ネコを飼う?
こうなると、早ければ早いほど良い。確かに蚤やダニが付いていたら可哀想なので、早く取って貰わないといけない。詩はスカートのポケットからスマホを取り出し、早速ネットで近所の動物病院を検索した。週末なので病院が開いているかどうか心配だったが、週末でも開いている動物病院が結構多いことがわかった。最近は街中でもペットを飼う人が多くて動物病院も人気なのだろうか。人間が行く病院であれば、週末は休日救急の扱いになるのだが、動物病院はそれとは勝手が違うようだ。
検索した動物病院のリストの中に、アパートのすぐ近くでここから歩いて行ける病院があった。ホームページで見る限り、小さいけれど綺麗で可愛い感じの病院だった。他の病院にするアイデアもないので、ネコちゃんと一緒にここに行ってみようと決めた。
ただ、実際に行くとなると子猫を飼うことが前提になるので、少し躊躇があった。詩はつぶらな瞳で時折こちらをチラッと見てくるネコちゃんを見つめながら、勇気を出してスマホからその動物病院に電話を入れてみた。すると、電話口に出た受付の人が詩の事情を知り、とても優しく対応してくれた。そして、今すぐに来てくれるのなら診察可能だと話してくれた。もはや他に選択肢はないので、詩は予約を入れた。
子猫を飼うんだ…、自信はないけど、今からネコちゃんと一緒に行って、ネコちゃんを飼うための必要なものやペットフードのことなども、全て動物病院の人に相談してみようと思った。葉音には悪いけど、やはり専門家の人に聞いた方が安心だ。
ただ、動物病院に行く前に手元にある夕飯の食材が入っている買い物袋を自宅に持ち帰りたい。詩は、アパートの一階の事務所に荷物の受け取りなどでお世話になった親切な管理人さんのことを想い出した。あの人なら相談にのってくれるかもしれない。
「ネコちゃん、おいで!」
詩は、葉音との電話の間もずっと大人しく足元で待ってくれていたネコちゃんを抱きかかえた。いきなりの抱っこで子猫は最初、戸惑った素振りを見せたが、詩が子猫を抱きかかえて立ち上がると嬉しそうにしがみ付いてきた。詩はそのままアパートの玄関ドアを開けて一階のロビーに入り、事務所の方に目をやった。
すると予想通り、管理人さんが子猫を抱えた私に気づいて会釈をしてくれたので、詩は事務室の方に駆け寄りこの状況を管理人さんに話してみた。勘の良い管理人さんは全てを理解してくれたようだった。そして、親切にも少しの間なら事務所で買い物袋を預かっておいてくれるとのことだった。しかも、事務所には小さな冷蔵庫もあるとのこと。これで、スーパで買った魚の切り身も保存しておいて貰える。ありがたい限りだ。困ったときには、こうして何でも相談してみるものだ。
「ネコちゃん、一緒に行こうか。」
詩が子猫を抱き上げて呼び掛けると、子猫はくいと首を上げてくるくるした瞳で見つめ返してきた。何とも愛くるしい表情だ。気付いたときには、詩は再びネコちゃんを抱きかかえてその頭を撫でていた。




