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「私はとても恐怖を抱きました。三人の女子生徒に囲まれて、「訴えを取り下げろ」と言われ……。脅迫されるなんて……」
「なっ！？」
「私達は……！！」
「脅迫なんてしていませんわ！！」
脅迫という言葉に、驚いた顔をして反論してくる。
彼女達がさっき私の言葉を無視したように、彼女達の言葉を無視して、彼女達が手に持っている物を見て言葉を続ける。
「しかも、その手には武器を持っている」
「武器……？これは扇子です！！」
「あぁ…！！そんな風に大声をだして叫ばないでください……。今にも殴りかかられそうで怖いです」
演技をするかのように大袈裟に言って、顔を歪めて自分を守るように抱き締める。
呆気に取られている彼女達に、私は心の中で満足そうに笑った。
私が言い返すのははじめてだから、こんな風に言われるなんて想像もしていなかったでしょう。
「私達はただ……、エミリー様を助けようと……」
「それが私に脅威を与えて、訴えを取り下げを求めるの理由になるとお思いですか？」
最初の勢いが嘘かのように、彼女達は何も言わない。
ぬくぬくと育った彼女達は自分がした行為が、どのような意味を持つのか分からないのね。
しばらく沈黙が続いた後、私はにっこりと笑って言った。
「脅迫は立派な犯罪になるんですよ？」
犯罪という言葉に彼女達は顔を青褪めさせた。
顔を青褪めさせる中、ブルレック様だけがキッと私を見て前に出た。
「脅迫？私が何を言ったって関係ないでしょう。学び舎の仲間として、礼儀がないあなたに教えてあげようとしただけですわ」
「感謝して欲しいぐらいですわ」と言って、扇子を胸元に持つ彼女の手はわずかに震えている。
ここまで言っても彼女達には何も響かないのね。
ため息を吐いて、口を開こうとすると。
「礼儀がないのはあなた達ではなくって？」
私ではない誰かの声が割って入った。
「誰ですの？」
「通りすがりの学び舎の仲間ですわ」
ブルレック様が不愉快そうに言うと、三人の女子生徒がブルレック様達から私を守るように立った。
「面白くない話が聞こえてきたので、私達も混ぜてくださらない？」
私の目の前に立つ彼女達がブルレック様達に言うと、ブルレック様達はヒソヒソと話すと私を最後に睨んで去って行った。
「シフォン様、大丈夫でしたか？」
「えぇ？ありがとうございます。あなた達は……？」
いきなり現れて、私を庇った彼女達に驚く。
彼女達に会ったことがあったかしら？
知らない人に名前を呼ばれて驚いてしまう。記憶を遡って探そうとしていると。
「私達は密かにシフォン様を見ていた、普通科の生徒です」
「同じ学年で同じ授業を取っていたこともあるのですが……。覚えてはいらっしゃらないみたいですね」
覚えていないことがバレて、罰が悪くなる。
「フフフッ。覚えていないのは仕方ないですわ。私達が一方的に見ていただけですもの」
「シフォン様に憧れていたんです」
そう言って、彼女達の目から見た私について話した。
彼女達の勢いに負けて呆気に取られていると、話が進むにつれ恥ずかしくなってしまう。
他人の評価なんて気にしないって思っていたけれど、褒められると恥ずかしいものがある……。
私が照れていると、話はエミリー様との裁判の話になった。
「私達でよければ証言しますので！」
そう言った彼女達の目を見ると、私を心配する気持ちが伝わってきた。
「ありがとう」
彼女達の言葉に驚いた後、顔を綻ばせて心からの笑顔で感謝の言葉を口にした。
私にも知らないところで、こんな風に心配してくれる人がいたなんて。
階段から突き落とされてから、私を大切に思ってくれる人が沢山いることを知れて、むず痒いけれど、心が温かくなった。
こういうのも悪くないわね……。
彼女達に感謝と別れの言葉を言って、エラの研究室に急いだ。
