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不運な召喚の顛末  作者:
第四章
328/605

婚約者編 夏67

話の切っ掛けは実家に顔を出した二週間前のことだった。

母親と親戚の女性が我が家に伝わる文書を見せてきた。

それによるとアン・フレイマンの家系だと言う。

初めは厄介な家系だと思ったが、文書を読む内に考え方が変わってきた。

初代様を裏切ったのではなく仕方なく諦め、王に仕えたが、そこも追い出された哀れな女性だと思うようになった。

建国の英雄であるはずなのにと言う気持ちが高まり、領主一族への不信感でいっぱいになる。

文書の中に初代様の大鎌の記述を読み、それの真偽を確かめようとしたのが昨日だと言う。

結局記述のある場所には何もなかった。

「くそっ」

アルフが項垂れると、レギーは肩を叩き慰める。

「こんなものに出会わなければ貴方は優秀な庭師でいられたものを。全く、罪作りな女だよねアン・フレイマンは」

レギーは私を振り返り資料の内容について問う。

「リオ様、いかがですか?彼の発言と内容に差異はありますか?」

「アルフさんの発言と内容は差はありません。ただ、他の歴史書との差が顕著で間違いも多い。アン・フレイマンの手記を装っている可能性もあります。あと、」

「あと?」

「闇属性魔法が使われています。耐性がないと引っかかる詐欺のような魔法かな?」

さっきから手がピリピリしている。反発してるのだろうか?

「魔法?!リオ様すぐにそれを手離してください!」

「え、あ、はい」

レギーの声に吃驚して本を取り落とす。手のピリピリがひいた。

「リオ様、質問です。アン・フレイマンについて貴女の意見を教えてください」

「?初代様を支えた王国騎士で、ニビ出身。その後、夫人へと望まれ王も許可してたのに、寸前でとんずらした女性。アンの話を聞いた王が王国騎士から外すほどの理由で初代様を振った女性……なんだか言っててムカムカしてきました。」

私の答えにレギーはほっと安堵のため息をもらす。

「確かリオ様は闇属性の加護レベルが高いのでしたね、安心しました。」

「リオ様、大丈夫ですか?」

ミランダが本を拾う。中身をパラパラと捲り目を通す。

眉間に皺が寄っているので、反発が不快なのだろう。

「ミランダ?!ちょっと、本の中身を見るとか何を考えているのですか」

「私も耐性はあるので、問題ありません。手がヒリヒリして痛いですね。」

「私が持った時は痛みなどありませんでしたが、」

レギーも驚く。アルフも驚いているが、何故かアルフの母親は顔色が悪くなっている。

彼女の側に近寄り

「事情を教えていただけますよね?奥さん」

囁くと

「申し訳ございません!申し訳ございません!」

急に取り乱した。

「母さん!一体どうしたんだ!」

「占い師に騙されただけなんです!これは我が家に伝わる文書でもなんでもないんです!従兄弟も、この子も胡散臭そうにしていたのに本を読んだら急に信じだして、私怖くなって」

私に縋りつき白状する。

「典型的な詐欺魔法じゃないか…レオナは闇属性は持ってるか?」

レギーが頭を押さえて天井を仰ぎみる。

「はい。レギーが持っていないのが可笑しいです。ぷぷぷ」

「煽るな。この押収した資料はレオナが管理してください。アルフ、君は騙されていたんだよ。占い師とは誰のことか分かりますか?」

レギーとレオナはアルフとその母親を連れて占い師の確保に向かうことになった。スピードが大事らしい。

「慌ただしくて申し訳ございません」

レギー達が乗った馬車を見送り、私達はそのままギルドへ向かうことにした。

「怒涛の展開でしたね」

「レギー様が本を読み込んだら大変なことになったのではないでしょうか。金属性持ちなら多少は耐えられるでしょうけど」

欺く系の魔法に耐性があるのは、闇、金、風らしい。

闇属性魔法だと思ったが違うようだ。

特殊術式にあたるようで、占い師が単独犯なら貴族の可能性があるし、複数犯なら仲間に貴族がいる可能性が高い。

軽く流し読み程度ではかからないようなのでほっと安心する。

「ひとまず久しぶりに討伐依頼を受けてみましょうか。」

「はい」

ギルドで魔獣討伐の依頼を受け、クロムの外へ出る。

草原地帯まで歩く。

馬ならあっという間だが、徒歩だと結構かかる。訓練よりはキツくない。

以前菅原を見つけた場所の近くを通り、更に奥へ向かう。

「結構歩きましたが、目撃情報はこの辺ですよね」

「目撃情報通りにいかないことも多いですから、何日も通う場合も野営する場合もあります。」

「なるほど。ミランダ、あっちにいます?」

視線を動かした先に、小さく影が見えた。

私の声にミランダも目を向ける。

「少し近づいてみましょうか」

目をすがめるも判別はつかなかった。

ゆっくり警戒しながら近づくと、そこには動物の死骸に群がる複数の魔獣の姿があった。

「リオ様、依頼対象のハイエナ型の魔獣です。彼等は闇属性の耐性が高いので、強めに属性魔法はかけてください」

「はい」

魔獣目掛けて捕縛陣を伸ばし張る。属性魔法は注意通り強めにかける。

「準備が整ったら始めてください。危険が迫れば介入しますが、それ以外は自分で考えて討伐してください」

ミランダが一歩下がる。

私は呼吸を整えて、柄に触れる。刀を抜き、ゆっくり近づく。彼等は食事を邪魔されると一斉に凶暴化する。

動物時と似た性質を持つが、違うのは夜行性でなくなり、食事の邪魔をした相手を徹底的に狙うようになる。

鼻の良さで追い回す。

私は自分の周りにもう一つ魔法をかける。

「ふぅ、行くよ」

鞘に入れた射撃術式に魔力を流し、一気に狙い撃つ。

私が自分で魔力弾を放つより命中率は高い。五体中四体、三体は頭に命中していて行動不能になっている。

残りの二体が突然の襲撃に辺りを見回し、私を視認するも動かない。それを確認すると足早に近づき、魔獣の首を落とす。他の三体にも止めをさす。

私は全ての魔法を解除した。

「はぁぁぁ、苦し、」

大きく息を吸い、腐臭も一緒に吸い咳き込む。

ポケットからハンカチを取り出し、鼻と口を覆い魔力で動かないように固定する。

ハイエナ型魔獣から魔素循環器を取り出す。

顎の骨、首周りの立髪、爪、尻尾が解体対象になるが、頭数が多いのとハイエナ型魔獣はお金になる部分が多いのでそのまま持ち帰る。

魔獣の首を刎ねたが、一応立髪は避けた。ギルドの査定に任せよう。

魔獣を魔力で作った荷車に胴体も頭も全て残らずのせて、彼等が食していた動物の死骸を周囲に燃え移らないように気をつけて焼却する。

「ふぅ。これでよしと、」

ミランダを振り返ると、少し難しい顔をしたミランダが目に映る。

「魔獣の動きが鈍かった気がしましたが、捕縛陣以外に何かされましたか?」

「はい。匂いに敏感なので自分の周りに空気の層のようなものを作って匂いが漏れないようにしました。」

「なるほど。それは良い考えですね。風属性魔法が使える者も風下になるよう操りますから」

猟師は獲物を狙う時風下に移動すると本で読んだ事がある。それと一緒か。

「では帰りましょうか」



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