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第五話 忘れられた約束

主人公、気を抜くとご飯を食べてますね。

一応冒険ものなのですが……。

でもちゃんとクライマックス戦闘もあるので、安心? してください。


それはともかく次回更新は10日の23時を予定してます。

ただ、体調が悪いので日をまたぐ、もしくは更新が翌日夜になるかも知れません。

前言い訳になりますが申し訳ありません。

 さあ、気を取り直して次だ。

 ああそうそう、トライゾンと話しながら、一応マーモットからの剥ぎ取りも行っておいた。

 手に入ったのは[マーモットの肉]だ。食用可らしい。ガンツのおっちゃんはこいつを宿代代わりにしてもいいって言ってたからな、どんどんマーモットを狩っていくとしよう。

 ちなみにこのゲームにおける剥ぎ取り方法は、剥ぎ取り用のナイフ――オリゴナイフで代用可――を突き刺すだけというシンプルなものだ。

 なお剥ぎ取り用ナイフも高いものになると特殊な効果が付いているものもあるらしい。いずれはそういったものも手に入れたいものだね。

 さて、それはともかく狩りだ狩り。オールドー平原のマーモットを全滅させるくらいに狩ってやる。




 ◆




 空があかね色に染まってきていた。ハーブウォーターも四杯飲んだから、都合四時間狩っていたことになる。四杯目の効果がもうすぐ切れるから、そろそろ潮時だろう。

 途中からマーモット退治になれてきたのか効率がよくなってきた。与えるダメージもたまに2が出たりするようななったからね。

 とはいえそれでも狩れたマーモットは30に満たない。経験値もまぁ、それなりだ。レベルアップにはまだ遠いなぁ。

 ドロップはまぁそれなり。大半が肉と毛皮。多分レアものなのだろう、[マーモットの脂]が二つ手に入った。

 肉は宿代にまわすとして、毛皮と脂はどうしようかなぁ。クエストで納品できればいいんだけどそうもいかないし、生産系のスキルも持ってないから自分で使うわけにも行かないしなぁ。誰かに売れればいいんだけど、今のところそんなつてもないし。さてどうしたものか。



「あ、いたいた。おーーい」


 声に驚いて振り向くと緑のローブを羽織った男が手を振っていた。フジノキだ。

 そうか、フジノキがいたじゃないか。彼に相談すればいいや。ゲームについては俺よりよっぽど詳しいだろうし。


「お、ちょうどよかった。聞きたいことがあったんだ」

 

 そう問いかけたのだが、フジノキはそうじゃないとばかりに首を振っている。一体どうしたんだ?


「いや、聞きたいことがあるなら答えるけどさ。それよりコダマ、カネティスちゃんにまだ連絡してないでしょ」


 あ、しまった。今の今まで忘れてた。どうやら心のToDoリストが機能してなかったようだ。


「その顔は忘れてたって顔だよね、まったく」フジノキは肩を落とし、なぜかしきりに片目をつむりながら話し続ける。「とはいえ仕方ないか。クラスの問題に加えて昨日は宿探しやなんかで疲れてたんだろうしね」


「いや、違うぞ。宿舎には泊まれなかったけど、結果的には結構いいところに泊まることになったしな。何より飯がうまいんだ。今朝のご飯もおいしくてなぁ。カネティスに連絡する予定がご飯のうまさのせいですっかり忘れてしまってた」


 そう答えると、フジノキはなんだか目を伏せ絶望的な顔をしていた。


「何だ、宿舎の飯ってそんなにおいしくないのか。それなら夕飯は一緒に食べようぜ。案内するよ」


「それはいいですね。是非とも私も一緒に案内してくれませんか、兄さん」


「ん? カネティスか。わかった一緒に……」


 ……カネティスだと!? ぎりぎりと後ろを振り向くと、そこには絶対零度の視線でこちらを見据えるカネティスがいた。


「どうしたんですか? 兄さん。そんなびっくりした顔をして。さ、どうぞお話を続けてください。私が心配している間に見つけたご飯屋さんの、連絡を忘れるほどにおいしかったご飯の話を」


「あ、いや、その……」


 こいつはやばい、怒っておられる。助けを求め周りを見るもフジノキは完全に目をそらしている。いつの間にか現れたキツネさんはニヤニヤとこっちを見て笑っている。まんま意地悪狐の顔だ。助けになんねー。


「どうしたんですか兄さん。そんな不安そうな顔をして。大丈夫です私は逃げませんよ。そうですね、まずは正座なんかいかがです?」


「いや、そういうことじゃない。それにここ外……」


「せ、い、ざ」


「……はい」


 この後小一時間説教された――――

 2日続けて正座で説教とか……


「自業自得です、兄さん」


「あ、はい」





 ◆




 場所は変わって妖精の宿り木亭。

 宣言通り、カネティス、フジノキ、キツネさんの3人と夕飯を食べに来ていた。


「へー、町外れにこんなところがあったとはねー。よく見つけたわね」


 キツネさんが感心したかのように言った。ちなみに給仕に来たユエちゃんの頭をかいぐりしている。


「もー、キツネお姉ちゃんやめてー」そう言いつつもユエちゃんはまんざらでもなさそうだ。「それにお兄ちゃんがここを見つけたんじゃないよ。私がお兄ちゃんを確保したの!」


 少し胸を張りながらユエちゃんは言った。


「何この子かわいい! 持って帰ってもいい?」


「ダメに決まってるでしょ、姉さん」


 あきれたような声で言うフジノキだったが、キツネさんは諦めきれないらしい。


「ええー、だってかわいいんだもん。カネティスちゃんだってそう思うよねー」


「いえ、私は……」


 言いよどむカネティスを見て、キツネさんは何か思いついたかのようにユエちゃんに耳打ちした。


「えと、カネティスお姉ちゃん。今日は来てくれてありがとうございます。またお兄ちゃんと一緒にご飯を食べに来てください」


 ぺこりとお辞儀をしながらユエちゃんが言った。


「…………この子はうちの子、持って帰る」


 ダメに決まってるだろう。カネティス、お前はいったい何を言ってるんだ……。


「うちの娘を持って帰るのは勘弁してくださいな」くすりと笑いながら奥さん、ソレイユさんが現れた。手には料理を持っている。「ユエも、向こうでお父さんが料理の準備をしてるから持ってきてちょうだい」


「はーい」


 マギサさんがもってきたのは温野菜だ。ソースが付け合わせてある。何のソースかはわからないがおいしいに違いない。


「これってタプナードですか? 私好きなんですよね」


 どうやらキツネさんは知ってたらしい。どんなソースか聞いてみると、オリーブ、ニンニク、アンチョビ、ケッパーといったものを刻んでオリーブオイルで混ぜたものらしい。

 初めて聞いたがうまいんだろうな。ご飯に関するおっちゃんへの信頼度は高い。


「いただきます」そう言って、まずはブロッコリーを取りソースをつけて食べる。


 うまい。黒っぽい見た目からがっつりした味のソースかと思ってたけど、そうじゃない。意外とあっさりしてる。オリーブとアンチョビの塩味が食欲をそそる、そう食欲をそそる味だ。

 黙々と食べていると次が来た。パスタだ。キツネさんとマギサさん曰く“ラグーソースのボロネーゼ”らしい。

 バラの肉がパスタにたっぷりと絡んでいる。なんともがっつりとした見た目だ。口に含む。途端に肉の味がガツンときた。さっきの温野菜とは真逆のうまさ。ダメだ、止らない。止らないのに次が来る。

 次は“タタールステーキ”というらしい。

 ステーキというのに来たのはミンチ状の生肉だ。見た目は焼く前の成形しただけのハンバーグ……。おっちゃん焼き忘れたか?

 生肉ハンバーグの上には卵の黄身。周りには薬味が添えられている。少し逡巡しているとキツネさんが教えてくれた。これであってるらしい。肉と卵、薬味をしっかり混ぜて食べるもののようだ。なんかユッケみたいだな。

 まあいい、だまされてみるか。いやあ、どう見てもハンバーグのタネそのままなんだけどなぁ。


 …………だまされてよかったーー。

 変な癖があるかと思ったけど、そんなことは一切無い。柔らかくとろける肉本来の甘み。そのうまさを薬味が何倍にも増幅してくる。

 止らない、とまらないよぅ。おっちゃん、ビール!


「ほらよ」


 あああ、ビール来たあ。これでまた、肉ビアパスタのエンドレスコースの完成だ。勝ったな……。




「――――ごちそうさまでした」


 中身のなくなった皿から目をはずすと、みんながこちらを見ているのが目に入った。


「いやー、おいしそうに食べるねぇ」とはキツネさん「なんか圧倒されちゃったよ。タタールステーキって結構えり好みがあると思うんだけど」


「でも」とテーブルを見渡す。みんな皿の中身は空っぽになってる。不思議に思ってるとカネティスが答えてくれた。


「ガンツさんが来て、よければ火を通すよと言ってくれたので、私とフジノキさんはお言葉に甘えました」


 なるほど、多分ビールが届いたときか。その時おっちゃんが来てたんだな。

 生が苦手な人へのフォローも忘れないとは、さすがだなおっちゃん。


「でも、こんなにおいしいのに私ら以外のお客さんがいないなんて、もったいないねぇ」


 そうつぶやくキツネさん。そうなんだよなぁ。朝も俺一人だった。

 そこにおっちゃんが厨房の奥から歩いてきながら答える。


「そりゃあ特に宣伝してないからな」


 え? 宣伝してないのか。


「おっちゃん、せっかくうまい料理があるのに何で宣伝してないんだよ」


 そう聞いた俺に対し、おっちゃんは腕を組みながら答えた。


「少なくとも今のところは無駄だからな。この町最大の顧客のエインヘリヤルは宿舎で飯が出るんだぞ。わざわざ金を出してまで飯を食いに来るわけはないし、どうせ金を出すならエインヘリヤルの料理人の作った食事効果付きの飯に出すだろうよ」


「……なるほど、ならなぜ食堂なんて経営してるんですか?」


 当然の疑問をフジノキがぶつける。


「そりゃあな、エインヘリヤル以外がこの大陸に来るには何か職を持たなきゃならなかったからだ。たとえ昔エインヘリヤルだったとしてもそこに例外はねぇ。俺は昔から料理は好きだったし、それにエインヘリヤルやめるときに戦乙女から[妖精の苗木]をいただいたからな。それもあって食堂を経営してるってわけだ」


「[妖精の苗木]?」


 何なのだろうと思って聞くと、おっちゃんは店に絡みついてる大樹を指さした。


「あれだあれ。生産系の技能にプラス補正がかかる《妖精使い》ってクラスがあるんだが、あの木にゃそれと似たような効果があるんだよ」


 ……《妖精使い》か、ここに来てそのクラス名を聞くことになろうとは。おっちゃんめ、俺のトラウマをえぐってきおる。


「お、どうした坊主。なにうなだれてんだ」


「あ、その子のことは気にしなくていいよー。ちょーーっと精神にダメ時食らっただけだから」


 俺を心配するおっちゃんに対して、軽い口調で語るキツネさん。確かにそうなんだけどさ……。


「そ、そうか。ならいいが。まぁ俺も知り合いに無理言ってコネでここに来てるからなぁ。場所に関しても文句は言えねぇ。こんな辺鄙なところでやってるのもそれが理由なのさ」


 そこまで話すと「そろそろ店閉めるからな」と言って空いた皿を片付けていった。


「……うーーん。ま、今日のところはここで解散しましょ。もう結構な時間だしね。コダマ君の所在もつかめて、カネティスちゃんも安心したでしょ」


「わ、私は別に心配なんか……」


「なーに言ってるの。あんなに説教しといて心配してないわけないじゃない」


 キツネさんは、うりうりとカネティスをからかいながら席を立つ。カネティスもされるがままだ。ホント仲良くなったなぁ。


「それじゃ、また食べに来るからねー」


 そう言って三人は帰って行った。


 さぁ、俺も部屋に戻って寝る……、前に何か手伝って来た方がいいかなぁ。


エル:さて今回は道具袋についてだ。

エル:これはMMOによくあるインベントリ管理だね。

エル:ただ中身は大きさで管理されてるんだ。その大きさは大体5×5×5メートル。結構な大きさだよね。

エル:これは当然エインヘリヤルみんながもってる。

エル:ちなみに加護やクラスによっては中における量を増やしたり、特殊な効果を付与したりできるようになるよ。例えば時間管理関係とかだね

エル:今日のところは以上かな。みんなも風邪とか季節外れのインフルとかには気をつけてねノシ

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