プロローグ
とある国のとある本に書かれているおとぎ話、その本は王族だけが入れる禁書エリアにありこう書かれていた。
”あるところに一つの金花が咲き、その花の蜜を飲んだ者には望んだ願いが叶う”と、
国王は野望を胸に、国内の冒険者を動員しそれを叶えようとする…
ある王国の王は言った、
「儂に幻の花、金花をもたらした者には、褒美をやろう。金貨でも銀貨でも宝でもやろう」
この発言から数日後、王国各地の掲示板に大々的に掲示され、ギルド所属の冒険者や非所属の探索者などがこぞって探し回った。国中の情報屋は、ネットワークから情報をかき集め高値で冒険者たちに売りつけた。もちろん望まぬ額になり、トラブルが発生することも少なくなかった。
6年後、ある冒険者集団が金花を見つけたと城へやってきた。王は待ちわびたとばかりに彼らを迎え入れた。しかし…
「おぉ…これが金花。 トーブや、さっそく錬金するのじゃ!」
「はっ直ちに」
冒険者たちの目の前で王室錬金術師のトーブが錬金術を開始する。眩い光が辺りを包み、そこには一つの小瓶が出来上がった。錬金術師はそれを見て言葉を失う。
「…王様、出来あがったのは。申し上げにくいのですが…ローポーションで御座います」
「なに!? 貴様ら儂を愚弄したな!?」
そう、冒険者たちはローポーションの素材である心薔薇を金着色して国王を騙そうとしたのだ。激怒した王は即刻彼らを禁固刑にし、情報を流した情報屋も同じ牢屋に叩き込んだ。
さらにそれから50年の月日が経ち、国王が崩御なさられた。命を落とす最後まで、
「金花…金花を…」
と、執着していた。第一皇子、セシルは即位式で国民にスピーチに合わせ、この金花について言及した。
「父上の執着した金花。是非私も欲しい! 私にこれを持ってきたものには爵位を授けよう!」
新国王のスピーチで、国中の貴族までもがこの”金花”を探し出した。そもそも金花は正式名称ではなく、言い伝えに金花と書かれていたためそう呼ばれている。
やがて金花の存在を執着した世代の冒険者や貴族が没し、当時新米だった冒険者や貴族の跡取りが台頭し始める。
「なぁ、金花って知ってるか?」
「あぁ、あれだろ? 王様が欲しいとかなんとか」
「こんな長い年月掲示板にあってある訳ねぇよな。行こうぜ」
気が付けばその張り紙は見向きもされなくなってしまった。今では一部の冒険者が他の依頼ついでに辺りを見回して、
「ある訳ないよな」
と嘲笑される程、認知が薄れてしまった。
ボロボロの張り紙をペラっと手に取り、一人の錬金術が出来る冒険者が書き記された内容を読む。
「ふーん…面白そう!」
彼はギルドに張り紙を持って走り込む。
「あら、カレン様。おかえりなさいませ。ご用件をお伺いいたします」
ギルド受付に張り紙をバン! と勢いよく置き、彼は言い放つ。
「この金花を見つける! この僕が!」
登場人物紹介
先代国王
”大陸統一を成し遂げた国王。統一はしたものの、西にある離島は未だ併合できず、海賊行為で商船を攻撃するなどで、彼を悩ませる種となっていた。そんな時、金花というおとぎ話で歌われている幻の花を禁書エリアで目にする。欲に眼が眩んだ王様は、国中に勅令を下し見つけようとする”
第一皇子、セシル=ローリス
”先代国王の一人息子であり、金花の存在を信じる1人。西の離島統一ではなく、別の企みがあるようだ。西の離島には軍を送り込んで一気呵成に制圧し、先代国王の成し遂げなかった完全統一をするつもりである。妃には公爵家から年下の少女を迎えた。”
胡散臭い冒険者集団
”心薔薇を、金花と偽って、先代国王に献上した愚かな冒険者。集団リーダーのガゼルは本気で騙せると思い込んでいた。彼ら唯一の失念点としては、王室錬金術師が差し出したその場で錬金してしまうということだった。禁固刑から減刑されることなく、偽情報を流した情報屋と共に生涯を牢屋で過ごすことになった。”
王室錬金術師、トーブ
”代々王室に仕える錬金術家の51代当主。金花の情報は部下に調べさせていたが、生涯で辿り着くことはなかった。冒険者集団が金花と偽って持ってきた時は、本当に見つかったのかと感心していた。彼自身は効能を知っているわけではなく、単に錬金術師として、研究者としての知識として手にしたかったと語り継がれている。
カレン
”新米錬金術師で最近冒険者としてカナルギウムギルドに所属した。新米でありながら、錬金術によってアイテムや武器への属性付与などを行うことができる。ギルドの登録はアルケミストではなく、エンチャンターとなっている。錬金術師でも武器への属性付与が出来る人物は稀であるため、エンチャンター登録のある冒険者は数少ない。金花については知識欲求は無く、ボロボロの紙切れに王室刻印がされており、それが『面白い』と思っただけである。知識、情報は何も知らない。”




