が近い。

功牙の姿が見えた。近くへ行くと、俺も冬次郎も驚きを隠せなかった。


「なぁ・・・剣都さ・・・・・・」


功牙が珍しく震えている。

無理もない。この光景はそうそう見れるものじゃない。


「ぐちゃぐちゃですね、これは」


迷彩服の人達が倒れている。

と、言うには少し違うかもしれない。

なぜなら、足、腕、頭、胴体、あらゆる所が欠損しすぎていて、

もう人間だったかどうかすらわかりにくい状態だからだ。


「誰が殺ったんだ・・・?」


「・・・これは、なにか刃物で切り刻まれたような感じですね」


「うっゎ・・・冬次郎、よく直で持てるよな・・・ソレ」


冬次郎が川に落ちてる腕や足を持ちながら傷口を確認しながら言った。

そんな冬次郎にドン引きな功牙である。

まぁ、功牙は俺達の中では最年少で純粋な奴だしな。


「それにしても、刃物か・・・ここいら一帯に殺人鬼でも居るのか?」


「そんな話は聞いたこともありませんね。それに、ただの刃物ではなさそうですよ」


「剣都のドラゴンヴェインみたいなめっちゃ切れる奴じゃねーの?」


「いいや、傷が違う。これは馬鹿でかい刃物でぶった切られたような感じだ」


「・・・よくわかるな」


「なんにせよ、一旦車に戻りましょう。夜は危険です」


「もしかしたら、今も犯人が狙ってるかもしれないしな」


「う~こわこわ。ささ、帰ろうぜ!!」


今日は色々ありすぎだ。竜人族だったり大量の死体だったり・・・

と頭で考えながら歩いていると、背後から視線と気配を感じた。

振り向くが、そこには死体の山と、場違いなほど綺麗な花が一輪、岩の上で咲いているだけだった。


「気のせいか・・・?」


「おーい、剣都~?」


「あぁ、悪い。今行く」







竜狩り(ドラゴンハント)の奴ら、どっかいったぜ?」


木々の隙間から、三つの人影が降りた。


「やっぱり姉御の【木の葉隠れ(ステルス・リーフ)】はすげぇぜ!全く気付かれねぇ!」


「うっふふ。ありがと。でも私は“劣性”なのよ?」


「そこがすげーんだって!!普通、“優性”でもなけりゃ使えねぇぜこれは!」


「はいはい。それにしても、私には不思議でならないことが一つあるのよ?」


「姉御が不思議がること・・・なんなんです?」


「さっきからだんまりして。貴方なら、あの三人だって殺せたでしょう?」


「・・・?」


「それ、俺も気になってた。アンタは“里”の中でもかなりの実力者だろ?なんで隠れる必要があったのさ?まるで、アイツらの方が強いかのように・・・」


「・・・ん。いずれわかるよ。それも近いうちに」


「わあぉ。貴方が二文も喋るなんて珍しいこともあるものね?


   “竜人族”の希少種、【紋様竜(もんようりゅう)】の()()()()()ちゃん?」

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